「テクニカル分析って、結局ローソク足チャートしか使ったことがないんだよなぁ…」そんなあなたに朗報です!株式やFXの世界で、時間の概念を捨て、価格変動のみにフォーカスしたユニークなチャートがあるんです!それが──ポイントアンドフィギュア!
「え?時間軸がないチャートってどういうこと?」と疑問に思ったあなた、大丈夫です。このチャート、見た目はシンプルなのに、トレンドの転換点やサポート・レジスタンスを“驚くほどクリア”に示してくれるんです。
とはいえ、実はこの手法、使いこなすにはちょっとしたコツと理解が必要。設定ミスや読み間違いで痛い目に遭う可能性も……。
そこで今回は、ポイントアンドフィギュア初心者のあなたに向けて、その基本から使い方、パターン分析までを徹底解説!
ポイントアンドフィギュアとは?初心者向け基本解説
ポイントアンドフィギュア(Point and Figure)は、価格変動のみに着目した非時系列型のチャートです。ローソク足チャートのように「時間の経過」を軸にせず、価格が一定の幅を動いたときにのみ記録が更新される、極めて特徴的な手法です。
「えっ、チャートなのに時間軸がないの!?」と驚かれる方も多いでしょう。ですが、この“時間に縛られない”という仕組みこそが、他のテクニカル分析とは一線を画す魅力ポイントなのです。
項目 | 内容 |
---|---|
チャートの種類 | 非時系列型チャート(時間軸を使わず、価格変動のみに着目) |
記号の仕組み | 上昇:X、下降:O。一定幅の価格変動ごとに記録。逆方向に一定以上動いたときに列が切り替わる。 |
主な特徴 | ・時間を無視 ・価格ノイズを排除 ・トレンドが明確 ・トレンドラインやサポート・レジスタンスの視認性が高い |
メリット | ・小さな値動きに惑わされずトレンドを視覚的に把握できる ・分析の精度が高まる |
歴史 | 19世紀後半、アメリカのティッカーテープを元に手描きで記録されたのが起源 |
用途 | 株式・FX・仮想通貨などあらゆるマーケットで活用可能。中長期トレーダーに人気。 |
活用シーンの例 | ・トレンド転換点の把握 ・ブレイクアウトの確認 ・チャートパターン(ダブルトップ、トリプルボトムなど)の可視化 |
非時系列チャートの仕組みと特徴
ポイントアンドフィギュアでは、一定幅(ボックスサイズ)だけ価格が上昇すれば「X」が、下降すれば「O」が描かれます。そして逆方向に一定値以上動いたとき、初めて新しい列が始まる──この単純明快なルールによって、トレンドの純粋な動きだけが浮かび上がってくるのです。
この仕組みにより、細かいノイズ(価格の小さな上げ下げ)を無視でき、サポートラインやレジスタンスライン、トレンドラインの引き方も直感的になります。
ポイントアンドフィギュアの歴史と用途
このチャートは19世紀後半のアメリカで誕生しました。もともとは証券会社のティッカーテープ(株価速報)をもとに手描きで記録されていたもので、「ノイズを排除し、トレンドを可視化する」という目的のもと進化してきた背景があります。
現在では、株式・FX・仮想通貨など、あらゆるマーケットで活用可能です。特に、中長期の値動きを重視するトレーダーにとっては、トレンドの転換点やブレイクアウトを読み解くのに重宝されています。
ポイントアンドフィギュアチャートの作り方と設定方法
ポイントアンドフィギュア(P&F)チャートは、設定次第で見え方がガラリと変わります。だからこそ、最初に「どう作るか?」を正しく理解することが肝心です。作成には「ボックスサイズ」と「リバーサル値」という2つの設定が鍵となります。
チャート作成に必要な基本設定
項目 | 説明 |
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ボックスサイズ | チャートに「X」や「O」を描くための価格変動幅。例:100円動いたら記録される。 |
リバーサル値 | 価格が逆方向に何ボックス分動いたら列を変えるか。例:リバーサル値3 → 300円下落で新しい列が始まる。 |
自動設定(ATR) | 相場のボラティリティに応じた柔軟な設定。初心者におすすめ。 |
手動設定 | 任意のボックスサイズ・リバーサル値を指定。戦略に応じた自由な調整が可能。 |
ボックスサイズとリバーサル値の意味
ボックスサイズとは、チャートに「X」や「O」を描画するために必要な最小の価格変動幅のこと。たとえば、ボックスサイズを「100円」に設定した場合、100円以上上昇したときに初めて「X」が追加されます。
