市場動向と要因分析
本日、金相場は1オンス当たり2,400ドルの重要な心理的レジスタンスライン付近まで上昇し、約1カ月ぶりの高値圏で取引されています。この上昇は米ドル安と米国債利回りの低下が支援材料となっています。
直接の きっかけは、米国の4月消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことから、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が高まったことです。
経済指標によれば、米国の月間インフレ率は0.3%と、市場予想の0.4%を若干下回りました。前年比では総合が3.4%、コアが3.6%と、おおむね予想通りの結果となっています。
また、米小売売上高は市場予想とは裏腹に横這いとなり、個人消費の勢いが鈍っている様子がうかがえます。この結果を受けて、投資家の間では9月に75%、11月に85%の確率でFRBが利下げに踏み切るとの観測が高まっています。低金利は利回りのない金の魅力を高める効果があります。シカゴ連銀のグールスビー総裁もインフレ低下に前向きな見方を示しています。
テクニカル分析とサポート
ドル指数は104.2付近まで下落しています。インフレ鈍化から9月の利下げ開始が見込まれたことが背景にあります。コアインフレ率も3.6%と3年ぶりの低水準となり、弱々しい小売売上高指標なども、米経済の減速を物語っています。
投資家の関心は、本日発表の週間新規失業保険申請件数と、フィラデルフィア連銀の製造業景況指数にも注がれています。一方、ドル円相場ではドル売り円買いの動きが強まっており、日米金利差の縮小が影響していると考えられます。
FRBのパウエル議長は、費用の伸びが思ったより緩やかな場合、長期の金融引き締めが必要になる可能性を示唆しています。高金利はゴールド需要を逼迫する一方、インフレ高進行はリスクヘッジ商品としての金の魅力を高めることになります。
トレード戦略
金相場の全体的な勢いは、1オンスあたり2,400ドルという心理的レジスタンスラインに向けて上昇基調が一層強まっています。一方で、テクニカル指標は強い売り越し水準に近づいていることから、利確めの売りには注意が必要です。
現状、金相場は世界的な中央銀行による金融緩和スタンスと金買いの傾向、さらには地政学リスクの高まりなどを追い風に、上値を試す動きが強まっています。このため、調整の好機を伺って買い支えるスタンスが有効と考えられます。
まとめ
米国のインフレ低下が鮮明になり、FRBの利下げ期待から金買いの動きが加速しています。足元は上昇一服の動きとなる可能性もありますが、地政学リスクの行方次第では、再び買い場を確保できる可能性があります。
引き続き金融当局の対応や地政学情勢に留意し、適切な売買タイミングを見極める必要があります。
コメント