「トレードの判断材料って、何を信じればいいの?」そんな疑問を抱えていませんか?テクニカル分析の世界には、数多くの指標が存在しますが、その中でも『Ease of Movement(EOM)』は、価格の変動と出来高の関係から“市場の滑らかさ”を測るユニークなインジケーターです。ただし、聞き慣れないこの指標を活用するには、正しい理解と運用法が不可欠です。
本記事では、EOMの基本から応用までを解説します。
Ease of Movement(EOM)とは?基本概念と計算方法
Ease of Movement(イーズ・オブ・ムーブメント、略してEOM)とは、価格変動の滑らかさと出来高のバランスを測定するテクニカル指標です。開発者は「アームズインデックス」で有名なリチャード・アームズ氏。彼は「価格がどれだけ簡単に上昇または下降するか」を数値化することで、市場の動きの裏にある勢いを可視化しようとしました。
この指標は、価格の変動幅と出来高を使って算出されます。価格が大きく動いても、出来高が少なければ「楽に動いている」、つまりEOM値が大きくなります。逆に、価格が少ししか動いていないのに多くの出来高が伴っていれば「抵抗を受けている」と判断され、EOM値は小さくなるわけです。
日々のトレーディングで「この上昇、勢いあるな」とか「下げてるけど、何か無理してる感じがする…」と思ったこと、ありませんか? まさにそれがEOMで数値として表現されるのです。単なる価格や出来高ではなく、その“バランス”に注目することで、トレンドの背景を深掘りできるのが、この指標の魅力なんです。
EOMを使ったトレンド判定方法
EOM(Ease of Movement)をトレンド判定に使う際の基本は、「ゼロラインを中心に上か下かを見る」こと。ゼロより上なら「上昇の勢いが強い」、下なら「下降の圧力が優勢」と解釈されます。つまり、EOMの値がプラス圏で推移していれば買い方(ブル)の主導、マイナス圏であれば売り方(ベア)の力が勝っていると判断できるのです。
たとえば、EOMが継続的に上昇していれば、それは価格が出来高に対して比較的「軽く」上昇している証拠。これを「価格の滑らかな上昇」とみなすことができ、トレンドの継続性が高いと考えられます。反対に、EOMが低下してゼロを下回り始めた場合、「出来高を伴っても価格が伸び悩んでいる」というサインと捉えられ、トレンドの転換点になる可能性があるんです。
特に注目すべきなのは、EOMがゼロを境に反転するタイミング。これこそが「トレンドの転換点を示唆するシグナル」であり、チャート上では大きな分岐点になることが多いです。
EOMによるエントリーとエグジットのタイミング
EOMを使った売買タイミングの判断では、「勢いの変化」に注目します。エントリーの好機は、EOMがゼロラインを上抜けて急上昇しはじめた瞬間。これは「出来高が小さい割に価格が強く押し上げられている=買いが優勢」というサイン。まさに、価格上昇に“勢い”がある局面です。
たとえば、過去のチャートを見てみると、EOMがマイナス圏からプラス圏に急反転した直後に価格が一気に上昇する事例が多く見られます。これはまさにエントリーの好タイミングといえるでしょう。
一方で、エグジット(手仕舞い)は、EOMがピークを迎えてフラット化、あるいは下降に転じたタイミング。特に、プラス圏からゼロに接近している局面では、「価格上昇の勢いが減退している」ことを意味し、利確の判断材料になります。
また、EOM単体での判断に不安がある場合は、MACDやRSIといった他のテクニカル指標と組み合わせることで、売買判断の精度が格段に上がります。たとえば、EOMがゼロラインを上抜けたのと同時に、MACDもゴールデンクロスを示していれば、非常に信頼性の高い買いシグナルとして活用できます。
EOMと他のテクニカル指標との違い
テクニカル分析において、EOM(Ease of Movement)が他の指標と異なる点は、「価格」と「出来高」の両面から“動きの効率”を測定するという点です。
たとえば、RSI(相対力指数)やMACD(移動平均収束拡散法)は価格の推移に焦点を当てていますが、EOMは「価格がどれだけの出来高を伴って動いたか」に着目します。
この違いにより、EOMは「トレンドの質」や「価格の動きが自然か、無理があるか」といった観点で相場を評価することが可能です。具体的には、同じように価格が上昇していても、出来高を伴って上昇しているのか、それとも出来高が少ない状態でスムーズに上昇しているのかを見分けることで、トレンドの“持続力”を予測できるのです。