一方、リバーサル値とは、価格が逆方向に何ボックス分動いたら列を切り替えるかという基準のこと。たとえば、リバーサル値が「3」であれば、下落方向に300円(100円×3)動いた場合に「O」の列が新たに描かれる仕組みです。
この2つを適切に設定することで、「ノイズの除去」と「トレンドの明確化」が可能になります。
自動設定 vs 手動設定の使い分け
近年では、TradingViewや一部証券会社のツールで、ボックスサイズをATR(平均的な真の値幅)に基づいて自動で設定できる機能があります。ATRは市場のボラティリティを反映した指標で、相場に応じた柔軟な設定が可能です。

一方、手動設定は分析の自由度が高く、バックテストや検証に最適。「自分の戦略に合った値幅で設定したい」という方には特におすすめです。
「どっちを使えばいいの?」という問いに対しては、初心者はまず自動設定から始め、慣れてきたら手動設定に挑戦するというステップが最も無理のない選択といえるでしょう。
TradingViewと楽天証券での実践例
項目 | 説明 |
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TradingViewの設定方法 | チャート設定画面で「ポイントアンドフィギュア」を選択し、ボックスサイズとリバーサル値を調整。ATR設定も可能。 |
楽天証券の設定方法 | マーケットスピードFXでテクニカル指標としてP&Fを選択し、パラメータを入力することで表示される。 |
TradingViewでのチャート作成手順
TradingViewでは、「チャート設定」から「ポイントアンドフィギュア」を選択することで利用可能です。さらに、設定画面でボックスサイズとリバーサル値を調整できます。ATRを使用した自動設定や、価格の絶対値による設定も対応しており、初心者でも感覚的に操作できます。
楽天証券マーケットスピードでの設定方法
楽天証券の「マーケットスピードFX」でも、P&Fチャートは利用可能です。チャート画面から「テクニカル」→「ポイント&フィギュア」を選び、ボックスサイズ・リバーサル値を入力するだけ。Web版でもPC版でも対応しているため、使い慣れた環境で分析が可能です。
トレンド分析に活用するポイントアンドフィギュアの使い方
ポイントアンドフィギュアチャートの最大の魅力は、なんといってもトレンドの視認性の高さにあります。余計なノイズを排除し、価格の純粋な方向性だけを描き出すこの手法は、トレンドフォロー型の戦略と相性抜群です。
トレンドラインとサポート・レジスタンスの引き方
上昇トレンドと下降トレンドの見極め方
P&Fチャートでは、上昇トレンドが「X」の列として、下降トレンドが「O」の列として表現されます。ここで注目したいのは、「列の切り替わり」。この切り替え(リバーサル)が発生するポイントこそ、トレンドの転換点のサインです。
上昇中にリバーサルが起きて「O」の列が始まれば、下降トレンドの兆しと判断できますし、その逆も同様です。
また、同じ方向の「X」や「O」が何列も続いている場合、それは強いトレンドが継続している状態を意味します。チャートの形状から、視覚的に判断できるため、「トレンドに乗る」判断がしやすくなります。
水平線との組み合わせで精度アップ
さらに実践的なのが、サポートラインやレジスタンスラインとの組み合わせです。特定の価格帯で何度も切り返しているポイントがあれば、そこに水平線を引き、反発の兆しやブレイクアウトの予兆を捉えることができます。
ローソク足チャートでは見逃しがちな「本当の支持・抵抗水準」を、P&Fチャートは明確にしてくれます。特にレンジ相場のブレイクポイントを見極めたい場合、視認性の高さが非常に役立ちます。
ノイズを排除したトレンドフォロー手法
小さな値動きに惑わされない理由
ローソク足では、5分足・15分足と時間軸を細かくすると、どうしても細かな価格の揺れ(ノイズ)に振り回されやすくなります。しかし、P&Fチャートは一定値幅の変動がない限り記録されないため、こうしたノイズを“バッサリ排除”してくれます。
その結果、本質的な価格の流れがクッキリと浮かび上がるのです。「上下に振り回されてエントリータイミングがわからない…」という方にこそ、この特性はありがたいはずです。
高精度な転換点の見つけ方
