
テクニカル分析の中でも、「今の価格は予測価格と比べてどうなのか?」を一目で把握できるのが、「Forecast Oscillator(フォーキャスト・オシレーター)」という指標です。
でも実際のところ、「予測価格ってなに?」「使ってる人を見たことないけど、本当に役立つの?」なんて疑問を抱く方も少なくありません。
本記事では、Forecast Oscillatorの仕組みから実践的な使い方、他のテクニカル指標との比較、注意点までを徹底的に解説します。
Forecast Oscillatorとは?基礎から理解するテクニカル指標
Forecast Oscillator(フォーキャスト・オシレーター)とは、未来の価格を予測する「Time Series Forecast(TSF)」と現在の価格との乖離を数値化したテクニカル指標です。

チャート上に表示された予測線(TSF)と、実際の終値の差を基に、トレンドの強弱や方向性を判断します。
仕組みは至ってシンプル。予測価格より実際の価格が上なら「強気(買い)」、下なら「弱気(売り)」と捉えます。つまり、「今の価格が想定より高いのか安いのか」をリアルタイムで示します。
RSIやストキャスティクスと同様、0ラインを中心に上下に振れる形で描かれます。ゼロラインより上にある場合は価格が予測値を上回っている=上昇圧力が強い、逆に下回っていれば下降圧力が強い、と解釈できます。

「予測」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、Forecast Oscillatorは価格に基づく単純な線形回帰を元にしているため、非常に論理的かつ視覚的に分かりやすいのが特徴です。
この指標を知ることで、単なるローソク足の並びだけでは気付きにくい“価格の勢い”を数字で把握できるようになります。「あの時、もう少し早く仕掛けていれば…」という悔しさを減らす、頼もしい分析ツールの一つといえるでしょう。
Forecast Oscillatorの概要と仕組み
Forecast Oscillatorの核となる考え方は、「予測価格と実際の価格の差を評価する」というものです。具体的には、直近の一定期間の終値を使って線形回帰(Linear Regression)を行い、その延長線上にある「予測価格(Time Series Forecast)」と当日の終値との差をパーセンテージで表示します。
計算式は以下の通りです
Forecast Oscillator (%) = [(実際の終値 - 予測価格) ÷ 予測価格] × 100
この式によって導かれる値がプラスであれば、現在の価格は予測よりも上、つまり上昇の勢いが強いと判断されます。逆にマイナスであれば、予測より下にあるため、下落トレンドや弱含みのサインと解釈されます。
「ゼロライン」が大きな基準点となるのが特徴で、オシレーター系指標の中でも視覚的にトレンド判断がしやすい指標です。特に、予測価格に対して実勢価格がどの程度乖離しているかを瞬時に見極めることが可能なため、トレンドの“過熱感”や“過小評価”を数値で把握できるのです。
線形回帰との関係性と計算式の理解
Forecast Oscillatorを語る上で欠かせないのが、「線形回帰(Linear Regression)」の理解です。この指標は、未来の価格予測を行うために、過去の価格データに対して線形回帰を適用します。線形回帰とは、価格の動きを最もよく説明する「1本の直線」を導き出す統計手法のひとつで、トレンドの方向性や傾きを定量的に把握する際によく使われます。
Forecast Oscillatorでは、この回帰直線の延長線上に位置する「未来の価格」すなわち「Time Series Forecast(TSF)」を算出します。このTSFと当日の終値との差をもとに、オシレーターを描画します。つまり、Forecast Oscillatorは線形回帰から導き出された“予測値”に基づき、現在の価格が過剰に評価されているか、あるいは過小評価されているかを判断するのです。
もう少し噛み砕いて言うと、線形回帰は「価格の流れ」を一本の線にして表す方法。そしてForecast Oscillatorは、「その流れに比べて、今の価格がどう位置しているのか?」をパーセンテージで示してくれる指標なんですね。
このように、Forecast Oscillatorは線形回帰という非常にロジカルなアプローチをベースにしながら、感覚的な売買判断を数値化する役割を果たしています。「なんとなく高値圏かも?」という曖昧な感覚に頼らず、客観的な根拠で相場を読むことができるのです。
Forecast Oscillatorの使い方と設定方法
Forecast Oscillatorは、TradingViewやMetaTraderなど主要なチャートツールで使用可能です。その導入自体は非常にシンプルですが、使いこなすためには設定値や表示方法をしっかり理解しておくことが大切です。
まず大前提として、Forecast Oscillatorを使うには、対象となるチャートに「Time Series Forecast(線形回帰予測線)」を描画し、それと終値との差異をオシレーターとして表示する必要があります。
TradingViewなどでは、標準のインジケーターリストには含まれていないことも多いため、「カスタムインジケーター」や「Pine Script」による導入が必要になるケースもあります。
とはいえ、設定方法自体はそこまで難しくありません。パラメーター設定では、期間(Length)をどの程度にするかが最も重要なポイントです。
視覚的には、0ライン(ゼロライン)を太めのグレーなどで強調し、プラス圏・マイナス圏で色分けすると視認性が向上します。また、終値に対するオシレーター値のパーセンテージ表示は、他銘柄との比較分析にも役立ちます。
カスタマイズによる精度向上のポイント
Forecast Oscillatorは、そのまま使うだけでも一定の効果はありますが、自分のトレードスタイルに合わせてカスタマイズすることで、分析の精度を大きく向上させることができます。

