「なんで普通の移動平均じゃダメなんだろう…?」
トレードを始めたばかりの頃、そんな疑問を抱いた方も多いのではないでしょうか。実際、SMAやEMAといった移動平均は広く使われていますが、ノイズが多くて騙しシグナルに悩まされることもしばしば。
特にレンジ相場やボラティリティが高い局面では、シンプルな移動平均だけでは心もとないもの。
「もっと早くトレンド転換に気付きたい」「無駄なエントリーは避けたい」
そんなニーズに応えるべく登場したのが、JMA(Jurik Moving Average)です。
この記事では、JMAの基本から具体的な使い方、効果的な設定方法まで、丁寧に解説していきます。
JMA(Jurik Moving Average)とは?
JMA(Jurik Moving Average)は、単純移動平均(SMA)や指数平滑移動平均(EMA)と比べて、圧倒的に「滑らかで遅れの少ない」移動平均線です。その秘密は、ノイズを抑えつつ反応速度を保つ特殊なスムージング処理にあります。
開発者はアメリカのマーク・ジュリック氏。彼は金融市場のノイズ(ランダムな価格変動)に悩まされるトレーダーたちのために、従来の移動平均に代わる新たな手法を提案しました。
JMAの最大の特徴は、以下の3つです。
- ノイズを大幅にカット
従来の移動平均が拾ってしまう無駄な上下動を、JMAは高度なフィルターで除去します。これにより、トレンドの本質的な流れを視覚的に捉えやすくなります。 - 遅延を最小限に抑える
通常、ノイズを減らすと反応が鈍くなりがち。しかしJMAは、カルマンフィルターに似た適応型アルゴリズムを採用することで、滑らかさを維持しつつもトレンド転換に素早く反応します。 - ボラティリティへの適応性
市場の変動に応じて、JMAは自動的にフィルター強度を調整します。これにより、静かな相場でも荒れた相場でも、最適なシグナルを発することが可能です。
JMAが注目される理由|EMAやSMAとの違い
JMA(Jurik Moving Average)が他の移動平均と一線を画す最大の理由は、「ノイズ除去とレスポンス速度の両立」です。
SMA(単純移動平均)は過去の終値を単純に平均化するため、価格の変動を忠実に追いすぎてしまい、レンジ相場ではダマシのシグナルが頻発します。EMA(指数平滑移動平均)は直近の価格に重みを置くことで反応速度を上げていますが、その分ノイズも拾いやすいという欠点がありました。
ここで登場するのがJMAです。JMAは、以下の2つの独自技術を駆使してこのジレンマを解決しています。
1. 適応型フィルターによるノイズ低減
JMAは市場のボラティリティ(価格変動の激しさ)に応じて、スムージングの強度を自動調整する「適応型フィルター」を搭載しています。
これにより、トレンドがはっきりしている局面では鋭く反応し、レンジ相場では無駄なシグナルを抑制します。
2. フェーズシフト技術で遅延を最小限に
従来の移動平均は、計算に過去データを使う性質上、どうしても「遅れ」が発生します。JMAは独自のフェーズシフトアルゴリズムを組み込むことで、この遅延を限界まで削減。
これにより、相場の転換点に素早く反応し、トレーダーが有利なタイミングで判断できるようになります。
JMAインジケーターの基本構造と計算式
JMA(Jurik Moving Average)は、その滑らかさと高精度を実現するために、複雑な計算プロセスを経ています。
一般的なSMAやEMAはシンプルな加重平均で構成されていますが、JMAは3つの主要ステップでデータを処理します。
JMAインジケーターの基本構造
1. 適応型EMAフィルター
まず、JMAはベースとして適応型EMA(指数平滑移動平均)を用います。ここでは市場のボラティリティに応じて、加重平均の重みがダイナミックに変化します。
静かな相場ではスムージングを強め、ボラティリティが高い局面では即応性を重視。この時点で既にSMAやEMAよりも「無駄なノイズ」を減らした状態になります。
2. ジュリック特有のカスタムフィルター
