
GMMAとは?
オーストラリアのトレーダー、ダリル・グッピー(Daryl Guppy)氏によって考案されたテクニカル指標です。
この指標は、異なる期間の移動平均線を複数組み合わせることで、トレンドの強弱や方向を視覚的に確認しやすくし、エントリーやエグジットのタイミングを見極めるために活用されます。
GMMAの特徴
- 短期移動平均線と長期移動平均線の2つのグループで構成
- トレンドの強さや転換点を判断するのに適している
- 順張り・逆張りのどちらにも対応可能
GMMAと一般的な移動平均線の違い
GMMAと単純な移動平均線(SMA)や指数移動平均線(EMA)の違いは、複数の期間を組み合わせる点にあります。
通常、SMAやEMAは1本の移動平均線で市場の方向性やサポート・レジスタンスを示すのに対し、GMMAは12本の移動平均線を使用することで、トレンドの強弱や安定性をより細かく判断できます。
- SMA/EMA:単一の期間のデータを基に計算され、1本のラインで市場の傾向を追跡。
- GMMA:異なる期間の移動平均線を複数組み合わせ、トレンドの強弱や転換点をより正確に捉える。
例えば、移動平均線が横ばいであったとしても、短期と長期の移動平均線の動き方に違いがあることで、相場の潜在的な転換シグナルをGMMAは捉えることが可能です。
GMMAの構成要素
- 短期グループ(6本の移動平均線)
- 3日、5日、8日、10日、12日、15日という短い期間の移動平均線で構成されます。
このグループは、短期トレーダーの動きや市場の短期的な変動を反映します。短期の平均線が広がる(または縮まる)ことで、トレンドの変化を示唆します。
- 3日、5日、8日、10日、12日、15日という短い期間の移動平均線で構成されます。
- 長期グループ(6本の移動平均線)
- 30日、35日、40日、45日、50日、60日という長い期間の移動平均線で構成されます。
こちらは、長期投資家の動向や市場の長期的な動きが反映されます。長期の移動平均線は、短期に比べてゆっくりと変化し、トレンドの持続性や全体的な方向性を示します。
- 30日、35日、40日、45日、50日、60日という長い期間の移動平均線で構成されます。
この二つのグループ間の距離や収束・拡散が、市場のトレンドの強弱や転換を視覚的に示してくれるのがGMMAの特長です。
GMMAの仕組みと動作原理
GMMAの基本的な考え方は、短期移動平均線と長期移動平均線の関係を観察すること で、以下のようなシグナルを得ることができます。
① トレンドの強さを判断
- 短期移動平均線が長期移動平均線より上で広がっている → 強い上昇トレンド
- 短期移動平均線が長期移動平均線より下で広がっている → 強い下降トレンド
② トレンド転換を察知
- 短期移動平均線が長期移動平均線を上抜け → 買いシグナル
- 短期移動平均線が長期移動平均線を下抜け → 売りシグナル
③ 相場のエントリーポイントを見極め
- 短期移動平均線が収束した後に広がる → 新しいトレンドの始まり
- 乖離が縮小してくる → トレンドの弱まりを示唆
GMMAのメリットとデメリット
メリット
✅ トレンドの強弱を一目で判断できる
✅ 順張り・逆張りのどちらにも応用可能
✅ 他のインジケーターと組み合わせて使いやすい
デメリット
❌ ダマシが発生しやすい
❌ 相場の急変に対応しづらい
❌ 12本の移動平均線があるため、視覚的にわかりにくいことも
GMMAのおすすめパラメーター設定
GMMAのパラメーター設定は基本的に 3EMA~60EMA で設定されますが、トレードスタイルに応じて最適化できます。
トレードスタイル | 短期EMA | 長期EMA |
---|---|---|
スキャルピング | 3, 5, 8, 10, 12, 15 | 20, 25, 30, 35, 40, 45 |
デイトレード | 3, 5, 8, 10, 12, 15 | 30, 35, 40, 45, 50, 60 |
スイングトレード | 3, 5, 8, 10, 12, 15 | 30, 35, 40, 45, 50, 60 |
GMMAを活用したトレード手法
GMMAは、順張り・逆張りのどちらのトレード手法にも対応可能 です。ここでは、具体的なトレード手法について解説します。
① 順張り戦略(トレンドフォロー)
GMMAの基本はトレンドフォロー(順張り) です。短期移動平均線と長期移動平均線の動きに注目し、トレンドの流れに沿ってエントリーします。

