
価格の動きを平滑化し、トレンドの把握や売買のタイミングを見極めるために多くのトレーダーが活用しています。
この記事では、移動平均線の基本から応用までを丁寧に解説し、初心者でも簡単に理解できるようにお届けします。
移動平均線とは?
大きなトレンドを把握する上で使いやすい分析方法となっており、移動平均線とは、過去一定期間の終値の平均値を線で結んだテクニカル分析のことを指します。

一般的にこの移動平均線は、短期、中期、長期に分類され、それぞれ違った特徴を持ちます。
短期移動平均線
- 5日移動平均線
- この期間は非常に短く、短期的な価格の動きを敏感に捉えることができます。日常の小さな変動や一時的な反発・調整を捉えるのに適しています。
- 10日移動平均線
- 5日よりも少し長い期間のため、短期のトレンドを確認するのに適しています。
- 20日移動平均線
- 月に大体20営業日があるため、これを基にした20日移動平均線は1ヶ月の平均価格を表します。この期間の移動平均線は、中短期のトレンド分析に使われることが多いです。
短期の移動平均線は数日から数週間の価格データを基にし、市場の微細な動きに速やかに反応するため、その敏感さから日常の価格変動のノイズを捉えることが多いです。
この特性は新しいトレンドの開始を早期に察知するのに役立ちますが、偽のシグナルを生むリスクも高まります。
移動平均線は強固なサポートやレジスタンスとしては機能しにくく、他の期間の移動平均線との交差時には市場の方向性の変化を示す初期のサインとして注目されることが多いです。
中期移動平均線
- 50日移動平均線
- この期間は非常に短く、短期的な価格の動きを敏感に捉えることができます。日常の小さな変動や一時的な反発・調整を捉えるのに適しています。
- 75日移動平均線
- この期間は約3ヶ月分の取引日をカバーしており、中期から長期のトレンドを捉えるのに適しています。多くのトレーダーや投資家がこのラインを参照するため、サポートやレジスタンスとしての働きを持つことも多いです。
中期の移動平均線は、短期と長期の移動平均線の間に位置し、その反応速度は一過性の価格変動には鈍く、大きなトレンドに対しては敏感です。
この特性により、数週間から数ヶ月の市場の中期的なトレンドを捉えるのに適しています。
さらに、価格のサポートやレジスタンスとしての機能や、短期の移動平均線との交差点(ゴールデンクロスやデッドクロス)を重要なトレンドのサインとして捉えるトレーダーも多いです。
長期移動平均線
- 100日移動平均線
- 中期から長期のトレンドを把握するのに役立つ移動平均線の一つです。こちらはより長期的な動きに焦点を当てるため、50日よりもさらに滑らかなカーブを持ちます。
- 200日移動平均線
- これは非常に人気のある長期的な移動平均線で、主要なトレンドを示す指標として広く利用されています。多くのトレーダーや投資家は、価格が200日移動平均線の上か下かで市場の長期的な方向性を判断します。
長期の移動平均線は、市場の長期的なトレンドや動向を把握するのに役立つ指標として広く認識されています。
短期や中期の移動平均線と比べて反応が鈍く、より滑らかなカーブを描くため、日々の価格変動やノイズの影響を受けにくいのが特徴です。
この移動平均線は、価格がその上か下かに位置することで上昇トレンドや下降トレンドを示唆するとともに、200日移動平均線のように強力なサポートやレジスタンスとしても機能します。
移動平均線はトレンドを表す
レートが上昇傾向になっているときは、移動平均線はローソク足の下に位置し、サポートラインのような動きをします。


一方レートが下落傾向になっているときは、移動平均線はローソク足の上に位置し、レジスタンスラインのような動きをします。


このようにトレンドラインのように捉えることができ、一般的に大きなトレンドと言われるのは25日線以上の傾きとなります。



このように考えることができるので、移動平均線を見るだけで、今相場がどのようなトレンドであるかの基準にすることができます。
移動平均線の種類
シンプル移動平均(SMA)
シンプル移動平均(Simple Moving Average)略してSMAは、FX取引の際に非常に役立つ基本的な指標です。その名の通り「シンプル」に、特定の期間内の価格の平均を表す線を描くものです。このSMAは、期間中の終値を全て合計し、その日数で割ることで算出されます。複雑な計算や知識は一切不要です。
例えば、SMAが上向きにカーブしている場合、市場のトレンドが上昇している可能性が高いと解釈されます。逆に、下向きの場合は下降トレンドを示すことが多いです。


指数移動平均(EMA)
シンプル移動平均(SMA)が一定期間の価格の単純な平均をとるのに対し、EMAは最近の価格変動に重みを置いて計算します。これにより、市場の最新の動きをより敏感に反映することができます。


加重移動平均(WMA)
特に、直近のデータに高い重みを与えることで、最新の価格変動により素早く反応する特徴があります。


移動平均線の活用方法
移動平均線はFXのチャート分析で非常に重要な役割を果たしています。移動平均線を上手く活用することで、取引を開始するエントリーのタイミングや、取引を終了するエグジットのタイミングをより明確にすることが可能となります。
グランビルの法則
グランビルの法則は、簡単に言うと、「価格が移動平均線を上抜けたら買い、下抜けたら売り」という考え方を基に基づいたものです。


価格が移動平均線を上抜けしたときは、それが上昇トレンドの始まりのサインとして捉えられるため、「買い」のチャンスとみなします。
逆に、価格が移動平均線を下抜けしたときは、下降トレンドの始まりのサインとして「売り」のチャンスと考えることができます。
ゴールデンクロス
「ゴールデンクロス」とは、テクニカル分析の中で非常に重要なサインの一つです。具体的には、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に”追い越す”瞬間を指します
このゴールデンクロスが現れた時、それは市場の気分が上向きに変わり、上昇トレンドの始まりを示唆する強い兆候となります。そのため、多くのトレーダーや投資家はこれを「買い」のサインと解釈します。
ただし、ゴールデンクロスが出現したからといって、すぐに価格が上昇するとは限りません。他のテクニカル指標や市場の状況も合わせて判断することが大切です。
デッドクロス
逆に、「デッドクロス」は短期の移動平均線が長期のものを”下に”交差して落ちていく現象を示します。
デッドクロスは、市場の勢いが失われ、下降トレンドがスタートする可能性が高いという警告信号です。
そのため、多くのトレーダーはこれを売りのチャンス、つまりポジションを手放す、または新たに売りの注文をする良いタイミングと解釈します。ただし、どんなサインも絶対ではありません。
デッドクロスを判断材料の一つとして、他の情報や分析と併せてトレード戦略を練ることが重要です。
まとめ
移動平均線は強力な指標ですが、単独では不十分です。他の指標と組み合わせて複合的に分析することが重要です。
FX初心者は移動平均線を活用しつつ、他の指標とのシナジーを理解し、確実な取引戦略を立てるべきです。