「FXで含み益が出たのに、いつの間にかマイナスになっていた…」そんな苦い経験、ありませんか?
トレードの最大の敵は“利確のタイミング”です。しかし、相場の動きを見ながら判断するのは至難の業。
そこで注目されているのが、自動で利益を守ってくれる「トレーリングストップ」。
今回は、その仕組みと使いこなし方を徹底的に解説します!
FX初心者でもわかる!トレーリングストップとは?
トレーリングストップの基本的な仕組み
トレーリングストップとは、「価格が有利に動けば損切りラインも自動で追従する」特殊な逆指値注文のことです。たとえば、ドル円が120円で買われ、5円幅(50pips)のトレーリングストップを設定した場合、価格が125円まで上昇すれば損切りラインは120円に引き上がります。しかし、価格が逆行し始めたら、そのラインは固定され、それ以上の追従は行われません。
アドバイスこれにより、「利が伸びたら自動で利益を確保し、損失は最小限に抑える」という効率的なリスク管理が可能となるのです。通常の逆指値注文では、価格がどれだけ有利に動いても、設定した損切り価格は固定のまま。トレーリングストップは、利益確定と損切りの“いいとこ取り”と言えるでしょう。
多くのFX初心者は、「どこで利益を確定すればいいか分からない…」「感情で利確してしまって後悔した」という悩みを抱えがち。トレーリングストップを使えば、こうした迷いを減らし、ルールに基づいた機械的なトレードが実現できます。
なぜ今、トレーリングストップが注目されているのか?
2025年の為替市場は、地政学的リスクや中央銀行の政策転換などにより、ボラティリティが一層高まっています。その中で、FXトレーダーに求められているのは「相場変動に柔軟に対応できる注文手法」です。トレーリングストップは、まさにそのニーズに合致する機能として、近年とくに注目を集めています。
また、AI自動売買やシステムトレードの普及により、裁量トレーダーも“ルールベースのトレード”への関心が高まっています。トレーリングストップは、手動トレードの中でもっとも簡単にルール化できる戦術の一つとして、多くの解説記事やセミナーでも取り上げられるようになりました。
トレーリングストップの設定方法【MT4・MT5・TradingView対応】
MT4での具体的な設定手順と注意点
MetaTrader4(MT4)では、トレーリングストップの設定はとてもシンプルです。ただし、いくつかの重要な注意点があります。
まず、ポジションを保有中に「ターミナル」ウィンドウを開き、「取引」タブから対象ポジションを右クリックします。表示されたメニューの中にある「トレーリングストップ」から、あらかじめ用意されたpips幅(例:15pips、20pipsなど)を選択するか、「カスタム」を選んで自分で数値を入力することで設定できます。
しかし、MT4ではトレーリングストップの機能が“PC上のMT4が起動している間しか動作しない”という制約があります。つまり、自宅のPCでMT4を立ち上げてトレードしている場合、パソコンをシャットダウンしたり、MT4を閉じてしまうと、トレーリングストップも機能しなくなるのです。これは大きな落とし穴。
また、設定したpips幅が狭すぎると、通常の値動きでもすぐに逆指値に引っかかってしまい、利益を十分に伸ばせないこともあります。特にドル円やユーロドルなど、日中でも20〜30pips程度の上下動がある通貨ペアでは、トレーリング幅の設定は慎重に行う必要があります。
「勝てると思ったのに、いきなり決済されてた…」という事態を避けるためにも、MT4での設定は“環境”と“相場の値幅”の両方を意識しましょう。
MT5での設定手順と利便性の違い
MetaTrader5(MT5)では、トレーリングストップの設定がより直感的かつ柔軟になっており、MT4に比べて操作性も向上しています。
設定方法は非常にシンプル。ポジションを保有した状態で「ツールボックス」内の「取引」タブ、もしくはチャート上のポジション表示を右クリックすると、メニューに「トレーリングストップ」が表示されます。そこからMT4同様、用意された幅を選択するか、カスタムで任意のpips値を入力すれば完了です。
MT5の大きな利点は、より高機能で安定した動作環境が整っていることです。MT4に見られるような“プラットフォームが起動していないと動作しない”という制限はあるものの、MT5は動作が軽く、複数チャートや通貨ペアの管理がしやすいため、トレーリングストップを使ったポジション管理にも適しています。
「トレーリングストップの操作が難しい」と感じていた方にとって、MT5はまさに扱いやすい選択肢。FX初心者でも迷わず使える設計となっています。
トレーリングストップの最適なpips幅は?
