
「トレンドは出てるけど、どの銘柄に資金を入れるべきか分からない…」そんな悩み、ありませんか?
コモディティ(商品)市場での選定指標として注目される「Commodity Selection Index(CSI)」は、まさにこの悩みに応える存在。
この記事では、CSIの基本から応用、注意点まで、解説していきます!
Commodity Selection Index(CSI)とは?
開発者はWelles Wilder氏。1978年に発表された『New Concepts in Technical Trading Systems』という書籍の中で提唱されました。


RSIやADXなど、今でも多くのトレーダーが使う名指標を世に送り出したレジェンドですね。
このCSI、主に先物市場などで「どの商品がもっとも効率よくトレードできるか?」を定量的に判断するためのツールとして生まれました。
特に注目すべきなのは、トレンドの強さ(ADXR)と価格変動の大きさ(ATR)、さらには1ティックの価値(Big Point Value)や必要証拠金(Margin)まで加味している点。これにより、単に値動きが激しいだけでなく、資金効率も考慮して「優れた取引対象」が分かります。
CSIの基本概念と開発背景
Commodity Selection Index(CSI)は、Welles Wilder氏が考案した「効率的な商品選定」のための複合テクニカル指標です。1970年代後半、テクニカル分析の黎明期とも言える時代に登場しました。Wilder氏は、ADXやRSIの開発者としても有名ですが、CSIはそれらの知見を応用した、より「実践的な取引ツール」として設計されています。
CSIのコンセプトは、単に「どの銘柄が動いているか」ではなく、「どの銘柄が最も効率よく利益を狙えるか」を数値化すること。
次の4要素を掛け合わせてスコアを出します
- ADXR(Average Directional Movement Rating):トレンドの持続性と方向性
- ATR(Average True Range):価格のボラティリティ
- Big Point Value:1ティックの金銭的価値
- Margin or Commission:必要証拠金や取引コスト
このように、テクニカルな強さだけでなく、資金効率をも加味するため、CSIは単なるチャート上の情報では捉えきれない「投資対象の総合的な魅力」を数値化してくれます。
CSIと他指標との違いとは?
CSIは、他のテクニカル指標と比べて「多角的な選定力」が圧倒的に高いのが特長です。
RSIやMACD、ADXといった一般的な指標は、「買われすぎ」「トレンドの強さ」「転換点」など、それぞれが一面的な情報を提供します。
RSI(Relative Strength Index)との違いですが、RSIはあくまで過去の上昇幅と下落幅の比率を見て「今の過熱感」を評価します。

また、ADX(Average Directional Index)との違いとしては、ADXはトレンドの強さだけを評価しますが、CSIはADXRを含む上で、そのトレンドが資金効率的に魅力的かどうかまで評価する点がユニークです。

さらにATR(Average True Range)も重要です。
ATRは価格の変動幅、つまりボラティリティの指標として有名ですが、CSIではこのATRも使い、「どれだけ値幅を狙えるか」を加味します。

そして何より大きいのが、Big Point ValueやMarginという“お金に関わる要素”が含まれている点。たとえば、同じだけ動く商品でも、1ティックあたりの価値や必要証拠金が異なれば、実質的な収益性は大きく変わりますよね? CSIはこれを加味してくれるんです。
CSIの計算方法と構成要素
CSIは「複合的な視点で商品選定を行う」ために設計されたテクニカル指標。その計算方法を理解することで、なぜCSIが“効率的な銘柄選び”に役立つのかが明確になります。
結論から言えば、CSIは次の数式で算出されます
CSI = ADXR × ATR × Big Point Value ÷ Margin or Commission
「ADXR」は、「ADX(トレンドの強さ)」を元にして過去のトレンド持続性も考慮した指標で、トレンドの一時的な騙しを抑えた評価が可能です。

