
GDPとは|名目と実質の違い、GNI・GNPとの違い

GDPの意味
GDPは、一定の期間に国内で生み出された付加価値の合計です。付加価値は、売上から原材料などの中間投入を引いた、新しく生み出された価値のことです。日本企業が海外で生産したぶんは、日本のGDPに含まれません。四半期ごとに計算するので、「2026年4-6月期」のように、3か月ごとの数字が公表されます。
名目GDPと実質GDPの違い
名目GDPは、その時点の物価で計算したGDPです。実質GDPは、基準にした年の物価で計算し直して、物価の変化を除いたGDPです。内閣府の2026年4-6月期の2次速報では、実質GDPの前期比は0.4%(年率1.4%)、名目GDPの前期比は1.3%でした。名目のほうが0.9ポイントほど大きいのは、物価が上がったぶんが名目に含まれるためです。名目を実質で割ったものが、GDPデフレーター(物価の動きを表す数字)です。
内閣府の概要資料では、実質GDPの前期比と年率が、最初に示されます。図の実質の棒を見ると、2025年7-9月期はマイナスの−0.4%、2026年1-3月期は0.5%でした。年率は、その四半期の伸びが1年続いたと仮定して換算した数字です。
GNI・GNPとの違い
| 指標 | 数えるもの |
|---|---|
| GDP | 国内で生み出された付加価値 |
| GNI(国民総所得) | 国民が受け取った所得。海外からの所得を含む。GNIの記事 |
| GNP(国民総生産) | 国民が生み出した付加価値。現在の統計はGNIで示す。GNPの記事 |
日本企業が海外で稼いだ利益は、日本のGDPには入りませんが、日本に受け取られれば日本のGNIに入ります。為替の記事で「GDP」と書かれているときは、ほとんどの場合、国内で生み出された価値を数えるGDPを指します。
アドバイス名目は物価の上昇を含み、実質は除いた数字だよ。2026年4-6月期は、名目1.3%に対して実質0.4%だったね。
GDPの計算方法|生産・支出・所得の3つの面

GDPは、生産・支出・所得のどの面から数えても、理論上は同じ額になります。これを三面等価といいます。四半期ごとの速報では、そのうち支出の面を中心に、需要の項目ごとの数字が公表されます。
生産面|付加価値を積み上げる
生産面は、産業ごとの付加価値を合計する方法です。付加価値は、売上から中間投入(原材料や外部サービス)を引いた額です。中間投入を引くので、同じものを二重に数えません。
支出面|消費・投資・政府支出・純輸出
支出面は、国内で使われたお金を合計する方法で、GDP = 消費(C)+ 投資(I)+ 政府支出(G)+ 純輸出(NX)で表します。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 消費(C) | 家計の支出 |
| 投資(I) | 設備投資、住宅、在庫の増加 |
| 政府支出(G) | 政府の消費、公共事業 |
| 純輸出(NX) | 輸出 − 輸入 |
図は、実質GDPの前期比を、国内の需要(内需)と純輸出(外需)に分けたものです。2026年4-6月期の2次速報では、内需が−0.1ポイント、外需が0.5ポイントで、実質GDPは0.4%の増加でした。2025年7-9月期は、内需が−0.2ポイント、外需が−0.2ポイントで、実質GDPは−0.4%でした。四捨五入のため、2つの合計は成長率と合わないことがあります。
所得面|誰の所得になったか
所得面は、生み出された価値が誰の所得になったかを合計する方法です。賃金などの雇用者報酬、企業の利益にあたる営業余剰、設備の減価償却にあたる固定資本減耗、生産にかかる税から補助金を引いたものを足します。
アドバイス図の2026年4-6月期は、内需が−0.1、外需が0.5だったよ。内需と外需のどちらが成長率を押し上げたかが分かるね。
GDPの発表時刻と発表日|速報値と改定の違い

米国と日本の発表時刻
米国は、商務省経済分析局(BEA)が、午前8時30分(米東部時間)に発表します。日本時間では、夏時間の時期が21時30分、冬時間の時期が22時30分です。日本は、内閣府が四半期ごとに、午前8時50分(日本時間)に公表します。どちらも年に4回で、日付は、それぞれの公表予定に出ます。
| 対象の期 | 米国(速報) | 日本(1次速報) |
|---|---|---|
| 2024年10-12月期 | 2025年1月30日 | 2025年2月17日 |
| 2025年1-3月期 | 2025年4月30日 | 2025年5月16日 |
| 2025年4-6月期 | 2025年7月30日 | 2025年8月15日 |
| 2025年7-9月期 | 2025年12月23日 | 2025年11月17日 |
米国の2025年7-9月期の最初の発表は、BEAの表記が「Initial Estimate」で、12月23日でした。この記事の測定では、これも米国の最初の発表として数えています。
速報値と改定値

