市場動向と要因分析
ここ数日間、米国債利回りの上昇と米連邦準備制度理事会(FRB)高官によるタカ派的発言を受けて、米ドル需要が高まっている中で、金価格は下落圧力に晒されてきました。5月31日(木)の取引時間終了時点で、金は1オンス当たり約2,323ドル近辺まで下落を続けています。
26日にはアトランタ連銀のボスティック総裁が、「2%のインフレ率達成は必ずしも保証されていない」と述べ、物価上昇率の高止まりが続く可能性に言及しました。さらにミネアポリス連銀のカシカリ総裁は最近、「インフレが大幅に改善するまで利下げを控えるべきだ」と発言し、インフレ減速が不十分な場合は利上げも辞さない考えを示唆していました。
市場関係者は、このように金融当局者からタカ派的な発言が相次ぐ中で、米経済指標の内容を踏まえ、FRBの利上げ開始時期の見直しを余儀なくされています。
特に本日31日に発表される米GDPの改定値や、翌日の6月2日に予定されている4月の個人消費支出(PCE)価格指数、そして失業保険申請件数など、FRBの金融政策判断の手掛かりとなる指標に注目が集まっています。
UBSのジョヴァンニ・スタノボ氏によれば、「金価格は、FRB高官からのタカ派発言と米経済指標の良好な内容を受けて、FRBによる利下げ時期の見直しが相次ぎ、打撃を被ってきた」と分析しています。
テクニカル分析とサポート
日足チャートを見ると、金価格は2,300ドル/オンス付近のサポートラインに接近しています。この水準を下抜ける場合、地政学的リスク懸念の高まりや、世界各国の中央銀行による積極的な金買い入れを受けて、再び買い場を窺う動きが出てくる可能性があります。
一方、上値では2,355ドルから2,370ドル付近が重要なレジスタンスラインとなりそうです。この水準を上抜ける場合、金価格の上値トレンドは一層強固なものになると考えられます。
トレード戦略
現状では下落時の買い場を窺う姿勢が望ましいと思われます。ただし、主要経済指標などのイベントリスクを考慮し、機会損失を最小限に抑えるためのリスク管理も欠かせません。
まとめ
金価格は当面、米金融政策や経済指標の行方次第で、変動が続く見通しです。地政学リスクなどの不透明要因もあり、レンジ内でのトレードが有効と考えられますが、イベントリスクへの注意が肝心です。利回り対比でのコスト意識も持ちつつ、冷静な睨め視しが求められそうです。
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