さらに「Big Point Value」は、先物取引などで用いられる「1ティックあたりの金額」です。これは商品ごとに異なり、たとえば原油先物なら1ティック=10ドルという具合ですね。
最後に「Margin(証拠金)」や「Commission(取引手数料)」を割り算で加味することで、たとえ動きが大きくても、コストが高すぎる商品は低評価になります。これにより、資金効率の良い商品が高スコアを得るというロジックです。
計算に使われる主要な指標
CSIの算出において、重要な役割を果たすのが「ADXR」「ATR」「Big Point Value」「Margin(もしくはCommission)」の4つの指標です。
ADXR(Average Directional Movement Rating)
これはADX(トレンドの強さ)をベースに、過去データとの平均を取ったもの。ADXは上昇・下降のどちらの方向でも「トレンドの強さ」を測定しますが、ADXRはそれを“より安定した形”で評価します。つまり、短期的な騙しに左右されず、持続性のあるトレンドを数値で示すのがポイントです。
ATR(Average True Range)
ATRは“価格の変動幅”を測る指標で、トレードにおける「チャンスの大きさ」を表します。変動幅が大きい=価格がよく動く=利幅が狙えるということ。特に短期トレードやデイトレでは、このATRの高さが“獲りやすさ”に直結します。
Big Point Value
これは各商品の「1ポイントあたりの金額的価値」を表します。たとえば、金先物なら1ティックで10ドル動く、原油なら1000バレル単位で価値が変わる…といった具合。これにより、「1ティックの変動でどれだけお金が動くか」が分かるため、収益性に直結します。
Margin/Commission(必要証拠金または手数料)
ここがCSI最大の特徴とも言えます。どれだけトレンドが強くても、変動幅があっても、証拠金が高すぎれば投資効率は下がります。逆に、低コストでエントリーできる銘柄は、資金効率が高くなる=CSIスコアが上がるのです。
コモディティごとの計算の違い
CSIはすべての銘柄に同じ式を適用するものの、コモディティ(商品)の特性によりスコアが大きく変化するという特徴があります。
これこそがCSIが「商品選定インデックス」と呼ばれる理由です。
たとえば、金先物と原油先物を比べてみましょう。同じように動いていても、1ティックあたりの価値(Big Point Value)や、取引に必要な証拠金(Margin)はまったく異なります。金先物は1ティックあたり10ドル程度、証拠金は約8,000ドル前後。一方、原油先物は1ティック=10ドルですが、証拠金はより高く、約10,000ドル前後になることも。

ここで注目すべきは、証拠金が高い商品ほど、同じ変動幅でも“CSIスコアが低くなる”という点です。つまり、効率的に資金を回したい場合、証拠金の安い商品に注目すべきという判断が可能になるわけです。
また、ボラティリティ(ATR)の影響もコモディティによって大きく異なります。天然ガスや小麦などは、天候や地政学的リスクの影響を受けやすく、急激に動くことがあります。
さらに、「Big Point Value」も見逃せません。通貨ペアや株価指数先物とは異なり、コモディティにはそれぞれ特有の契約単位が設定されています。
この違いが、CSIスコアに大きく影響するため、CSIを比較するときは、商品間での“前提条件の違い”を理解しておく必要があります。
CSIをトレードに活かす方法
この指標の真価は、「どの商品で、いつトレードするか」を選び抜くための“実戦向けフィルター”として使える点にあります。
たとえば、CSIスコアが高い商品は「強いトレンド」「高いボラティリティ」「低コスト」が揃っていることを意味します。