また、ボリューム系のオシレーターであるOBV(On Balance Volume)やVROC(Volume Rate of Change)と比較しても、EOMは「価格の動きの容易さ(ease)」に特化している点がユニークです。OBVは累積的な出来高に基づきますが、EOMは毎日の変動をベースにするため、より“リアルタイムなトレンド感”を反映しやすい特性があります。
誤ったシグナルを回避するための注意点
EOMは便利な指標ですが、万能ではありません。特に「価格変動が少ないが出来高が急変した場合」や「ボラティリティの高い相場」では、ノイズとして誤ったシグナルを発生しやすくなります。そこで重要なのが、「EOMだけに頼らない」視点です。
まず第一に、ノイズを減らすには「移動平均を重ねて滑らかにする」というテクニックが有効です。EOMの元データにシンプルな移動平均線(SMA)を適用することで、短期的な上下動によるダマシをある程度回避できます。また、急激な値動きに左右されないように「一定のフィルタールールを設ける」こともポイントです。たとえば、「EOMがゼロラインを3日以上上抜け継続した場合のみシグナルとする」など、ルールを明確にすることで精度を高められます。
さらに、他のテクニカル指標との併用も大切です。特にMACDやRSI、ADXといったトレンドの方向性や強さを示す指標とEOMを組み合わせることで、より信頼性の高い判断が可能になります。「EOMが上昇中かつ、MACDがゴールデンクロス」というように、複数の指標でシグナルが一致する場合を狙うのが基本戦略です。

EOMを過信しないための心得
EOM(Ease of Movement)は、確かに便利な指標ですが、「これさえ見ていればOK」と思い込んでしまうのは危険です。なぜなら、EOMが測定しているのは“動きのスムーズさ”であって、必ずしも「買い時」「売り時」を明確に教えてくれるわけではないからです。
たとえば、EOMがプラス圏であっても、実際のチャートでは急落が始まることもあります。その理由は、EOMが価格の“相対的な勢い”を示すに過ぎず、絶対的な方向や価格水準を保証していないからです。ここで重要なのは、EOMは「トレンドの補助指標」として使うべきだということです。
さらに、分析に一貫性を持たせることも過信を防ぐポイント。つまり、「いつ・どのような条件でEOMを使うか」を明確に決めておくことで、感情的な判断を避けられます。たとえば、「EOMが3日連続でゼロラインを超え、なおかつMACDもゴールデンクロスを示したら買いエントリーする」といったルールを自分の中で定めておくと、ブレのないトレードが可能になります。
EOMを利用した売買ルールの構築方法
EOMをトレード戦略に組み込むには、「明確で一貫性のある売買ルール」を設定することが不可欠です。まず最初に考えるべきは、どのような値動きを“エントリーのサイン”とするかです。典型的な設定では、「EOMがゼロラインを上抜け、かつ過去3本の値より上昇している場合に買いエントリー」という条件が使われます。これは、価格が出来高に対してスムーズに上昇し始めたことを示すシグナルと解釈されます。
次に重要なのが、エグジット(利益確定や損切り)のルールです。たとえば、「EOMがピークをつけて減少に転じたタイミングで一部利益確定」「ゼロラインを下回ったら損切り」といった形で、明確なルールを持っておくことで感情的な判断を防げます。
さらに、売買ルールの精度を上げるには、他のテクニカル指標との併用が有効です。たとえば、EOMとMACDを組み合わせ、「EOMが上昇している状態で、MACDがゴールデンクロスを形成した場合のみエントリー」とすれば、シグナルの信頼性が高まります。
最後に、このようなルールをMetaTraderやTradingViewといったプラットフォームに実装し、バックテストを行うことが推奨されます。過去のデータでどの程度機能したかを検証することで、実運用の前に“勝ち筋”と“注意点”を事前に把握できます。
「感覚で動いて損をした…」という後悔を減らすためにも、EOMをルール化して運用するスタイルは非常に理にかなっているのです。
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