P&Fチャートでは、「ダブルトップ」や「トリプルボトム」といった転換パターンが非常に分かりやすく出現します。特に、列の切り替えが起きた直後にこれらのパターンが出た場合、それは転換の信頼度が高い局面と捉えられます。
また、価格のレンジを「カウンティング分析」で数えることで、将来的な価格到達目標も見えてくるため、「この辺まで伸びそうだな」という戦略構築にもつながります。
ポイントアンドフィギュアのパターン分析と読み方
ポイントアンドフィギュア(P&F)チャートでは、パターンが非常にクリアに表れます。ローソク足のような“ヒゲ”や“実体の長短”による曖昧さがないため、一定の法則に従ったパターン認識がしやすいのが特長です。
代表的なチャートパターン
ダブルトップ・トリプルボトムの意味と読み方
代表的なチャートパターン |
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ダブルトップ 高値でX列が2回止まり、その後O列に転換。下降トレンドの兆し。 |
トリプルボトム 安値でO列が3回止まり、その後X列へ転換。上昇トレンド開始の可能性。 |
まず押さえておきたいのが「ダブルトップ」と「トリプルボトム」。たとえば、X列が2度にわたって同じ高値で止まり、次のO列が発生した場合、それはダブルトップの完成を意味し、下降トレンド入りのサインとなります。
逆に、O列が2〜3回同じ安値で止まり、再びX列に切り替わったら、それはトリプルボトム。反転上昇が期待されるポイントです。
これらのパターンは、ローソク足よりも明瞭に描かれ、視認性が高いため初心者にも識別しやすいのがメリットです。
ペナント・逆三尊など複合パターンの見極め
ペナント・逆三尊など複合パターンの見極め |
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ペナント(持ち合い) XとOの列が交互に交差し、価格変動幅が縮小。ブレイクアウト待ち。 |
逆三尊(インバーテッドヘッドアンドショルダー) 反転上昇パターン。 |
P&Fチャートにも「ペナント(三角持ち合い)」や「逆三尊(インバーテッドヘッドアンドショルダー)」のようなパターンが現れます。ただし、その描画方法はローソク足とは異なり、“列の配置関係”によって認識する必要があるため、やや慣れが必要です。
たとえば、価格の上下動が徐々に狭まり、XとOの列が交互に現れるような場合、それはペナント形成中と見なされます。ブレイクアウトの方向が明確になるまで待ち、抜けた方向にトレードするのがセオリーです。
チャートパターンから読み解く未来予測
カウンティング分析による価格目標の算出法
ポイントアンドフィギュアでは、「カウンティング」と呼ばれる独自の分析手法を用いて、価格目標を予測できます。これは、パターンの横幅(列数)を数え、それにボックスサイズとリバーサル値を掛け算するというもの。
たとえば、ブレイクアウトの起点から10列横に並んでいる場合、10 × ボックスサイズ × リバーサル値=目標価格、という計算で「この辺まで価格が伸びるだろう」という予測が立てられます。
この数値的アプローチができるのは、P&Fならではの魅力であり、「感覚ではなく根拠のある予測がしたい!」という方に非常に向いています。
トレード戦略への組み込み方法
パターン分析は、単なる“見た目の判断”にとどまりません。売買のタイミングや損切り・利確ポイントを設定するための明確な根拠として活用できます。
特に、「ダブルボトムでエントリー → カウンティングで目標価格を算出 → レジスタンスライン付近で利確」という一連の流れは、戦略として非常に実践的。多くのトレーダーがこれを活用しています。
初心者が失敗しないためのポイントアンドフィギュア活用術
ポイントアンドフィギュア(P&F)は強力な分析ツールですが、設定や読み方を誤ると“かえって混乱を招く”危険もあります。ここでは、初心者がよくつまずくポイントとその対策をしっかりお伝えします。
設定ミスや誤読を防ぐチェックリスト
項目 | 内容 | 対策・ポイント |
---|---|---|
ボックスサイズの設定ミス | 小さすぎるとノイズが多くなり、トレンドが見えにくくなる | 最初はATRベースの自動設定を活用 |
リバーサル値の誤設定 | 大きすぎるとトレンドの転換が遅れる | 初心者は「3」から始めて調整 |
リバーサル判断の誤読 | 列の切り替え直後にエントリーして失敗 | 1〜2列分の“様子見”を心がける |
