市場概要
前回の取引日では、ドル指数が0.12%上昇し、101.18となりました。ユーロ/ドルは0.12%下落して1.1086、ポンド/ドルは0.40%下落して1.3126でした。国際現物金は1オンスあたり2,497.36ドルで、0.76%下落しています。
ドル指数
最近では、米国の利下げ見通しと労働市場の弱さが影響し、ドルは引き続き圧力を受けています。堅調な経済データがわずかに反発を支えましたが、全体的な下落傾向は変わっていません。
労働市場に関しては、先週木曜日に発表された米国8月のADP雇用者数が意外にも9.9万人に減少し、3年半ぶりの低水準を記録しました。これは、雇用市場の弱さを示すものですが、初回および継続的な失業保険申請件数は改善されました。
また、先週金曜日の非農業部門雇用者数の発表では、8月の新規雇用者数が14.2万人となり、予想の16万人を下回りましたが、前月の8.9万人よりは増加しました。前2か月分のデータも合計8.6万人下方修正されました。失業率は4.2%で予想通り、前回の4.3%を下回り、平均時給も予想と前回を上回る0.4%の伸びを示しました。
このデータから、米国の8月の雇用市場は「悪くもなく良くもない」と評価され、本月の失業率は「サムルール」に触れるため、市場は今後のデータを注視し、景気後退の懸念が引き続き残る見込みです。短期的にはリスク回避の動きが続き、「景気後退取引」も継続する可能性があります。
金融政策については、非農業部門雇用者数の発表後、FRB(米連邦準備制度)のウィリアムズ副議長と高官のウォラー氏が揃って「ハト派」発言を行い、9月のFOMC会議での利下げを支持しました。しかし、両者とも利下げ幅については明言せず、25ベーシスポイント(bp)か50bpの利下げかは依然として議論の余地があります。
今後の展望としては、9月のFOMC会議が近づく中で、FRBの最終的な利下げ幅が市場の注目点となります。特に今週発表される米国8月のCPI(消費者物価指数)データに注目する必要があります。インフレがさらに緩和すれば、ドル指数はさらなる下落圧力を受ける可能性があります。
ユーロドル
最近では、米欧中央銀行の金利政策に差がある一方で、ユーロ圏の経済が弱含む中、ユーロ/ドルは8月下旬に1.1200を一時突破しましたが、先週は1.1070付近で小幅な変動が続いています。
経済データを見ると、先週発表されたユーロ圏8月の製造業PMIは45.8と予想を上回ったものの、2年間連続で景気の拡大・縮小の境界線を下回っています。さらに、8月の総合PMIとサービス業PMIも予想を下回りました。
先週金曜日に発表されたユーロ圏第2四半期GDPでは、前期比0.2%の成長と、予想の0.3%を下回り、前年比では0.6%増と予想通りの結果でした。これにより、ユーロ圏経済は成長ペースが鈍化していることが確認されました。貿易や政府支出が経済を支えていますが、投資の低迷が続き、個人消費も伸び悩んでいます。また、ドイツの製造業が足を引っ張り、第2四半期のGDPが減少したことが、ユーロ圏全体の経済弱含みの主な要因です。
金融政策に関しては、今週、欧州中央銀行(ECB)の9月会合が予定されています。最近のインフレおよび経済データに基づき、ECBの利下げも確実視されていますが、FRBほど速く深い利下げは期待されていません。米国が物価の安定と最大雇用の両方を目指すのに対し、ECBは主にインフレの抑制を重視しており、利下げに対する慎重な姿勢が目立ちます。このため、米欧の金利差が縮小する可能性があり、これがユーロにとって有利に働く可能性があります。
今後の展望としては、今週発表されるユーロ圏8月のCPIや米国7月のPCEデータに注目する必要があります。ユーロ圏の経済データが引き続き弱いままであれば、ユーロの上昇余地は限られるでしょう。