市場動向と要因分析
金相場の総合的な方向感は強気が継続し、さらに勢いを増しています。投資家は金買いの飽和度を示すテクニカル指標を気にかけることなく、最近の金価格の上昇要因に着目しています。
主要経済イベントを控え、金価格は過去最高値の2288ドル/オンスの高値をつけました。ドル高やFRBの長期高金利観測があるものの、地政学リスクと資金や中央銀行の需要増が上値を後押ししています。 全体として、金価格は年初来で10.5%上昇しています。
テクニカル分析とサポート
過去1年間で、金は15%を超える上昇となっています。金の姉妹商品である銀価格も、同様にラリーに加わり、前日の銀先物価格は26.055ドル/オンスを記録しました。年初来では約9%高となっています。
一方、この1週間で地政学リスクが高まっています。イスラエルによるシリア在イラン大使館への攻撃で2人の将軍が死亡し、ウクライナがロシア領内の精製所を空爆するなどの事態が起きました。同時に、金価格の上昇が個人投資家の関心を集めています。
さらに、最近の経済指標がFRBに長期の金融引き締めの余地を与えていることから、地政学リスク要因に加え、金価格は上値を支えられています。全体として、注目は今週金曜の3月米雇用統計と、FRB高官のコメントに移り、利上げ期間の判断材料が探られるでしょう。
トレード戦略
第一に、主要6通貨に対するドル指数は0.2%下落の104.82となっています。ドル安は商品価格の上昇に好材料です。
第二に、米国債利回りはまちまちで、10年債利回りは4.36%を上抜ける一方、2年債は4.7%を下回り、30年債も4.51%を割り込みました。金価格は利回りのない地金を保有するコストに影響を受けるため、金利変動の影響を受けやすいことがよく知られています。
一方でFOMC6月会合での利下げ観測は70%と高止まりしています。また、2か月連続でインフレ率が予想を上回る高水準となったことから、中央銀行がインフレ再燃の脅威に対処を迫られるとの見方があり、それが金価格の上昇圧力になっているとの指摘もあります。さらに地政学リスクも金高要因となっており、TDセキュリティーズのダニエル・ガリ氏は「シリアのイラン大使館に対するイスラエルの攻撃に関連して、金には避難先としての需要が流れ込んでいる」と述べています。
まとめ
金相場の総合的な方向感は強気が継続し、さらに勢いを増しています。投資家はテクニカル的な売り示唆を無視し、最近の上昇要因に着目しています。現在、地政学リスクの高まり、ドル安の継続、中央銀行や個人の金買いが進めば、金価格の2300ドル/オンスの resistanceラインに向けた上値追撃は容易になるでしょう。
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