ここでは、設定項目ごとに注目すべきポイントを具体的にご紹介します。
- Length(期間):最も重要なパラメータです。14がデフォルトでよく使われますが、短期なら7〜10、長期なら20〜30など調整します。
- ゼロラインの表示:チャート上の中央線が視覚的な基準になります。色や太さを調整して視認性を高めましょう。
- アラート機能:多くのForecast Oscillatorには、ゼロラインをクロスした時に音や通知で知らせるアラートが付いています。事前に設定しておけば、チャートを見ていなくても反応できます。
- スムージング(滑らかさ):ボラティリティの高い市場では、スムージングを加えることでノイズを減らし、シグナルの精度を上げることが可能です。
Chande Forecast Oscillator(CFO)との違い
Forecast Oscillatorと混同されやすい指標の一つに、「Chande Forecast Oscillator(CFO)」があります。名前が似ているため混乱しがちですが、実はこの2つ、根本的なロジックも使いどころも異なります。
Forecast Oscillatorが「線形回帰による予測価格との乖離」に着目しているのに対し、Chande Forecast Oscillatorは「一定期間の予測価格と終値の差」を蓄積的に扱う点がポイントです。
具体的には、CFOは以下のような式で構成されます
CFO = 終値 - Forecast(予測値)
このため、CFOは値動きの勢い(モメンタム)を反映しやすく、より“直感的なシグナル”として活用されることが多いです。
短期的な反転を狙うトレーダーにとっては、予測と実際の差をそのまま表示するCFOの方がシンプルで扱いやすいと感じるかもしれません。

一方で、Forecast Oscillatorは「予測値との相対的な乖離率」を%表示するため、価格帯による影響を排除しやすく、異なる銘柄や時間軸でも比較的一貫した見方ができるのが特徴です。
たとえば、1,000円の銘柄でも10,000円の銘柄でも、パーセンテージで比較できるのはForecast Oscillatorの強みです。
まとめると
- Forecast Oscillator:線形回帰による予測価格との差を%表示(比較的中長期向け)
- Chande Forecast Oscillator:予測と終値の差を数値で表示(短期のモメンタム把握向け)
両者は同じ“予測系”の指標でも、視点や計算アプローチが違うため、目的に応じて使い分けるのが効果的です。
Forecast Oscillatorを使った売買戦略
Forecast Oscillatorを効果的に使いこなすには、単なる“乖離率の確認”にとどまらず、相場の状況に応じた戦略的な活用がカギとなります。
まず最も基本的なのが、ゼロラインを中心としたクロス戦略です。価格が予測値を上回る、つまりオシレーターが0%を上抜けたタイミングは“買いサイン”。

反対に下回る時は“売りサイン”として扱われます。特に、強いトレンド発生時には、このクロスが非常にシンプルかつ明確な判断基準になります。
さらに注目すべきは、Forecast Oscillatorを他のテクニカル指標と併用することで、精度が一気に高まるという点です。

これにより「シグナルの裏付け」が取れ、無駄なエントリーを減らすことができるのです。
予測価格と実際価格の乖離からエントリーポイントを見極める
Forecast Oscillatorの真骨頂は、「価格の乖離」に着目することで、エントリーポイントを論理的に導き出せる点にあります。
Forecast Oscillatorがプラス圏にあるということは、実際の価格が予測価格を上回っている状態。これは市場が強気である、あるいは短期的に買われ過ぎていることを意味します。
一方で、マイナス圏にある場合は、価格が予測値を下回っており、売り優勢または売られ過ぎの可能性を示します。
この乖離を活用した代表的な戦略が以下の2つです
【順張り】トレンド追従型
オシレーターがゼロラインを上抜け、なおかつ継続してプラス圏を維持している時は、価格が予測値を上回り続けている証拠。
これは“トレンドが強い”サインであり、押し目買いを狙うタイミングです。特に、他のトレンド指標(例:移動平均線)と組み合わせて使うと効果的です。
【逆張り】過熱・過小評価の反転狙い
オシレーターが+5%や−5%といったしきい値に到達している場合は、価格が予測値に対して極端に乖離していることを意味します。
このような場面では、反転の可能性を疑い、順張りではなく逆張り視点でのエントリーを検討します。たとえば、「+8%まで上昇後に反転サインが出たら売り」など、戦略的に活用可能です。
乖離幅だけでなく、そのスピードや傾きの変化にも注目することで、価格の勢いを事前に察知できることがあります。たとえば、乖離が急速に拡大した直後に急収束するパターンは、「オーバーシュート」と呼ばれる典型的な反転兆候です。
このように、Forecast Oscillatorは「ただのオシレーター」ではなく、「予測とのギャップ=市場の歪み」を捉える精密機器のような存在です。