次に適用されるのが、JMA最大の特徴である「ジュリックフィルター」。これはKalmanフィルターに似た手法で、データの遅延を最小限に抑えつつ、価格変動の“本質的なトレンド”だけを抽出します。
通常のフィルターではトレンドに遅れてついて行く形になりますが、ジュリックフィルターは価格の変化を先読みするイメージで、非常に滑らかかつ俊敏なラインを描きます。
3. フェーズシフトによる遅延調整
最後に「フェーズ」と呼ばれるパラメーターが影響します。これは移動平均線の“進行方向”を調整するもので、設定次第でシグナルのタイミングを前倒しにしたり、逆に安定性を重視したりできます。
Phase値が高ければ鋭い反応を示し、低ければ安定性が増すという性質です。
PhaseとPowerパラメーターの意味と設定例
JMA(Jurik Moving Average)を使いこなすうえで欠かせないのが「Phase」と「Power」という2つのパラメーター設定です。この調整が精度を左右し、思い通りのシグナルを得られるかどうかを決定づけます。
Phase(フェーズ)の役割と設定
Phaseは、JMAがどれだけ未来志向でラインを描くかを決める「進行度合い」の調整パラメーターです。
- 高い値(+0.5以上)を設定すると、JMAはより鋭敏に価格変動に反応し、転換点を素早く示しますが、ノイズも拾いやすくなります。
- 低い値(-0.5以下)を設定すれば、JMAはゆったりとした動きを見せ、安定したシグナルが得られますが、やや遅れて反応します。
【おすすめ設定例】
- スキャルピングやデイトレードでは、Phase=+0.3〜+0.5
- スイングトレードや長期保有では、Phase=0〜−0.3
Power(パワー)の役割と設定
Powerは、フィルターの「鋭さ」や「滑らかさ」の度合いを調整するパラメーターです。
値を上げるほど急激な価格変動にも柔軟に対応し、値を下げると滑らかなラインになります。
【おすすめ設定例】
- 短期トレードでは、Power=2〜3
- 中長期運用では、Power=1.5〜2
「Phaseでシグナルの速さ」「Powerでスムージングの強さ」をコントロールするイメージですね。
他の移動平均との比較で見るJMAの優位性
JMA(Jurik Moving Average)は、数ある移動平均の中でも「ノイズの排除力」と「遅延の少なさ」を圧倒的に両立できる稀有な存在です。ここでは、SMA(単純移動平均)、EMA(指数平滑移動平均)、WMA(加重移動平均)と比較しながら、その優位性を具体的に見ていきましょう。
SMAとの比較:忠実すぎるがゆえの弱点
SMAは、過去の終値をそのまま平均化する非常にシンプルな指標。そのため、トレンドが明確な相場では有効ですが、レンジ相場や急な反転局面ではノイズに振り回されやすいです。
JMAは、同じ価格データを元にしながらも、適応型フィルターでノイズを抑え、不要なシグナルを減らします。

EMAとの比較:反応速度は良いがノイズも増える
EMAは直近の価格に重みを置くことで、SMAよりも素早く反応しますが、その分ノイズを拾いやすいのが難点。JMAは、EMA並みの反応速度を維持しつつ、ジュリックフィルターにより不規則な上下動を抑えます。
結果として、「無駄なエントリーを避けつつ、早めにトレンド転換を察知できる」のがJMAの強みです。

WMAとの比較:精度は上がるが万能ではない
WMAは直近の価格にさらに強い重みをつけるため、EMAよりも俊敏な反応を示しますが、やはりノイズ耐性は弱いです。JMAはこの弱点を補う設計となっており、トレンドに追従しながらも“静けさ”を保つことができます。

JMAの最適な設定を見つける方法
「JMAって便利そうだけど、結局どう設定すればいいの?」
そう思った方、ご安心ください。JMAの最適設定は、“トレードスタイル”と“市場環境”の2軸で考えるとわかりやすくなります。
1. トレードスタイル別の設定基準
JMAの「Phase」と「Power」は、トレードの時間軸や手法によって調整するのが基本です。
- スキャルピング(1分〜5分足)
Phase:+0.3〜+0.5(反応速度重視)