これはつまり、「トレードチャンスが多く、リスクに対して見返りが大きい」ことを示しています。
なぜなら、短期トレードでは「限られた時間でどれだけ値動きを捉えられるか」が勝負。CSIを使えば、毎日取引するに値する商品を効率よく選定できるのです。
加えて、他のテクニカル指標との組み合わせも有効です。たとえば、RSIで過熱感を見たり、ボリンジャーバンドでエントリー・エグジットのタイミングを調整することで、CSIの示す方向性を“裏付ける”判断ができます。
「なんとなく上がりそうだから買う」ではなく、「CSIが高く、ADXRも好調、ATRも十分で資金効率も良いから狙う」といったように、明確なロジックに基づいたトレードが可能になるのが、CSIを活かす最大の利点です。
CSIを使ったコモディティの選定法
CSIを活用すれば、日々のトレード対象を「なんとなく」ではなく、ロジカルかつ定量的に選定できます。選定の流れはシンプルながら実用性が高く、特に複数のコモディティを扱うトレーダーにとっては大きな武器になります。
まずは、チャートソフト(TradingViewやMetaTraderなど)で複数銘柄に対してCSIインジケーターを表示させます。ここで注目するのが「スコアの高さ」。このスコアは、先述のとおりADXR、ATR、Big Point Value、Marginの複合評価です。
たとえば、同じ日に「原油」「金」「天然ガス」「小麦」「銀」など複数のコモディティを観察したとき、CSIスコアが明らかに高い商品がひとつでもあれば、それは“今日注目すべき取引対象”の候補になります。
このとき重要なのが、「CSIが高い=トレードが有利」という意味ではない点です。あくまで、「効率よくチャンスを狙える商品」であることを示しているにすぎません。
また、週単位でCSIの推移を追うと、トレンド変化の兆候にも気づけます。たとえば、「先週まで上位だった金が順位を落とし、代わりに天然ガスが浮上してきた」など、相場全体の“熱の移動”を見抜く手がかりになります。
CSIを活かす短期売買戦略
短期売買では、情報の鮮度と瞬発力が命です。CSIはその両方をカバーできる、短期トレードに最適な銘柄フィルターとして機能します。
CSIは、ボラティリティ(ATR)とトレンドの持続性(ADXR)を加味してスコアを出すため、値動きの多い“チャンスのある銘柄”を事前に炙り出してくれます。
たとえば、日中にトレードを行う場合、寄り付き後すぐに高CSIスコアの銘柄をチェック。これを1時間足または15分足で分析し、ブレイクアウトや押し目のタイミングを狙います。このとき、RSIやボリンジャーバンド、移動平均との併用により、より精度の高いエントリーが可能となります。
特に有効なのが、「高CSI×強トレンド銘柄」に限定した戦略です。
- CSIスコアが直近で上昇傾向
- ADXRが20以上(トレンドの継続性あり)
- ATRが高水準(ボラティリティが十分)
- チャート上で移動平均線を上回る位置で推移
このような銘柄は、まさに“動いている銘柄”であり、利幅も狙いやすく、エントリーとエグジットの精度も上がります。
また、逆張り戦略を考える場合でもCSIは使えます。高CSIなのに短期的に急落している銘柄は、「一時的な調整=押し目」の可能性があり、反発ポイントとして注視できます。
短期売買において、最大の敵は“手を出すべきでない銘柄”に時間や資金を費やすこと。CSIを使えば、そのリスクを極限まで減らし、トレード効率を一段階引き上げることができるのです。
CSIを導入する上での注意点
CSIはあくまで「効率的な銘柄選定ツール」であり、エントリーや利確・損切りの判断を自動でしてくれるものではありません。チャートの形状、出来高、経済指標など、他の要素との複合判断が必要不可欠です。
また、マーケット環境に応じてCSIの有効性も変動します。たとえば、ボラティリティが急低下しているレンジ相場では、CSIが高スコアを示していても値動きが乏しく、結果的に「動くと見せかけて動かない」場面に遭遇することもあります。これはATRの“過去の動き”を評価するという性質上、起こりやすい盲点です。
さらに、証拠金や手数料の変動もスコアに影響します。突発的に取引条件が変更されたり、商品ごとの規約が変わったりすると、昨日まで高スコアだった銘柄が一気に非効率になるケースもあるため、常に最新の数値を使うことが前提になります。
心理的なリスクも忘れてはいけません。「CSIを信じたのに負けた…」という経験が続くと、指標そのものへの信頼を失い、ルールが崩壊する恐れもあります。これは多くの裁量トレーダーが経験する“メンタルブレイク”の典型です。
CSIの弱点とその回避法
どんなに優れた指標であっても、盲目的に信頼すればトレードの精度はむしろ低下します。CSIも例外ではありません。

では、CSIにはどんな“落とし穴”があるのか? そしてそれをどう避ければよいのか? ここでしっかり押さえておきましょう。
CSIはADXRやATRなど、一定期間の平均値をもとに算出されます。つまり、過去には良かったが、未来に有効とは限らないという宿命を背負っています。

