市場動向と要因分析
この週の取引開始時点で、金相場は1オンス当たり約2,332ドルと下落しています。投資家の関心が今週発表される米国の物価関連指標に移り、金融政策の行方を探る動きが活発になっているためです。
米国の生産者物価指数が本日火曜日、続いて消費者物価指数が水曜日に発表されます。4月の雇用統計が市場予想を下回ったことなどから、今年の米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が高まっています。市場予想では9月から利下げに転じると見込まれています。
テクニカル分析とサポート
最近の金価格の上昇は、店頭市場での強い投資需要、世界の中央銀行による買い継続、アジア市場の需要増によるものです。中東情勢の緊迫化も、金の避難先資産としての魅力を後押ししています。最新では、イスラエルがガザ地区北部のジャバリヤ東に戦車を展開する事態となっています。
金相場に影響を与える要因の一つに、10年物米国債利回りがあります。この週の取引開始時に4.5%を割り込む水準となり、主要経済指標の発表を控えた先行き不透明感から需給が落ち着いています。物価とともに経済の基調を示す消費者物価・生産者物価、小売売上高、鉱工業生産指標の内容次第で、今後の値動きが大きく変わる可能性があります。
一方、FRBの利下げ開始時期を占う上では、各当局者から示される発言内容が重視されています。特に本日のパウエル議長の演説に注目が集まっています。先週は複数の当局者から、当面は高金利が維持されるとの見解が出されています。利下げ期待はあるものの、9月に61%、11月に74%と、開始時期の予想は分かれています。
さらに、ドル指数の動向も金相場に影響を及ぼします。米国の物価指標次第でFRBの金融政策への思惑が変わる可能性があり、ドル指数は先週の小幅反発から一転、月曜日に105を割り込む水準となっています。
トレード戦略
金価格の反落は自然な動きと捉えられ、全体としては上昇トレンドが継続すると考えられます。この調整局面は買い場を提供する良い機会となりそうです。現時点での最も重要な支援ラインは1オンス当たり2,318ドルと2,285ドルです。
一方、上値が重要となるのが1オンス2,375ドルの節目です。この水準を上抜けた場合、心理的な2,400ドルラインへの上振れが期待できそうです。ただし、物価指標の内容やFRB当局者の発言次第で、当面は狭いレンジでの値動きが見込まれます。
まとめ
金相場は米国の物価動向と金融政策の行方を占う材料となる指標の発表を控え、調整色が濃い展開です。ただし、中長期的な上昇基調は維持されており、適切な売買のエントリーポイントを見極めることが大切です。
リスク管理に気を付けつつ、地合いに合わせた値動きの方向感を常にキャッチしていく姿勢が重要となります。
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