チャートの波に飲まれず、自分の軸で判断したい方にこそ最適なツールといえるでしょう。
RSIやMACDとの組み合わせで精度を向上
Forecast Oscillator単体でも一定の判断材料になりますが、他のテクニカル指標、特にRSIやMACDと組み合わせることで、シグナルの信頼性は格段に高まります。
RSI(Relative Strength Index)との組み合わせ
まず、RSI(Relative Strength Index)との組み合わせです。
RSIは価格の“買われすぎ・売られすぎ”を数値化する指標で、特にレンジ相場や反転狙いのトレードに強みを発揮します。
一方、Forecast Oscillatorは価格の“予測値とのギャップ”を見るため、トレンドの強弱を示します。この2つを組み合わせると、例えば以下のような活用が可能です
- Forecast Oscillatorがゼロラインを上抜け、RSIが50を超えている → 買いポジション有力
- Forecast Oscillatorが−5%以下、かつRSIが30未満 → 反転の兆しで買い場到来?
このように、トレンドとモメンタム両方の視点を得ることで、エントリーや利確の根拠を多角的に評価できます。

MACD(Moving Average Convergence Divergence)との組み合わせ
次にMACD(Moving Average Convergence Divergence)との組み合わせです。
MACDは短期と長期の移動平均線の乖離を基に、トレンドの変化を視覚的に捉えるツールです。Forecast Oscillatorがトレンドの勢いを示すのに対し、MACDは“転換点”を浮き彫りにするのが得意です。
たとえば
- MACDラインがシグナルラインを上抜け、かつForecast Oscillatorがゼロラインを上抜けたら → 強気継続の可能性大
- MACDがデッドクロスし、Forecast Oscillatorがマイナス圏に沈んでいれば → 下落トレンドに注意
このように、両者の“タイミング”と“方向性”が一致する瞬間は、特にエントリー・エグジットの確度が高くなります。

さらに、いずれの指標もオシレーター系なので、チャート画面に一緒に表示しても違和感がなく、視覚的にも非常に整理しやすいのが魅力です。

インジケーターを“共鳴させる”ことで、より洗練されたトレード判断が可能になります。
ダマシ回避と複数指標の活用例
Forecast Oscillatorは有効なテクニカル指標ですが、どんな指標にも「ダマシ(false signal)」のリスクはつきものです。
特に、価格がレンジ内で動いている時期や出来高が少ない場面では、ゼロラインのクロスが頻発し、誤った売買判断に繋がることも。
まず代表的なダマシのパターンは、「ゼロラインを一時的に上抜けたが、すぐに反落して再びマイナス圏に戻る」といったケース。
こういった“クロスしたけど勢いが続かない”動きは、トレンドの強さが乏しいレンジ相場でよく見られます。

こうした場面での失敗を減らすには、「トレンドの継続性」を測る指標との組み合わせが有効です。
ここで役立つのがMACDです。たとえば、Forecast Oscillatorがゼロラインを上抜けたとしても、MACDがデッドクロス状態であれば「まだ本格的な上昇ではない」と判断できます。
逆に、MACDがゴールデンクロスしていて、Forecast Oscillatorもプラス圏にあるなら、“ダマシではない本格的な上昇シグナル”の可能性が高まります。
また、RSIの水準をチェックすることで、過熱感の有無を判断できます。Forecast Oscillatorが+5%を超えている状態で、RSIがすでに70以上であれば、「上昇余地が限られている=反転の可能性もある」と判断でき、利確や様子見の選択肢が生まれます。
さらに実戦的な応用としては、以下のようなシナリオが考えられます
- エントリー例(買い)
Forecast Oscillatorがゼロラインを上抜け
+ MACDがゴールデンクロス
+ RSIが50を超えて上昇中
→ 複数指標が同方向ならエントリー判断に信頼性あり - エグジット例(売り)
Forecast Oscillatorが急激に+7%まで拡大後、反転気配
+ RSIが70超えで横ばい
+ MACDのヒストグラムが縮小傾向
→ 過熱感と反転の兆候が一致すれば利確タイミング
このように、Forecast Oscillatorを単体で“絶対視”するのではなく、あくまで全体の判断材料の一部として位置づけることが、トレードにおける“ダマシ回避”の最大の秘訣です。

複数指標を使うことで相場の輪郭がよりクリアに見えてくる、それが複合分析の真髄なのです。
Forecast Oscillatorインジケーター ダウンロード
以下のボタンから、「Forecast_Oscillator_systre.ex4」をダウンロードできます。
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