
「FXのカバー取引って聞いたことあるけど、正直よく分からない…」そんな声、多く聞きます!実はこの“カバー取引”、FX業者が自分たちのリスクを抑えるために不可欠な仕組みなんです。
今回はそんなFXの“裏側”にスポットを当てて、初心者にもわかりやすく解説していきます!
カバー取引とは何か
定義(FX会社が市場にヘッジを出す仕組み)
カバー取引とは、FX業者が顧客からの注文に対して、同等または逆方向の取引を外部の金融機関に発注し、自社のリスクをヘッジする行為のことです。
カバー取引とは、
FX会社が顧客の注文と同じ方向のポジションを、外部の市場(カバー先)に出してリスクを中立化する行為 のこと。
- 顧客が「買い」→ ブローカーも外部に「買い」
- 顧客が「売り」→ ブローカーも外部に「売り」
これで、FX会社は顧客の損益に左右されない “中立の立場” を維持できます。
アドバイス顧客の注文をブローカーが丸呑みしないようにするためのヘッジ行為。
B-book / A-book との違い
A-book(カバー方式)
- 顧客注文を外部市場へ流す
- FX会社は手数料/スプレッドしか利益にならない
- 顧客が勝っても負けても会社は中立
- 約定力はカバー先依存
= 完全にヘッジするのがA-book
B-book(ディーリング方式)
- 顧客の注文を自社の内部で相殺
- 外部にカバーを出さない
- 顧客の損失がFX会社の利益になる構造
- 約定はブローカー内部処理なので速い
- ただし、リスク管理が甘いと会社が損失を負う
= カバーしないのがB-book
カバー取引の仕組み(流れ)
カバー取引は「顧客注文 → FX業者 → 金融機関(カバー先)」という流れで進行します。
顧客注文 → ブローカー内部 → LP/市場へのカバー
カバー取引の基本フローは次の通り。
① 顧客がMT4/MT5で注文
↓
② ブローカー内部の「ブリッジ(接続システム)」に到達
↓
③ リスクエンジンが A-book に振るか B-book に振るか自動判定
↓
④ A-book判定の場合、外部LPへ同方向の注文を流す(カバー)
↓
⑤ LPから約定価格が返り、顧客にも約定価格が返される
ポイントは、
- 顧客の注文は 必ず一度、ブローカー内部を通る
- そのタイミングで A/B判定が行われる
- A-bookの場合のみ LPに発注が送られる
ネッティング(対顧客ポジションの相殺)
ネッティングとは
顧客同士の買いと売りを相殺し、外部への発注量を最小化する仕組み。
例
- 顧客A:USDJPYを1lot買い
- 顧客B:USDJPYを1lot売り
この場合、ブローカーの内部では
→ Aの買い 1lot と Bの売り 1lot が相殺(=0)
→ 外部LPへカバー発注は不要(コストゼロ)
実務的には、内部の総ポジションを常に計算して
内部で相殺できる部分は相殺し、残りだけをLPへカバーする
これでブローカーは
- LP手数料を節約
- 自社リスクを抑制
- スプレッド維持コストを低減
といったメリットを得ることができます。
マージン・流動性配分の最適化
ブローカーは複数のLPを持っており、
その時に最も良い価格・最も深い流動性を持つLPへ割り当てる。
これを「スマートオーダールーティング(SOR)」と言う。
最適化の要素
- スプレッド
- 約定速度
- 約定拒否の少なさ
- 深さ(Depth of Market)
- LP側の手数料(per millionコスト)
また、ブローカー自身もLPに担保(マージン)を預けているため、
- カバー量が増えすぎないように
- リスクが過大にならないように
内部ポジションと外部ポジションの比率をリアルタイムで調整する。
この「最適配分」が上手い会社ほどスプレッドが安定し、約定が速いです。
自社A-book/B-bookのミックスモデル
現代のFX会社の99%は Hybrid(ミックス)。
A-bookに回されるパターン
- スキャルピング
- ニューストレード
- 高勝率EA
- 裁量で異常に勝つ少数の顧客
- 取引回数が多すぎて内部リスクが肥大化する顧客
= 自社に損失リスクを与える顧客 → A-book
B-bookに回されるパターン
- 小ロットの一般ユーザー
- 長期保有・低頻度
- 初心者
- 上手くないトレーダー(統計データで判断)
- 純粋な小売ユーザー
= リスクが低い顧客 → B-book
アドバイス一部の業者では、カバー率やカバー先の一覧を公開しているところもあり、こうした情報は業者の信頼性を測るうえでの重要な指標となります。
