トレーリングストップとは?|設定・使い方・注意点を解説

「FXで含み益が出たのに、いつの間にかマイナスになっていた…」そんな苦い経験、ありませんか?
トレードの最大の敵は“利確のタイミング”です。しかし、相場の動きを見ながら判断するのは至難の業。
そこで注目されているのが、自動で利益を守ってくれる「トレーリングストップ」。
今回は、その仕組みと使いこなし方を徹底的に解説します!

目次

トレーリングストップの基本仕組み

結論

トレーリングストップ=利益方向にだけ損切りラインを自動で追従させ、含み益を守りながら利益を伸ばす仕組み。

トレーリングストップとは何か

価格が有利に動いた分だけ、損切りライン(SL)が自動で切り上がる/切り下がる。

固定SLと違い、相場が進むほどリスクが縮まり、含み益を守りながら利益を伸ばせる。

— トレーリングストップの特徴(3つ) —

  • 利益方向にのみ動く(逆方向には絶対に戻らない)
  • 一定距離(pips・金額・ATRなど)を基準に追従
  • 逆行時は更新SLで自動決済

要するに、「利確の上限に天井は作らず、損失の下限だけ引き上げていく自動安全装置」である。

固定SLとの根本的な違い

本質は “動くか、動かないか”。

固定SLトレーリングストップ
損切り位置:ずっと固定損切り位置:有利方向に自動で移動
利益保護なし含み益を守りながら伸ばす
裁量判断が必要自動処理
レンジ相場向きトレンド相場向き

固定SLは「最初に決めたラインに触れたら損失確定」。 トレーリングストップは「含み益を残しつつ追従し、逆行した瞬間に利確」する。

負けを限定しながら“勝ちの最大値を伸ばす”仕組み。

相場に追従する利点・欠点

利点

正直言えば、トレンド相場では圧倒的に強い。

  • 利益を最大化しやすい → トレンドが伸びる限り利確ラインも伸び続ける
  • 裁量ストレスが消える → 利確判断の迷いがゼロ
  • 含み益の“吐き出し”を最小化 → 逆行しても更新SLで利益確保
欠点

知らずに使うと負ける。

  • ボラが狭いレンジでは刈られやすい → 小さな逆行で即決済
  • 追従幅の設定がシビア → 狭い=すぐ刈られる、広い=機能しない
  • ノイズに弱い → ストップ狩りや急変動の揺さぶりで終了しやすい
アドバイス

つまり「トレンドかレンジか」の環境認識を誤ると逆効果。

トレーリングストップの設定方法

結論

MT4/MT5の標準トレールは“応急処置”。本気の運用ならEA側に実装した方が正確。

MT4/MT5での設定手順

裁量トレード中のポジションに 右クリック →「トレーリングストップ」 を適用するだけ。

MT4の場合

  • 保有ポジションを右クリック
  • 「トレーリングストップ」→ 任意のpips幅を選択
  • 「カスタム」で自由入力も可能
  • 設定幅以上に価格が進んだ瞬間から追従開始
アドバイス

PCがオフだと機能が止まる点には注意。

MT5の場合

  • 基本操作はMT4と同じ
  • ただしサーバー側トレール対応のブローカーは非常に少ない
  • 多くはMT4と同様に“端末側で動作”

PCが落ちた瞬間にトレーリングも停止する。

本気の運用はEA側でトレール実装した方が圧倒的に信頼性が高い。

何pips追従させるべきか(相場タイプ別)

スキャルピング
  • 5〜15pips
  • ノイズが多く「狭すぎると即刈られる」
  • スプレッドの2〜3倍が最低ライン
デイトレード
  • 15〜40pips
  • 押し目・戻りが多いため余裕を持たせる
  • 利確幅の1/3〜1/2を基準にすると安定
スイング
  • 50〜150pips
  • 大きな押し戻しに耐える必要がある
  • ATRベースでの追従設定が最適

短い足ほど狭く、長期ほど広く。 ノイズ量に比例して追従幅を広げるのが原則。

時間足ごとの推奨設定幅

時間足推奨トレール幅理由
M55〜12pipsノイズ激しく最低5pips以上必要
M1510〜20pips小さな押しに耐えつつ利益固定
M3015〜30pips10pips未満は刈られやすい
H120〜40pipsトレンドフォローで安定
H440〜80pips大きな波に合わせて深めが必要
D180〜150pipsデイトレーベースの押し幅が極めて大きい

