市場サマリー
昨日の外国為替市場では、米ドル指数が0.32%下落し、105.49で取引を終えました。対照的に、非米ドル通貨は全般的に上昇しました。具体的には、ユーロが対ドルで0.39%上昇し、1.0734で取引を終え、ポンドも0.31%上昇して1.2685となりました。また、ドル対スイスフランは0.14%下落して0.8929で取引されました。一方、国際現物金価格は0.56%上昇し、2334.47ドル/オンスで取引を終えました。
米ドル指数
最近の米ドル指数は高い水準での変動を続けており、昨日はやや反落して105.49で引けました。経済データを見ると、先週発表されたアメリカの5月小売売上高は前月比0.1%の増加にとどまり、予想の0.3%を下回りました。また、前月のデータも修正され、マイナス0.2%となりました。建築許可と住宅着工件数も月次で減少し、失業保険申請件数は予想を超えて23.8万人に達しました。一方で、6月のアメリカの製造業PMI、サービス業PMI、および総合PMIはすべて市場予想を上回り、50を超えて経済の拡張を示しました。
政策面では、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)会議において、米連邦準備制度理事会(FRB)は引き続きタカ派の姿勢を示しました。複数のFRB関係者が、インフレのさらなる持続的な低下が確認されるまで、利下げを開始しない意向を明言しています。このタカ派的な立場が、他の主要な非米ドル通貨に対する米ドルの強さを支えています。
市場の期待に関しては、6月のFOMC会議後、9月の利下げの確率は70%程度と予想され、年内の利下げは2回未満と見込まれています。年初から見ると、FRBの利下げ期待が大幅に後退していることが、米ドル指数を比較的強い位置に保つ要因となっています。短期的には、米ドル指数が高水準を維持し、アメリカの大統領選挙や国内経済の状況など、リスク要因が市場心理に与える影響に注目する必要があります。
ユーロ/米ドル
先週初め、米国の経済データの低迷により、ユーロは一時的に1.0750の高値に達しましたが、その後、欧州のPMIデータの弱さとアメリカのPMIデータの強さがドルを押し上げ、ユーロ/ドルは再び1.07以下に下落しました。現在は1.07付近で取引されています。
欧州中央銀行(ECB)は今月初めに市場の予想通りに利下げを実施しましたが、将来の利下げに関する明確な指針は示していませんでした。また、ECBは経済とインフレの見通しを引き上げました。ラガルド総裁は4月の会議とは異なり、今後の金融政策の方向性について具体的な示唆を避けました。市場では、9月にECBが再度利下げを行う確率が60%程度と予想されており、年内の利下げ幅は約45ベーシスポイントと見込まれています。
今後の見通しとしては、ユーロ/ドルの動向は、欧米の経済指標、中央銀行の金利政策の見通し、そして市場全体のリスク選好など、多くの要因が絡み合って影響を与えると考えられます。短期的には、ユーロは不安定な動きを続ける可能性が高いと見られています。