つまり、私たちが注文ボタンを押したその先には、業者のリスク管理体制と、リアルな金融市場とのやり取りが密接に関わっているのです。
カバー先とは
カバー先(LP:Liquidity Provider)とは
FX会社がヘッジ注文(A-book注文)を流す相手 のこと。
Tier1銀行(最上位の流動性源)
主に世界のメガバンク。
為替の流動性を供給している層。
- JP Morgan
- Citi
- UBS
- Goldman Sachs
- Deutsche Bank
- HSBC
- Barclays
特徴
- 流動性が圧倒的
- 基本スプレッドが最狭
- システム要求と最低発注量が高い
- 小規模FX業者は直接契約できない
- 日本の店頭FXはこの層と直接契約が多い
= FX市場の核心だが、小売向けブローカーが単独でアクセスするのはほぼ不可能。
ノンバンクLP(非銀行の流動性供給者)
近年急成長した、高速取引企業(HFT)や電子マーケットメイカー。
- XTX Markets
- LMAX
- Jump Trading
- Sucden Financial
- CFH (Saxo)
- GBE / Pepperstone Liquidity
- Finalto
特徴
- テクノロジーが強く、約定速度が速い
- ボラティリティ時の安定性は銀行に劣ることもある
- 小売FX向けに最適化された価格配信
- 多くのオフショアFX業者はこの層が中心
= 海外FXの9割はノンバンクLPを主要カバー先にしている。
Prime Broker / Prime of Prime(PoP:仲介業者)
PoPは
ブローカーと大手LPの間に入って、市場アクセスを提供する“仲介層”。
- ISPrime
- Saxo Bank
- Invast Global
- B2Broker
- Advanced Markets
- Finalto (ex-Gain GTX)
役割
- 小さなFX会社に「市場アクセス権」を提供
- LP複数への接続を一括で代行
- 流動性プールを統合して最適化
- 証拠金(担保)を預けやすくする
PoPを使う理由
- Tier1銀行と“小売FX業者”は直接契約できない
- 資金要件(数百万〜数千万ドル)が高すぎる
- 技術要件、法務要件も重すぎる
= 実際、海外FXのほぼ全社がPoP経由で市場とつながっている。
カバー取引のメリット
カバー取引による業者のリスク軽減と顧客保護
カバー取引は、FX業者のリスク軽減だけでなく、顧客の取引環境を安定させるという大きな役割を果たしています。
アドバイスまず最大のメリットは、為替レートが急変した場合でも、業者が巨額の損失を回避できる点。これにより、業者の経営が安定し、結果的に顧客の資金も安全に保たれるという好循環が生まれます。
「為替が急騰したら、業者が潰れて自分の口座資金も飛ぶんじゃ…?」そんな不安を感じたことはありませんか? 実はカバー取引の存在が、こうした事態を防ぐための“安全装置”なんです。
また、リスクを外部に移転することにより、業者はスプレッド(買値と売値の差)を安定的に提供できます。取引が多くなる時間帯や、重要指標発表時にも大きなスプレッドの拡大を防ぎやすく、トレーダーにとっては非常にありがたい環境になります。
ただし、顧客からは直接見えにくい部分でもあるため、カバー体制をきちんと開示している業者を選ぶことが、安心した取引への第一歩となります。
カバー取引に潜むリスクや注意点
カバー取引にはメリットがある一方で、利用者が注意すべきリスクや限界も存在します。
まず意識したいのは、「カバー率が100%でない」業者の存在です。業者によっては、全ての注文をカバーせず、一部は内部処理(マリー)で完結させることで、コストを抑えています。これ自体は違法ではありませんが、偏ったポジションを抱えたまま相場が急変すると、業者が損失を被り、それが顧客資金に波及するリスクがあります。
また、カバー先の選定や発注タイミングが最適でない場合、「スリッページ」や「約定拒否」といったトラブルが起こることも。これは「発注した価格で取引が成立しない」「注文が通らない」といった現象で、特に相場の急変時に発生しやすくなります。
さらに、カバー取引の実施状況や詳細を開示していない業者は、透明性に欠けるケースがあります。こうした業者では、自社に有利な取引環境を構築している可能性もゼロではありません。
ユーザーとしては、「カバー率」「カバー先の公表」「注文方式(DD or NDD)」などの情報を事前にチェックし、信頼できる業者を選ぶ目を養うことが重要です。