クロス円は広め、ドルストは狭めが基本。

トレーリングストップの効果とメリット

利幅を最大化する仕組み

トレールは、相場が進む限り「利益幅を自動で伸ばし続ける」仕組み。

固定利確(テイクプロフィット)と違い、利確の上限を作らない。 そのため、トレンドの伸びをフルで取れるのが最大の強み。

— 利幅を最大化する3つのポイント —

  • 価格が有利に動くたびにSL(損切りライン)が更新される
  • 逆行した瞬間、更新後の位置で利益が確定する
  • 追従幅さえ決めておけば、あとは「放置で利益が伸びる」

裁量で「伸ばすか」「利確するか」で迷う必要が無くなるため、 “MAX利益の取り逃し防止装置”と言っていい。

含み益の保護と心理的メリット

トレーリングストップの核心は「含み益を守りながら伸ばす」点にある。

通常トレードでは、

  • 含み益が消える恐怖
  • 利確した途端に伸びる後悔

この2つが常にストレスになる。

トレーリングストップが潰すポイント
  • 含み益が増えるたび、SLが自動で利益圏に移動
  • SLが利益圏に入った時点で「逆行=損失ではなく利確」
  • 裁量判断ゼロ → 迷い・後悔がほぼ消える
アドバイス

「戻されたらどうしよう」問題が消える=精神の消耗が激減。

心理が安定すると、結果として勝率・パフォーマンスも安定しやすくなる。

ボラティリティ相場で強い理由

方向性+ボラティリティが出たとき、トレールは最強になる。

理由は単純:

  • 値幅が大きいとSL更新がどんどん進む
  • 伸びるほど利幅が雪だるま式に拡大
  • ノイズで刈られる前に“大きい波の本流部分”を取れる
特に強いケース
  • トレンドが走り始めた直後
  • 重要指標後の“一方向の暴走”
  • ブレイクアウト後の加速
  • ATRが高い(荒い)時期

「トレンド × 大きな値幅」=固定利確より圧倒的に多く取れる。

ただし逆に、レンジでは刈られやすいため、 相場環境の見極めだけは必須。

トレーリングストップのおすすめ設定値

短期トレード(スキャル・デイトレ)

短期は「ノイズが最大の敵」。 狭すぎると即刈られ、広すぎると意味がないため、現実的なレンジが決まってくる。

スキャルピング

推奨幅

5〜12pips

  • M1〜M5の小さな逆行に耐える最低ライン
  • スプレッド+ボラを考えると5pips未満は機能しない
  • 高ボラ時は 12〜15pips まで広げてもOK
アドバイス

“狭すぎるトレール”は一番負けやすい。

デイトレード

推奨幅

15〜30pips

  • M15〜H1の押し・戻りを吸収する標準幅
  • 目安:
    利確30pips → 10〜15pips
    利確50pips → 15〜25pips
  • 原則:利確幅の1/3〜1/2 が最適

中長期トレード(スイング)

スイングは押し・戻りが深くなるため、短期のような“狭いトレール”は逆効果。

推奨幅(H4〜D1)

50〜150pips

  • 大きな波の押し目を耐えるため最低 50pips 必須
  • 強いトレンド時は 100pips以上 でも普通
  • ATRベースにすると精度が最も高い

例:
ATR(14)=80 → トレール ≈ 80pips
ATR(14)=120 → 100〜150pips

“自然な揺れ幅”に合わせるのが絶対条件。

通貨ペア別の推奨幅(クロス円/ドルスト)

通貨ペアはボラが全く違うため、同じpips幅でトレールすると失敗する。

クロス円(USDJPY・EURJPY・GBPJPY)

推奨幅

USDJPY:15〜40pips

EURJPY:20〜50pips

GBPJPY:30〜80pips(最重要)

  • USDJPY:中ボラ・安定 → 20pips前後が最適
  • EURJPY:押し戻しが深い → 最低20pips
  • GBPJPY:ノイズ極大 → 15pips以下はほぼ全敗
    スイングは 60〜100pips が基準

ドルスト(EURUSD・GBPUSD・AUDUSD・XAUUSD)

推奨幅

EURUSD:10〜25pips
GBPUSD:15〜35pips
AUDUSD:10〜20pips
XAUUSD(ゴールド):50〜150pips

ゴールドだけは別格で絶対に広くすること。 狭くすると一瞬で刈られる。

トレーリングストップと他手法の組み合わせ

移動平均線(MA)との併用

トレーリングストップは利益管理であり、エントリー根拠ではない。
MAと組み合わせると精度と再現性が一気に上がる。

MAで“方向と押し目”を確定 → トレールで利益を伸ばす

  • MAの傾きでトレンド方向を固定
  • 押し目買い/戻り売りを MAタッチで判断
  • トレンドが伸びたらトレールが自動追従し、逆行で自然利確
役割分担が噛み合う理由

