
「チャートを見ていて、赤三兵が出たけど…これって本当に買い時?」
株式投資をしていると、一度は目にする「赤三兵」「黒三兵」という言葉。でも、実際にどう読み取ればいいのか、迷ってしまいますよね。
「上昇トレンドのサインと聞いたけど、信じていいの?」「三羽烏ってカラスのこと? なんで下落なの?」と、情報が多すぎて余計に混乱してしまう方も多いはず。
しかも、インターネット上には「赤三兵=絶対買い」というような極端な情報も…。
こうした“誤解”や“期待外れ”を避けるためには、正しい知識と現実的な見方が必要です。
この記事では、赤三兵・黒三兵の基礎から、見極め方、そして売買タイミングの判断まで、実例を交えてじっくり解説していきます!
赤三兵・黒三兵とは?チャートパターンの基本を解説
FXチャートの世界で、赤三兵・黒三兵というのは非常にシンプルかつ強力なパターンです。これらは「酒田五法」と呼ばれる日本発祥のテクニカル分析手法の一つで、相場の転換点を判断する上で多くの投資家に活用されています。
まず、「赤三兵(あかさんぺい)」とは、陽線(始値より終値が高いローソク足)が3本連続して出現する形を指します。これは強い上昇圧力の現れであり、「ここから株価がグングン上がっていくぞ!」という買いシグナルとして知られています。とくに底値圏で出現した場合には、トレンド転換の兆しと見なされやすくなります。

一方、「黒三兵(くろさんぺい)」は、陰線(始値より終値が低いローソク足)が3本連続する形で、これは逆に売り圧力が非常に強いことを示しています。「そろそろ天井だな、ここからは慎重に…」と判断する材料になりやすいのです。なお、黒三兵は「三羽烏(さんばがらす)」とも呼ばれ、下降トレンドの始まりを告げるサインとされています。

こうした三兵パターンは、視覚的に非常にわかりやすいことから、多くのチャート分析ツールにも組み込まれており、初心者でもすぐに目にする機会があります。ただし、安易な判断は禁物。位置や背景、出来高の伴い方によっては“ダマシ”となることも多く、信頼しすぎると逆効果になる場合もあります。
三兵が使われる酒田五法とは?
赤三兵・黒三兵の正体をより深く理解するためには、「酒田五法(さかたごほう)」という分析手法の全体像を押さえておく必要があります。

酒田五法とは、江戸時代に米相場で活躍した本間宗久(ほんまそうきゅう)が編み出した、ローソク足を使った相場の見方です。
この手法は、ローソク足の形状や並び、連続性を分析して、売買のタイミングを探るもの。ローソク足チャートを使う現代のテクニカル分析の基礎中の基礎とも言える存在です。
酒田五法には、代表的な以下の5つの型があります。
- 三山(さんざん)・三川(さんせん):トリプルトップやボトムのような形
- 三兵(さんぺい):今回の主役、陽線・陰線3本の並び
- 三法(さんぽう):押し目・戻り目を示すトレンド継続パターン
- つつみ線:前日の足を包み込む形
- かぶせ線・はらみ線:反転を示唆する形
この中でも三兵は、「勢いの継続」を最も端的に示すパターンとして重視されています。言い換えれば、“一過性ではない動き”を確認できるシグナルというわけです。
とはいえ、酒田五法そのものは“完全なる予測法”ではありません。「形」だけに頼ると、「あれ? 上がると思って買ったのに下がった…」という“ダマシ”も起きやすくなります。
現代のトレードでは、酒田五法を基礎にしつつ、移動平均線やMACD、RSIといった指標を組み合わせて精度を高めていくスタイルが主流。まさに「古典を学び、今に活かす」典型といえる手法なのです。
三兵パターンの読み方と売買判断ポイント
三兵パターンは「出たから買い(売り)」ではなく、「どの場面で出たか」「その後どうなるか」を読むことが重要です。
つまり、“読解力”が問われるのがこのパターン。正しい文脈で三兵を活用すれば、売買の根拠がグッと明確になります。
三兵の実践活用
三兵パターンを信じた結果、「うまくいかなかった…」という声が後を絶ちません。その背景にあるのが、“ダマシ”の存在。
■「赤三兵 ダマシ」のパターンとは?
特に高値圏で出現した赤三兵は要注意。これは「買いが一巡して、その後売りが始まる」パターンで、むしろ下落の前兆であることさえあります。