特に初心者は、見た目のスプレッドやキャンペーンだけで業者を選ばず、こうした“裏側の仕組み”にも注意を向けることで、より安全な取引環境を構築できます。
カバー率と信頼性:FX業者選びで重視すべき要素
カバー率とは何か?高カバー率が意味するもの
カバー率とは、FX業者が顧客の注文に対して、どの程度を外部のカバー先にヘッジしているかを示す指標です。
例えば、カバー率90%という表記があれば、顧客の注文のうち90%はカバー取引として外部へ発注し、残り10%は業者内で処理されていることを意味します。カバー率が高ければ高いほど、業者のリスクが抑えられ、顧客にとっても安定した取引環境が期待できるのです。
また、業者によっては「リアルカバー方式」や「全額カバー方式」など、独自のカバー方針を掲げている場合もあります。こうした表記は、顧客のポジションが外部にヘッジされる可能性が高いことを示しており、信頼性を測るうえでの目安として有効です。
ちなみに、カバー率が高いことはスプレッドの安定性や、極端な約定遅延の回避にも寄与します。これはとくに、経済指標の発表時や突発的なニュース発生時など、相場が荒れやすい局面で明確に体感できます。
結論として、「カバー率が高い=リスク管理がしっかりしている業者である可能性が高い」と言えるでしょう。
信頼できるFX業者の選び方とチェック項目
FX業者を選ぶ際は、カバー体制の透明性や金融庁の登録状況など、複数の要素を総合的に確認することが大切です。
まず最初に確認すべきは「金融庁登録業者」であること。日本国内で正規に営業しているFX業者は、金融庁の登録を受けており、顧客資産の分別管理が義務付けられています。これは、万が一業者が破綻しても、顧客の資産が守られる制度です。
すなわち「DD方式」か「NDD方式」か。NDD(ノー・ディーリング・デスク)方式は、顧客の注文を市場に直接流すスタイルで、業者側の介入が少なく、カバー取引の透明性も高いとされています。一方DD方式では、業者が顧客の注文の相手となるため、カバー体制に信頼性が求められます。
複数の大手銀行やリクイディティプロバイダーをカバー先として明示している業者は、流動性が豊富で約定力も高くなる傾向があります。
実際のトレード体験に大きく影響します。表面的なスプレッドの狭さだけに注目せず、急変時の約定実績やサポート体制まで確認しておくと安心です。
アドバイス「なんとなく有名だから…」という理由だけで業者を選ぶのではなく、カバー取引の体制や業者の姿勢まで見極めることで、安定した取引環境を手に入れることができるでしょう。
カバー取引のよくある質問
カバー取引とは何ですか?
FX会社が顧客の注文をそのままカバー先(銀行・LP)に流してヘッジする取引です。顧客の損益を会社が被らないため、リスク管理の根幹となる仕組みです。
ノミ行為と何が違いますか?
ノミ行為は顧客注文をカバーせず“相対で受ける”行為で、顧客の損失が会社の利益になる構造です。カバー取引は顧客注文を外部に流すため、利益相反を抑えます。
すべてのFX会社がカバーしているのですか?
国内FXは法的にカバー取引が義務化されています。海外FXは会社ごとに異なり、A-bookとB-bookを併用するハイブリッドが一般的です。
A-book / B-book の違いは?
A-bookは顧客注文を外部にカバー。B-bookは社内で受ける方式。A-bookは透明性が高く、B-bookは収益性が高いが利益相反リスクがあるため、通常は併用されます。
なぜFX会社はカバー取引をする必要があるのですか?
顧客注文をカバーしないと、顧客の利益=会社の損失となり、価格急変で破綻リスクが高まるためです。カバーにより会社の市場リスクをゼロにできます。
A-bookのメリットとデメリットは?
メリット:透明性・市場と同じ動き・利益相反なし。
デメリット:収益性が低い・スプレッドが広めになりやすい。
B-bookのメリットとデメリットは?
メリット:狭スプレッド・約定速度が速い・会社の収益が安定。
デメリット:利益相反構造・不正が疑われやすい。
カバー先とはどのような機関ですか?
大手銀行、プライムブローカー、流動性プロバイダー(LP)などです。LPの質によってスプレッドや約定力が大きく変わります。
顧客の注文が大きい場合どう処理されますか?
通常は分割して複数のカバー先に流します。一本で出すと市場インパクトが出るためです。
カバー取引は顧客に何のメリットがありますか?
約定の公平性が担保され、不正な“意図的な負けさせ操作”の可能性が大幅に低くなります。透明性の高いFX会社ほどA-book比率が高い傾向にあります。