Power:2.5〜3.0(ノイズ除去とスピードのバランス) - デイトレード(5分〜1時間足)
Phase:+0.1〜+0.3(適度な俊敏性)
Power:2.0〜2.5(安定性重視) - スイングトレード(4時間〜日足)
Phase:0〜−0.3(安定重視)
Power:1.5〜2.0(緩やかだがしっかり追従)
2. 市場環境に応じたダイナミック調整
トレンドが強い相場ではPhaseを高めに、ボラティリティが低いレンジ相場ではPhaseを抑えめに設定するのがコツ。
また、重要な経済指標発表時など、市場が荒れそうな局面では、Powerを強めにしてノイズフィルターを効かせるのも有効です。
3. バックテストとフォワードテストで検証
「どの設定が自分に最適か」は、過去データで検証するのが確実です。
バックテストで過去相場に適応させつつ、リアルタイムのフォワードテストで微調整を繰り返しましょう。特に、勝率やリスクリワード比だけでなく、「いかに無駄なシグナルを減らせたか」を指標にするのがポイントです。
JMAを使ったトレード手法と戦略
JMA(Jurik Moving Average)は、単なる移動平均としての活用にとどまらず、多彩なトレード手法に応用されています。ここでは、実践的なJMAの使い方と、効果的な戦略についてご紹介します。
1. クロスオーバー戦略でのエントリータイミング
最もポピュラーなのが「JMAクロスオーバー戦略」です。これは短期JMAと長期JMAを重ね、2本の交差を売買シグナルとして利用する手法。
- ゴールデンクロス(短期JMAが長期JMAを上抜け)
→ 買いエントリーシグナル - デッドクロス(短期JMAが長期JMAを下抜け)
→ 売りエントリーシグナル

2. 他インジケーターとの併用例(RSI・MACD)
JMA単体でも十分有効ですが、他のオシレーター系指標と組み合わせることで、さらに精度の高いシグナルを得られます。
- JMA+RSI
RSIで過熱感をチェックしつつ、JMAクロスでトレンド発生を確認。過熱圏を抜けたタイミングでJMAがクロスすれば、強力なエントリーサインとなります。 - JMA+MACD
MACDのヒストグラムやシグナルクロスと、JMAのトレンド転換を併用することで、タイミングのズレを補正し、騙しを減らせます。
3. ボラティリティフィルターとしての活用
JMAはその滑らかさゆえに、「レンジ相場でのフィルター」としても有効です。価格がJMAを挟んで横ばい状態ならエントリーを見送り、トレンドが明確化した段階で仕掛ける判断材料にできます。
ダマシを防ぐJMAの活用術
トレーダーが最も嫌うもの、それが「ダマシ(false signals)」です。

特にレンジ相場や急激なボラティリティ変動時には、騙しのシグナルが頻発し、無駄なエントリーが増えてしまいます。ここで力を発揮するのが、JMA(Jurik Moving Average)の高度なノイズフィルター機能です。
1. ボラティリティ対応型設定で誤シグナルを回避
JMAの「Power」パラメーターを市場環境に応じて調整することで、ダマシを大幅に減らすことができます。
- ボラティリティが高い局面
→ Power値を2.5〜3.0に設定し、滑らかさを重視 - レンジ相場や閑散時
→ Power値を1.5〜2.0に下げ、過敏な反応を抑制
2. 複数時間軸分析でシグナルの信頼性を向上
1つの時間軸だけを見ていると、どうしてもダマシに惑わされがち。
JMAは、複数の時間軸での確認作業と組み合わせることで、シグナルの信頼性を格段に高めることができます。

- 例:1時間足でJMAが上昇トレンドを示しているとき、15分足のJMAクロスでエントリータイミングを計る
- 逆に、1時間足がレンジ状態なら、15分足のクロスは“見送り”とする
この“上位足の流れに従う”というフィルターを入れるだけで、騙しに引っかかるリスクは大幅に軽減されます。
3. フィルターとしてのJMAの使い方
JMAそのものを「フィルター」として使い、他のインジケーター(RSIやMACD)と組み合わせることで、ダマシをさらに防げます。