さらに、赤三兵のローソク足の形が極端に長い場合、過熱感を表すケースも。これは「上昇しすぎ=利確のタイミング」と判断され、買いが一気に止まって反落することがあります。
■「黒三兵 続落」への正しい備え方
黒三兵が出現すると「売りトレンドが強まる」とされますが、安値圏で出現した黒三兵は逆に買い場のサインであることも。つまり、「続落」というより「売られすぎ」のシグナルになる場合があるのです。
このようなケースでは、翌日のローソク足が陽線に転じるかどうかをチェックするのがカギ。いわゆる“リバーサル”の兆候があれば、ショートポジションは一旦整理するなどの判断が求められます。
■共通して使える確認指標
どちらのパターンにせよ、「三兵だけを見て判断する」ことが最も危険です。以下のような補助指標を合わせて活用することで、精度が格段に上がります。
- 出来高:三兵が出現した日に出来高が増えていれば信頼度アップ
- RSI・MACD:過熱感やトレンド転換の兆候を読み取る
- 移動平均線との位置関係:乖離が大きい場合は調整リスクも

これらの情報を踏まえて総合的に判断することで、三兵に振り回されることなく、より安定した売買判断が可能になります!
三兵から未来の株価を予測する方法
三兵パターンは“過去の値動き”を示すチャート分析ですが、正しく読み解けば“未来の価格変動”を予測する手がかりになります!ここでは、実際に三兵を用いてどのようにトレンドを予測し、投資判断に活かしていくのかを、買いと売りの両面から具体的に解説していきます。
「三兵で利益を出す」戦略
「三兵パターンを使って、タイミングよく買いたい」「利益のチャンスを逃したくない!」――これは投資家なら誰もが抱く願いですよね。

