市場動向と要因分析
金相場の全体的な傾向は上昇基調にあり、それを下支えする2110ドル、2070ドルのサポートライン回復がない限り、方向転換は見込めません。
取引開始時、金先物相場は幾つかの主要中央銀行会合を控え、投資家がリスク回避の動きから小幅な買い越し気配となりました。ただし過去最高値を付けた金価格は、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に対する見方次第で、勢いを維持できずにいます。金取引プラットフォームによれば、寄稿時点での金価格は2148ドル/オンスのサポートラインまで反落し、一方の週間レジスタンスラインは2163ドル/オンスとなっています。総じて金相場は安定した値動きが続いています。金は週間ベースでは1%程度の下落にとどまり、2024年入り後は4%を超える上昇となっています。また、同様に金の姉妹商品である銀相場も25ドル/オンスを上回る水準で堅調に推移しており、先週は週間で2%高、年初来では5%を上回る上げとなりました。
テクニカル分析とサポート
本週の主要イベントはFRB金融政策決定会合です。21日(水)のFOMC(連邦公開市場委員会)では政策金利の据え置きが確実視されていますが、経済見通しを示す声明内容が投資家の関心を集めるでしょう。市場参加者はFRBの年内利下げ観測を後退させており、初回の利下げ時期はFOMC6月会合になるとの見方が大勢です。
一方、米国債市場の動きを見ると、10年物国債利回りは4.3%台と年内利下げを織り込んでいない価格付けとなっており、2年物も4.72%台、30年物は4.45%を上回る水準です。周知の通り、金相場は利回り変動に敏感で、利回りが上昇すれば金保有のオポチュニティコストが嵩むため需給を圧迫します。こうした金融政策期待の変化が、米ドル高をさらに後押ししています。取引で使われる米ドル指数(DXY)は、主要国通貨バスケットに対する米ドルの値動きを測る指標ですが、この指数は心理的な103.00を上回る展開となり、2024年に入り2%を超す上昇となっています。米ドル高は外国人の商品購入コストを増やすことから、金をはじめとする商品相場にとってはマイナス要因と言えるでしょう。
トレード戦略
なお、週後半には日本銀行と英国銀行の金融政策会合の結果が注目されます。日銀は従来の金融緩和姿勢からの転換が予想される一方、英中銀は据え置きが見込まれています。
まとめ
総じて金相場は短期的な米ドル動向や金融政策期待次第では上値が重くなる可能性があるものの、サポートラインが堅持できれば上昇トレンドの継続が期待できそうです。今週の中央銀行会合では金言はしっかりウオッチする必要があります。
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