MA=方向担当
トレール=出口担当

入口と出口の役割が完全に分かれるため、裁量ブレが消える。

短期MAと長期MAを併用する場合

  • ゴールデンクロス/デッドクロスで流れ判断
  • 流れに乗った直後はトレールを広めに設定
  • 利が乗り始めたら幅を狭めることで利益を固める
アドバイス

“流れに乗る → 伸ばす” の黄金パターンが作りやすい。

チャネルライン・トレンドラインとの併用

ライン系は「波が終わりやすい場所」を教えてくれる。 そこにトレーリングを重ねると、“無駄な利確” が激減する。

ラインの手前まではトレールを深めに維持

  • トレンドラインまでは押し戻しが発生するのが普通
  • 早く締めすぎると“正常な押し”で刈られる
  • ライン接近までは深め設定が安全

ライン付近でトレール幅を狭めて確実に取る

  • チャネル上限・下限は反転ポイントになりやすい
  • 反転前にトレールが広すぎると含み益を吐き出す
  • ライン前後でトレールを縮めると利益が固まりやすい

ライン=出口の目安 トレール=確定装置

EA(自動売買)での最適化ポイント

EAのトレーリングは裁量よりシビア。 適当に入れるとPFを壊す。

1. ATRベースのトレールを採用する

固定pipsより圧倒的に安定。 市場ボラに適応するため、刈られにくく、遅れにくいのが最大の利点。

例:ATRトレール

trailing_stop = ATR(14) × 1.5

2. モード別に幅を変える

  • トレンド検出時:広め
  • レンジ検出時:トレール停止 or 超広め
  • ブレイク時:狭め
アドバイス

状態に応じて切り替えるだけで、PFが 1.1 → 1.3 へ改善することも普通。

3. MA・RSI・価格構造と連動させる

  • MAが一定方向のときだけトレールON
  • RSI70/30の過熱時はトレール強制ON
  • 直近のスイング高値/安値を基準にトレール制御

裁量の“良い部分”をロジック化するとEAの安定性が跳ね上がる。

4. 利確(TP)との優先順位を決める

EAでは、 TPを優先するのか / トレールを優先するのか これを統一しないと挙動が乱れる。

おすすめは「トレール優先」。

理由:TPは相場の伸びを制限するが、トレールは伸びた分だけ利益を最大化できるため。

トレーリングストップのよくある質問

トレーリングストップとは何ですか?

トレーリングストップは、価格が有利に動いた分だけ自動でストップロス(損切りライン)を追随させる仕組みです。利益を伸ばしつつ、急反転での損失を抑えるために使われます。

トレーリングストップはどんな時に使うべき?

「トレンドが強い」「方向性がはっきりしている」場面で最も有効です。利益確定の判断に悩む相場でも自動で利を伸ばせます。

トレーリングストップの基本設定は?

よく使われる幅は以下です:
・短期トレード:10〜20pips
・デイトレ:20〜40pips
・スイング:50〜100pips以上
トレンド中に“すぐ狩られない幅”が最適です。

トレーリングストップのメリットは?

主なメリット:
・利益を最大限伸ばしながら、反転を自動でカット
・裁量判断が減り、メンタル負荷が下がる
・勝ちトレード平均額が増えやすい
トレンドフォロー系EAでも多用されます。

トレーリングストップのデメリットは?

主なデメリット:
・戻しが深い相場ではすぐ刈られてしまう
・設定幅が小さすぎると勝率が落ちる
・レンジではほぼ機能しない 特に“値動きのノイズ”に弱いのが難点です。

どんな相場でトレーリングは失敗しやすい?

「上下に振りながら方向感がない相場」です。ニュース前後やボラが低いレンジでは、何度も無駄に狩られます。

トレーリングは初心者でも使えますか?

使えます。ただし“幅を小さくしすぎない”ことが絶対条件です。広めに設定したほうが長期的には利益が安定します。

まとめ

トレーリングストップは「利を伸ばし、損を縮める」最も合理的でシンプルな出口戦略。

ただし、入れれば勝てる魔法ではない。 相場特性・時間軸・通貨ペアごとのボラティリティを理解し、 適切な追従幅に調整してこそ本来の性能を発揮する。

トレーリングストップの本質(4つ)
  • 相場が進む限り利益を伸ばし、逆行した瞬間に自動利確
  • トレンド相場に圧倒的に強く、レンジでは刈られやすい → “環境認識” が必須
  • 追従幅は 時間足 × スタイル × 通貨ペアのボラ で決める (固定値では通用しない)
  • MA・チャネルライン・EAロジックと組み合わせると精度が跳ね上がる

“勝ちを最大化し、負けを最小化するための出口最適化ツール”。

正しく使えば、裁量でもEAでも「勝率より利益率」を重視した戦い方が可能になる。

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