狭すぎる幅は危険?広すぎる幅の落とし穴
まず、狭すぎる幅の場合。たとえば10pipsなど極端に小さい設定をした場合、相場の通常の“ノイズ”(上下の揺れ)だけでストップが発動してしまい、まだトレンドが続いているにもかかわらず早期に決済されてしまうことがあります。特に、ボラティリティの高い通貨ペアや経済指標の発表前後では、数十pipsの上下動が当たり前。狭すぎる幅では、利益を伸ばす前に“自滅”するリスクがあるのです。
逆に、広すぎる幅を設定するとどうなるか。100pipsや150pipsなど大きなトレーリング幅では、確かに早期決済のリスクは下がりますが、反対に「トレンドの終わりに気づけず、含み益が大きく削られてから決済される」こともあります。特に短期トレードではこの“決済の遅れ”が致命傷になりかねません。
アドバイスこのように、トレーリングストップのpips幅は「相場の性質(ボラティリティ)」や「取引スタイル(スキャルピング・デイトレード・スイング)」に応じて慎重に決める必要があります。「とりあえず20pipsにしておけば大丈夫」という発想は非常に危険です。
ATRやボラティリティ指標を使ったpips幅の決め方
トレーリングストップのpips幅は、勘や経験に頼らず「相場の変動幅=ボラティリティ」を元に決めるのが理想的。その際に非常に有効なのが「ATR(Average True Range)」というテクニカル指標です。
ATRとは、「一定期間における価格の平均的な変動幅」を数値化したもので、たとえば日足でATRが0.75であれば、その通貨ペアは1日あたり平均75pips動くことを意味します。この数値を参考に、トレーリング幅を「ATRの50〜70%程度」に設定するのが一般的です。たとえば、ドル円のATRが40pipsなら、20〜30pipsが目安ということになります。
加えて、ボリンジャーバンドの±2σの幅や、過去の直近高値・安値との距離感を参考にする方法も有効です。スキャルピングなら5分足、デイトレードなら15〜60分足、スイングなら日足や週足と、トレードスタイルに応じて指標の期間も調整しましょう。
「なんとなく」で幅を決めるのは卒業し、数値に基づいた根拠ある設定で、ブレないトレードを実現しましょう。
まとめ:トレーリングストップで未来を守るFX戦略
トレーリングストップを使えば得られる未来とは?
トレーリングストップを正しく活用すれば、「利益はしっかり伸ばし、損失はコンパクトに抑える」理想的なトレード環境を手に入れることができます。
しかし、トレーリングストップを設定しておけば、価格が上昇する限り利益を追い、逆行すれば自動で決済されるため、トレーダー自身の判断に依存しなくても、戦略的に利益を確保できます。この“心理的な安定感”こそ、多くのトレーダーが求める未来です。
また、特に日中仕事がある兼業トレーダーにとって、「チャートを見続けなくても、自動でリスク管理ができる」というのは大きなメリット。「外出中に相場が急騰したけど、ちゃんとトレーリングストップで利確できてた!」という体験談は後を絶ちません。
アドバイスつまり、トレーリングストップは単なる注文方法ではなく、「自分のライフスタイルに合わせて、ムダなストレスなくトレードを継続できる環境」そのものを提供してくれる存在なのです。
トレーリングストップを誤用すると訪れる危険な未来
トレーリングストップは便利な機能である一方、使い方を誤れば「本来得られたはずの利益を逃す」「予期せぬ損失を招く」など、むしろトレード成績を悪化させる可能性もあります。
もっとも多いのが、“設定幅が相場に合っていない”ケース。ボラティリティの高い場面で狭すぎる幅を設定すると、ほんの少しの値動きでストップにかかってしまい、その後に想定通りの方向に伸びていっても、トレーダーはすでに市場から離脱しているという事態に。
「あのとき、もう少し余裕を持っていれば…」という後悔は、多くのトレーダーが一度は経験する落とし穴です。
また、“トレーリングストップを過信しすぎる”ことも危険です。「設定してあるから安心」と油断し、相場分析を怠ってしまうと、ファンダメンタルズや指標発表による急変動で、ストップが想定外の位置で作動し、損失を拡大させてしまうこともあります。
さらに、「どのポジションにも一律で同じpips幅を使う」というような、状況を無視した固定設定も要注意。通貨ペアごとに適正な変動幅は異なり、それを考慮しないままルール化してしまうと、トレードの質を下げる要因になります。
アドバイスつまり、トレーリングストップは“設定して終わり”ではなく、“相場環境や通貨特性に応じて調整し続けるもの”だという意識が必要です。誤った使い方のまま放置すれば、せっかくの利益をみすみす手放すことになりかねません。