- RSIが過熱圏に入っていても、JMAが明確なトレンドを示していない場合はスルー
- MACDがクロスしても、JMAが逆方向ならエントリーを見送る
JMAを用いた安定したトレード成績の作り方
JMA(Jurik Moving Average)は「精度の高いシグナル」を提供するだけでなく、長期的なトレード成績の安定にも貢献します。ただし、そのためには戦略的な使い方が必要です。
1. 自動売買(EA)への組み込み手法
JMAは、裁量トレードだけでなく、自動売買(EA)にも高い適性を持っています。特に、以下のようなロジックが有効です。
- トレンド判定フィルター
JMAの傾きやクロス判定を用いて、トレンド方向のみのエントリーに限定 - ボラティリティフィルター
JMAがフラットな状態ではエントリーを制限し、無駄な取引を防ぐ
EAにJMAを組み込むことで、感情に左右されない安定したトレードが実現できます。
バックテストでも「ダマシが少ない=ドローダウンが抑えられる」という結果が得られることが多いです。
2. 勝率とリスクを両立する運用ルール例
JMAを活用する際は、以下のような運用ルールを決めておくと、ブレないトレードができます。
- エントリールール
1時間足のJMAが上向き、かつ短期JMAがゴールデンクロスした時のみロングエントリー
逆に、下向きならショートのみ狙う - エグジットルール
短期JMAが長期JMAを逆クロスしたら利益確定または損切り
またはATR(平均的な値動き幅)を使ってトレーリングストップ - リスク管理
1回のトレードでのリスクは資金の2%以下
連敗時は取引ロットを自動で縮小し、ドローダウン対策
こうした明確なルールを設定し、JMAを中心に運用することで、トレード結果のブレが減り、安定した成績に繋がります。
JMA運用時の注意点とよくある失敗例
JMA(Jurik Moving Average)は非常に優れたツールですが、使い方を誤ると期待通りのパフォーマンスを発揮できません。ここでは、JMAを運用する際にありがちな失敗例と、その回避法をご紹介します。
1. 設定ミスによるトレード成績悪化の回避法
JMAはPhaseとPowerという2つのパラメーターで特性が大きく変わります。特に初心者がやりがちなミスが「Phaseを高くしすぎてノイズを拾ってしまう」こと。
- 失敗例
相場状況を無視してPhaseを+0.5以上に設定し、レンジ相場でダマシに振り回される - 回避策
相場のボラティリティを確認し、適応的にPhase値を調整
慣れるまではPhase=0、Power=2.0程度で運用し、検証しながら微調整するのがベター
さらに、過去の相場に対してバックテストを行い、自分の手法に合った最適値を見つける作業は必須です。
2. 市場環境に応じたパラメーター調整のポイント
JMAは万能ではありません。特に「一度設定したまま放置」することが最大の失敗要因です。
市場環境は常に変化するため、以下のように柔軟に調整しましょう。
- トレンド相場ではPhaseをやや高め(+0.3〜+0.5)
- レンジ相場や重要指標前はPhaseを下げて安定性を優先
- Powerはボラティリティが激しい時期には強めに設定
このように、JMAは「環境に合わせて育てるツール」と考えると失敗しません。
3. 他の分析手法を軽視しない
JMAは非常に強力なインジケーターですが、これ1つに依存するのは危険です。
- ファンダメンタルズ分析
経済指標や要人発言による急変動には、どんなインジケーターも太刀打ちできません。JMAを使いながらも、常にファンダメンタルズ情報はチェックしましょう。 - トレードジャーナルによる振り返り
エントリー・エグジットの判断が適切だったか、JMAの設定が相場に合っていたかを記録し、改善していく習慣が大切です。
こうした注意点を押さえて運用すれば、JMAは心強い武器となります。
JMAインジケーター ダウンロード
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