エントリー条件
- 買いエントリー(ロング)
- 短期EMA群が長期EMA群を上抜けしたタイミング
- 長期EMA群が上向き
- 短期EMA群が広がり始めたとき
- 売りエントリー(ショート)
- 短期EMA群が長期EMA群を下抜けしたタイミング
- 長期EMA群が下向き
- 短期EMA群が広がり始めたとき
利確・損切り
- 利確: 直近の高値・安値、または短期EMA群が収束し始めたタイミング
- 損切り: 短期EMA群が逆方向にクロスした場合
② 逆張り戦略(押し目・戻り売り)
GMMAは、トレンドが発生した後の押し目買い・戻り売り にも活用できます。

エントリー条件
- 押し目買い
- 短期EMA群が長期EMA群の上にあり、価格が短期EMA群の下限にタッチ
- 短期EMA群が再び広がり始める
- 戻り売り
- 短期EMA群が長期EMA群の下にあり、価格が短期EMA群の上限にタッチ
- 短期EMA群が再び広がり始める
利確・損切り
- 利確: 直近の高値・安値
- 損切り: 短期EMA群が逆方向にクロスした場合
GMMAと他のテクニカル指標の組み合わせ
GMMA単体でも強力ですが、他のテクニカル指標と組み合わせることで精度を向上 させることができます。
① GMMA × RSI(相対力指数)
- エントリー条件: GMMAがトレンド転換のサインを示し、RSIが30以下(買われすぎ)または70以上(売られすぎ) の水準に達したとき
- 利確: RSIが中間値(50付近)に戻ったとき

② GMMA × MACD
- エントリー条件: GMMAがトレンドを示し、MACDがゴールデンクロス(買い)またはデッドクロス(売り)を形成したとき
- 利確: MACDのヒストグラムが縮小し始めたとき

③ GMMA × ボリンジャーバンド
- エントリー条件: GMMAがトレンドを示し、価格がボリンジャーバンドの±2σラインにタッチしたとき
- 利確: 価格がボリンジャーバンドの中心線に戻ったとき
GMMAがトレードで活用される理由
GMMAがトレードで重宝されるのは、トレンドの発生と終了、およびその強さを視覚的に判断できるからです。以下が主な理由です。
- トレンドの強弱を視覚的に判断できる
- GMMAの短期グループと長期グループが広がる(拡散する)ほど、トレンドの強さが増していることを意味します。逆に、短期グループと長期グループが近づく(収束する)場合は、トレンドが弱まっている、または反転の兆しがあることを示唆します。
- エントリーポイントの特定が容易
- 短期移動平均線の束が長期移動平均線の束を上抜けるときは、上昇トレンドの始まりと判断でき、逆に下抜けると下降トレンドの始まりを示します。この「クロスオーバー」を利用することで、エントリーのタイミングが視覚的に確認できます。
- ダマシを減らすことができる
- 単一の移動平均線では、短期間の急な価格変動でダマシに遭う可能性がありますが、GMMAでは複数の移動平均線を用いるため、こうした誤ったシグナルをフィルタリングしやすくなります。特に、短期と長期の動きが同調している場合、信頼性の高いトレンドシグナルを得ることができます。
GMMAは、複雑な相場の動きを一目で判断できる優れたツールで、初心者から上級者まで幅広く利用されています。トレンドフォロー型の戦略において特に強力です。