市場サマリー
昨日の外国為替市場では、ドル指数が0.28%上昇して105.5067となり、ユーロ/ドルは0.31%下落して1.0703、ポンド/ドルは0.61%下落して1.2685となりました。ドル/スイスフランは0.42%下落して0.8934となり、国際現物ゴールドは1.26%上昇して2332.73ドル/オンスで引けました。
米ドル指数
先週の外国為替市場では、ドル指数は全体的に一旦下落した後上昇する動きを見せました。先週水曜日に発表された5月の未季調CPI年率は3.3%で、前回値および予想値の3.4%を下回り、4月に続いて予想を上回る下落となりました。インフレの低下はFRBが利下げを行う前提条件であるため、このデータが発表された後、ドル指数は一時大幅に下落しましたが、その後のFRBの金利決定で現行金利が据え置かれ、同時に発表されたドットプロットでは将来の金利予測が引き上げられ、ドル指数は反発して最終的に週間で0.6%上昇し、105.5067で引けました。
今年第1四半期、米国のインフレ高止まりと強い経済データの影響で市場はFRBの利下げ予測を次第に引き下げ、ドル指数も上昇を維持しました。しかし、ここ2ヶ月間、米国のインフレはある程度低下しているものの、FRBはそのタカ派姿勢を明確に変えることなく、ドル指数は方向性を欠き広範なレンジでの変動が続いています。現段階では、インフレデータがFRBの金融政策の調整とドル指数の動向を決定する重要な要素となっています。FRBが明確な利下げのシグナルを出す前に一定期間のインフレ低下を観察する必要がありますが、その間に市場の予測がFRBの公式発表に先行する可能性があります。今後のデータがインフレ低下の持続性を示す場合、FRBがタカ派を続けたとしても、ドル指数はインフレデータの公表とともに下落するでしょう。また、最近の米国の重要な経済データからも、米国経済の基礎的条件が弱まり、ドル指数への支援効果が減少していることが分かります。したがって、さらなるインフレデータの公表まで、ドル指数が大きく上昇する可能性は低く、短期間ではレンジ内での変動が続くと予想されます。
ポンド/ドル
ユーロ/ドルは先週、上昇した後に下落し、週間で0.9%下落して1.0703で引けました。
欧州中央銀行は6月6日に予想通り25ベーシスポイントの利下げを実施しましたが、今後の利下げ時期についての具体的な見解は示しませんでした。各主要中央銀行が利下げサイクルに入る中で、FRBと欧州中央銀行の今後の利下げペースが、今後のユーロ/ドルの動向を決定するでしょう。現在、欧州経済の基礎的条件はある程度改善しており、欧州中央銀行のラガルド総裁はインフレ低下への懸念を繰り返し表明しています。市場は欧州中央銀行の再利下げ予測を次第に引き下げており、米国のインフレデータが予想以上に低下し経済が軟化していることから、ユーロへの外部圧力が和らいでいます。そのため、ユーロ/ドルが今年初めの一方的な下落を維持するのは難しいでしょう。さらなる経済データの公表まで、ユーロ/ドルはレンジ内での変動を続けると個人的に予想しています。技術的には、次の上値支持ラインは1.0601、下値抵抗ラインは1.0916と見ています。