ここでは、三兵を利用して実際に“儲かる動き”を掴むための見極め方と、具体的な買い判断の方法をご紹介します!
■赤三兵は“底打ち後”が狙い目!
赤三兵は基本的に上昇トレンドの始まりを示唆するシグナルです。ただし、それが本当に有効となるのは、「底値圏からの反転局面」で出現した場合です。
この形は、「売りのエネルギーが尽き、買いが優勢になった」ことを意味し、そこからの上昇が期待できるのです。
■赤三兵と「押し目買い」のセット使いが強力!
赤三兵が出た直後に買うのも良いですが、短期的な“押し目”を狙う戦略も有効です。初動の後に軽い調整が入り、再度陽線が出るポイントでエントリーすると、リスクを抑えつつ上昇の波に乗りやすくなります。
この手法は、「赤三兵 → 少し下げる → すぐに陽線で戻す」といった動きの中で、2段目・3段目の波を狙う中期的なトレードに最適です。
■他指標との組み合わせで精度アップ!
MACDのゴールデンクロスや、RSIが30〜40から反転するタイミングで赤三兵が出れば、さらに信頼度は高まります。また、ボリンジャーバンドの中心線を上抜けるような動きが伴っていれば、“本格上昇”の兆しとしてかなり強力です。
黒三兵からの空売り・撤退判断
黒三兵がチャート上に現れたとき――それは「逃げ時」や「仕掛け時」のサインかもしれません。特に高値圏での黒三兵は、トレンド転換の警告灯。ここでは、黒三兵を手がかりに“損を減らす”もしくは“利益を狙う”ための判断法を解説します!
■高値圏での黒三兵は要警戒!
黒三兵とは、3本連続して陰線が現れる下落サイン。このとき、ローソク足が前日安値を次々と更新していく場合、買い方は一気に弱気になります。
「あれ、天井だった? 一旦逃げようかな…」という心理が蔓延し、そこから本格的な下落に入ることが多いのです。
■空売りのタイミングは「4本目」で判断
空売りを狙うなら、黒三兵の4本目のローソク足が重要です。この4本目が再び陰線になり、かつ出来高が増加していれば「下落トレンド継続」の可能性が高まります。逆に、4本目が陽線であれば“売られすぎの反発”の可能性があるため、空売りは慎重に。
この4本目の確認を怠ると、「下がると思って売ったのに、翌日から反発した…」というケースに陥りやすくなります。
■損切りラインと撤退判断を明確に!
黒三兵が出たからといって、必ず下落が続くわけではありません。そこで大事なのが、自分のポジションに対して“損切りライン”を決めておくこと。
また、ポジションを保有している場合は、黒三兵が出た段階で一部を利確・撤退する判断も重要です。「全部売るのは怖いけど、半分だけ利確しようかな…」というのも立派なリスク管理なのです。
三兵に潜むリスクとその対策
三兵パターンは視覚的にわかりやすく、多くの投資家が注目していますが、だからこそ“落とし穴”も存在します。「これは赤三兵だから安心して買える!」と安易に飛びついてしまうと、痛い目を見ることも…。
このセクションでは、ユーザーが恐れている未来――つまり、「三兵に騙されて損する」状況を避けるためのリスクと対策を詳しく解説します。
「三兵に騙されて損する」ケース
「赤三兵が出たから買ったのに、翌日から株価が下がった…」「黒三兵が出て売ったら、まさかの反発…」――こんな経験、ありませんか?
実は三兵パターンには“ダマシ”のリスクがつきもの。ここでは、その代表的なケースと共通点を紹介します。
■【事例1】赤三兵で買ったら天井だった!
よくあるのが、高値圏での赤三兵出現です。たとえば株価が急騰した後に赤三兵が出た場合、「もうすでに天井だった」という可能性が高く、そこから利益確定売りが続いて反落するケースが多いです。
■【事例2】黒三兵で売ったらリバウンド!
逆に、安値圏での黒三兵も曲者です。「もう売る人がいない」状態で陰線が3本続いた後は、機関投資家や逆張りトレーダーが買いに入ることがあり、急反発が起きやすくなります。
■ダマシの共通点とは?
- 高値圏/安値圏での出現
- 一方向に極端に伸びたローソク足
- 出来高が急増または急減している
- 他のテクニカル指標との乖離が大きい
このような条件が揃っている場合、三兵が“罠”になる可能性がグンと高まります。つまり、「三兵=信頼できるサイン」とは限らないのです。
フォローアップ指標でダマシを防ぐ
三兵パターンは視覚的なインパクトが大きいため、それだけに“ダマシ”に引っかかりやすい側面もあります。だからこそ、他のテクニカル指標と併用して裏取りをすることが、非常に重要になってきます。

ここでは、三兵の“信頼度”を高めるための代表的なフォローアップ指標をご紹介します!
■出来高:勢いの“本気度”を見極める
まず注目すべきは出来高です。赤三兵や黒三兵が出現した日に出来高が明確に増加していれば、相場参加者の本気度が高いと判断できます。逆に、出来高が減少していると「ただの薄商いで作られたパターンかも…」という疑いが出てきます。

■RSI・MACD:過熱感や転換点を補足
RSI(Relative Strength Index)は相場の“買われすぎ・売られすぎ”を示す指標で、赤三兵出現時にRSIが70以上なら要警戒。一方、黒三兵でRSIが30以下なら、逆張り買いのタイミングになることも。

MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、トレンドの強さと転換を示す指標。赤三兵とMACDゴールデンクロスが重なればかなり強気に見てよく、黒三兵とデッドクロスが一致すれば、下落継続の可能性が高まります。

■移動平均線との位置関係
三兵がどの移動平均線の上or下で出現したかも大切な判断材料です。
たとえば赤三兵が25日移動平均線の上で発生した場合、それはトレンドの“継続サイン”として非常に強力。一方で、移動平均線から極端に乖離していれば、反動による戻しも視野に入れる必要があります。
これらの指標を併用することで、三兵の“裏付け”が取れ、より根拠ある判断ができるようになります。チャートはあくまで「サイン」であって、「答え」ではない。そう意識してトレードに臨みましょう!