環境整備不足 | 小さな画面や粗い解像度でパターンを見落とす | 解像度の高いモニター+色・線幅の調整 |
インジケーターの場当たり使用 | RSIやMACDを無計画に併用して混乱 | P&F → RSI確認 → MACD判断の手順を固定 |
チャートを読み違えるリスクへの対処法
「列が切り替わったけど、これはリバーサル?それともノイズ?」──初心者に多いのがこの混乱。原因の多くは、「リバーサル値」や「ボックスサイズ」の設定ミスにあります。
たとえば、ボックスサイズを小さくしすぎるとチャートが細かくなりすぎて、本来のトレンドが見えにくくなる一方、リバーサル値を大きく設定しすぎるとトレンドの転換が遅れて把握される危険も。
これを防ぐには、まずはATR(Average True Range)をベースとした自動設定で様子を見て、自分のトレードスタイルに合わせて微調整していくのが◎。さらに、「リバーサルが出た=即トレード」ではなく、1〜2列様子を見る余裕を持つことが大切です。
精度の高い分析に必要な環境整備
ミスを減らすには、使いやすいチャート環境も不可欠です。P&Fチャートを扱えるツールは限られているため、TradingViewや楽天証券など、信頼性の高いプラットフォームを選びましょう。
また、画面が見づらいとパターンの誤認も増えます。解像度の高いモニターや、チャートの色・線幅などをカスタマイズできる環境があると、精度も格段に上がります。
トレードでは“見る目”が命。見やすさ=分析力と心得ましょう。
他のテクニカル指標との併用テクニック
RSI・MACDとポイントアンドフィギュアの組み合わせ
P&F単体でもトレンド分析は可能ですが、補助的なインジケーターを加えることで精度はさらに向上します。たとえばRSI(Relative Strength Index)と併用すれば、「トレンドが継続しそうか/反転しそうか」がより判断しやすくなります。

MACD(Moving Average Convergence Divergence)との併用では、P&Fが示すトレンドと、MACDラインのクロスを確認することで、より確度の高いエントリーポイントを絞り込むことが可能です。

手法の一貫性を保つためのルール設計
「今日はRSIで判断、明日はMACD、明後日はP&F……」といった“場当たり的”な使い方は、むしろパフォーマンスを下げる原因に。重要なのは、一貫した分析ルールとチェック項目を自分の中で決めることです。
ポイントアンドフィギュアを使った成功事例と実践戦略
ポイントアンドフィギュア(P&F)は、視覚的にトレンドを捉えやすいだけでなく、明確なルールと戦略の設計がしやすいことでも評価されています。ここでは、具体的な活用法と、それによって得られる未来像を詳しく紹介します。
中長期トレードにおける具体的な活用法
株式・FXでの成功パターンと事例
P&Fチャートは特に中長期のトレードと相性が良く、株式市場では「ダブルトップで反落」「カウンティング分析で価格目標を予測」など、売買判断を明確にするための材料として多くの実例が挙げられます。
たとえば、ある日本株トレーダーは、トレンドラインとレジスタンスブレイクの両方をP&Fで確認し、複数のチャートパターンが重なるポイントでエントリー。その後、カウンティング分析で利確目標を設定し、余裕を持ったトレードが可能になったと語っています。
FXでは、短期的なノイズに振り回されやすいドル円やユーロドルに対して、P&Fの明確な視認性が逆に武器となるケースも多く、「小さい時間足での判断ミスが減った」との声もあります。
独自の分析スタイル確立への道
差別化できるポイントアンドフィギュア活用法
市場には多数のトレーダーが存在し、同じようなインジケーターに頼った分析では「その他大勢」に埋もれてしまうことも。そんな中で、P&Fという独自性の高い手法を使いこなせれば、確実に差別化が図れます。
たとえば、自作のテンプレートやカウンティングの独自ルールを持つことで、自分だけの「型」ができます。これが確立されると、どんな相場でもブレない視点を持てるようになります。
継続的なスキルアップと学習のコツ
P&Fは奥が深く、慣れるまでに少し時間がかかるのも事実。ですが、日々チャートを観察し、パターンの出現頻度やその後の動きを記録していくことで、少しずつ経験値が蓄積されていきます。
また、国内外のP&Fに特化した書籍や講座も増えてきており、「独学+実践+記録」の三本柱で、実戦で使える知識と目利き力を育てていくことが可能です。