日本は、最初の数字を1次速報、そのあとの改定を2次速報として公表します。2026年4-6月期は、1次速報の実質前期比が0.3%(年率1.1%)で、2次速報が0.4%(年率1.4%)でした。1-3月期は、前期比が0.5%のまま、年率が2.1%から1.8%に変わりました。2次速報のあとも、年に1回の国民経済計算年次推計で、数字が見直されます。
公式の発表予定と数字は、内閣府の国民経済計算の公表予定と、米国BEAのGDPのページ、BEAの公表予定で確認できます。
アドバイス米国は日本時間の夜、日本は朝の8時50分だよ。2026年4-6月期の1次速報は、2次速報で0.3%から0.4%に変わったね。
GDP発表後の値幅|ティックで測った米国と日本

測り方
Dukascopy のティックから作った足(bid)で、発表の時刻から30分間と60分間の、最高値と最安値の差(値幅)を測りました。USD/JPYとEUR/USDで、米国は2016年1月から2025年12月までの40回、日本は2016年5月から2026年8月までの1次速報42回です。日本のUSD/JPYは、朝のティックが足りない2016年8月から2017年2月の3回を除いた39回です。発表1回を1件と数えます。
比べる相手は、発表の日の前後8週間にある、同じ曜日・同じ時刻の日の値幅です。米国は午前8時30分(米東部時間)、日本は午前8時50分(日本時間)の、その地域の時刻をそろえているので、夏時間でもずれません。GDPを発表した日は相手から除きました。1件ごとに、発表の値幅を、相手の値幅の平均で割った倍率を出し、その中央値を見ています。相手の日には、米国の週間の失業保険申請件数のような、同じ時刻の別の指標が入る日もあります。
米国は広がり、日本は広がらなかった
| 組み合わせ | 30分の倍率 | 60分の倍率 | 30分の平均値幅(発表/同時刻) |
|---|---|---|---|
| 米国GDP・ドル円 | 1.27倍 | 1.29倍 | 38.4/29.3pips |
| 米国GDP・ユーロドル | 1.12倍 | 1.05倍 | 31.2/25.1pips |
| 日本GDP・ドル円 | 0.95倍 | 0.86倍 | 18.0/16.7pips |
| 日本GDP・ユーロドル | 0.77倍 | 0.83倍 | 7.4/8.5pips |
倍率は中央値です。米国GDPの発表後30分の値幅は、ドル円で40回のうち31回、ユーロドルで23回、同じ時刻の平均より広くなりました。2倍以上になった回は、ドル円で4回、ユーロドルで6回です。60分の値幅でも、ドル円は1.29倍で、40回のうち27回が平均より広くなりました。ドル円の最初の5分間の値幅は、倍率の中央値が1.45倍でした。
日本GDPの1次速報は、30分の倍率がドル円0.95倍、ユーロドル0.77倍で、1倍を下回りました。同じ時刻の平均より広くなった回は、ドル円で39回のうち16回、ユーロドルで42回のうち15回です。測った範囲では、日本の朝8時50分の発表後に、値幅が広がる動きは見られませんでした。米国と日本の差は、発表の時刻の違いも含んでいます。日本の8時50分は東京の朝で、米国の8時30分は米国の朝にあたり、同じ時刻の平均の値幅がもともと違います。
アドバイス米国GDPの発表後30分は、ドル円が中央値で1.27倍、ユーロドルが1.12倍だったよ。日本は1倍を下回ったね。
GDP発表直後の向き|最初の5分間のあとも続いたか

続いた割合
発表の時刻の価格から、5分後の価格までの動きの向きを見て、その5分後の価格から、さらに60分後の価格までの動きが、同じ向きだった割合を数えました。5分間または60分間で動かなかった回は除いています。比べる相手は、発表のない同じ曜日・同じ時刻の日で、同じ求め方で数えました。範囲は、ウィルソン法による95%の範囲です。
米国GDPのあと、同じ向きが続いた割合は、ドル円が55.0%(40回のうち22回)、ユーロドルが45.0%(40回のうち18回)でした。日本GDPは、ドル円が48.6%(37回のうち18回)、ユーロドルが45.2%(42回のうち19回)です。同じ時刻の発表のない日は、48.7〜50.7%でした。発表の回の範囲は、ドル円の米国が39.8〜69.3%など、どれも広く、50%を含みます。発表後5分間の向きが、そのあとも続くとも、戻るとも、言えませんでした。
アドバイス続いた割合は45.0〜55.0%で、どの範囲も50%を含んでいたよ。回数が40回前後なので、範囲は広いね。
GDP発表前後の取引|実例とリスク、MT4・MT5での確認