たとえば、直近のボラティリティが高かっただけでATRが大きくなり、CSIスコアも引き上げられる場合があります。
このようなケースでは、CSIの「高スコア=期待値が高い」は通用しなくなるのです。
トレンドが乏しい横ばい相場では、ADXRが低下し、CSIも極端に低スコアを出すことがあります。
このとき、そもそも「どの銘柄にも手を出すべきではない」という状態を表しているのですが、それを見落として「低い中でもマシなやつ」を無理に探してしまうと、逆に負けを呼び込みます。
ではどう回避するか? ポイントは3つ!
- 高スコアの背景を必ず確認すること。 一時的な急騰や突発イベントがスコアに影響していないか、ニュースや経済指標をチェック。
- レンジ相場とトレンド相場を事前に区別する。 移動平均線やADXの傾きで、相場環境をざっくり把握したうえでCSIを活用する。
- CSIを絶対視せず、補助指標として位置づける。 最終的な判断はチャートパターンや需給、オーダーブック情報などと併用すること。
このように、CSIの“弱点”を知っておくことこそ、安定して使いこなす第一歩です。賢く付き合えば、相場の流れを読む「羅針盤」として強い味方になってくれますよ。
トレーダーの心理と相性
なぜなら、どんなに優秀なロジックでも、それを活かすのは「使う人間の判断力と感情コントロール」だからです。
たとえば、CSIで高スコアの銘柄を見つけたとしましょう。「これはチャンス!」と飛びつく…でも、そのエントリーが裏目に出たとき、冷静に判断できますか?
多くのトレーダーは、「せっかくCSIを信じたのに!」という気持ちが先行し、ルール無視のナンピンや損切りの遅れといった負のスパイラルに陥りがちです。
これは、「指標を信じたい気持ち」と「実際の相場とのギャップ」に耐えきれない心理の揺れが原因です。
そこで重要なのが、「CSIを絶対視しない自分ルール」を構築すること。具体的には、
- CSIスコアが○○以上ならウォッチリスト入り
- ADXRが一定以上、かつATRが○○を超えていればエントリー候補
- 直近高値・安値を明確に抜けたら実際のエントリー判断
といったように、“指標→チェック→判断”というプロセスを明文化しておくことが、心理的負荷を大幅に軽減してくれます。
また、裁量判断の多いトレーダーほど「感覚」「直感」に頼りがちです。CSIのような数値ベースのフィルターを導入することで、判断の根拠を「数字」に移行でき、感情に振り回される機会が減少します。
まとめ:CSIは武器になるか?
CSIは「商品選定のための数値指標」というシンプルな顔を持ちながら、ボラティリティ・トレンド・資金効率という複数の要素を統合した“実戦派のフィルター”です。
導入から実践活用、注意点や最新動向までを見てきましたが、結論として、CSIは「使いこなせば確かな価値を発揮する」指標だと言えます。
テクニカル指標は数あれど、CSIほど「何を取引すべきか?」に的を絞ったものは多くありません。「どこで買うか」よりも「何を買うか」に迷っていた方には、このCSIという羅針盤が強い味方になります。
ただし、「使えば勝てる」という魔法の杖ではなく、「賢く使い、検証し、環境と噛み合わせて活かす」ことが前提です。
そのためには、以下の3つの心得を持っておくことをおすすめします
選定基準を明確にする:スコアの高低に一喜一憂せず、数値の背景を読み解く目を持つ。
- 複合判断を徹底する:CSI単独ではなく、チャート・ファンダ・他指標と組み合わせて判断。
- 継続的な検証を怠らない:過去検証や記録を通じて、自分なりの“勝ちパターン”を構築する。
トレードの世界は、情報と判断のスピード勝負です。その中で、CSIは「より良い判断のためのコンパス」として、確かな存在感を放ちます。
「効率的に、狙い目の商品だけを見極めたい!」そんなトレーダーにとって、CSIは今まさに“持っておくべき一本”なのかもしれません。
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