実例|2025年12月23日
図は、2025年7-9月期の最初の発表(Initial Estimate)の日で、午前8時30分(米東部時間)の発表です。発表の5分間で、USD/JPYは約21.3pips上がり、そのあとの60分間も約26.5pips上がりました。発表後30分の値幅は36.1pipsで、同じ曜日・同じ時刻の平均25.5pipsの1.42倍です。この例は同じ向きが続いた回ですが、前の節の測定では、続く回と戻る回がほぼ半々でした。
発表前後のリスク
測った範囲で、米国GDPの発表後は値幅が平均より広がる回が多く、向きは続く回と戻る回がほぼ半々でした。発表の前後にポジションを持つなら、値幅が平均の1〜2倍になることを前提に、損切りの位置と数量を決めておく必要があります。スプレッドや約定のずれは、FX会社ごとに違うので、発表前後の表示を、自分の口座で確かめてください。この記事の測定には、市場予想との差は使っていません。
MT4・MT5で発表時刻に印をつける
MT5は、ターミナルの「カレンダー」タブで、GDPなどの発表予定を確認できます。MT4にはこのタブがないので、前の節の公表予定で日付と時刻を確かめてください。発表の時刻には、チャートに垂直線を引いておくと、あとで値動きを見返せます。
- メニューの「挿入」から「ライン」「垂直線」を選びます。
- 発表の時刻の足をクリックして、線を置きます。MT4・MT5の時刻はFX会社のサーバー時間なので、日本時間との差を確かめてください。
- 発表の前後の値動きを、ローソク足で見返します。
ほかの指標との関係は、CPI(消費者物価指数)、米国雇用統計、日銀短観の記事にまとめています。
アドバイス図の12月23日は、発表後30分の値幅が同じ時刻の平均の1.42倍だったよ。向きが続くかどうかは、測った範囲ではほぼ半々だったね。
要点
・GDPは、国内で一定期間に生み出された付加価値の合計。日本は内閣府が四半期ごと、午前8時50分(日本時間)に公表
・米国は、BEAが午前8時30分(米東部時間)に発表。日本時間は夏が21時30分、冬が22時30分
・発表後30分の値幅は、米国GDPでは同じ時刻の平均の中央値1.27倍(USD/JPY)と1.12倍(EUR/USD)。日本GDPは0.95倍と0.77倍
・発表後5分間の向きが次の60分も続いた割合は45.0〜55.0%で、どの範囲も50%を含む
・測っていないのは、市場予想との差、売買の損益、勝率
GDPのよくある質問
GDPとは何ですか?
国内で生み出された付加価値の合計です。日本は内閣府が、3か月ごとに公表します。
GDPは何時に発表されますか?
日本は午前8時50分、米国は日本時間の夜です。米国は、夏が21時30分、冬が22時30分です。
名目GDPと実質GDPは、どちらを見ますか?
内閣府の概要資料は、実質の前期比と年率を先に示します。名目は、物価の上昇を含んだ数字です。
GDPの発表後、値幅は広がりますか?
米国は広がり、日本は広がりませんでした。発表後30分の値幅の中央値は、米国でUSD/JPYが1.27倍、日本のUSD/JPYが0.95倍です。
発表直後の動きの向きは、そのあとも続きますか?
続くとも戻るとも言えませんでした。続いた割合は45.0〜55.0%で、どれも50%を含む範囲です。
速報値と2次速報は、どれくらい違いますか?
2026年4-6月期は0.1ポイントの差でした。実質の前期比が、1次速報の0.3%から、2次速報で0.4%に変わりました。
GDPのまとめ
GDPは、国内で一定期間に生み出された付加価値の合計で、日本は内閣府が午前8時50分(日本時間)に、米国はBEAが午前8時30分(米東部時間)に発表します。Dukascopy のティックから作った足で測ると、発表後30分の値幅は、米国GDPでは同じ曜日・同じ時刻の平均の中央値1.27倍(USD/JPY)と1.12倍(EUR/USD)で、日本GDPは0.95倍と0.77倍でした。
発表後5分間の向きが、次の60分も続いた割合は、45.0〜55.0%で、どの範囲も50%を含みました。測っていない市場予想との差や売買の損益は、自分のデータで確かめてから使ってください。名目と実質の違いや、GNI・GNPとの違いは、本文の表とGNIの記事、GNPの記事にまとめています。
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