市場サマリー
先週の外国為替市場では、ドル指数は狭いレンジでの取引を続け、週間で0.07%下落し、104.671で終了しました。ユーロは対ドルで0.09%上昇し1.0848、ポンドは対ドルで0.08%上昇し1.2742となりました。
一方、国際現物金価格は0.38%下落し、2327.33ドル/オンスで取引を終えました。
米ドル指数
先週、アメリカの4月のコアPCE物価指数が市場予想を下回る結果となりましたが、FRB(連邦準備制度理事会)高官たちが利下げを急がない姿勢を示したことで、ドル指数は104以上の狭いレンジでの取引を維持し、金曜日には104.671で終了しました。
経済データに目を向けると、アメリカの第1四半期の実質GDP成長率は年率1.3%で、予想通りでしたが、前期の1.6%から減速しました。しかし、5月に発表された製造業およびサービス業のPMIは予想を上回り、前月よりも改善しました。インフレ面では、4月のコアPCE物価指数は前年比2.8%で予想通りでしたが、前月比では0.2%と予想の0.3%を下回りました。総じて見ると、アメリカのインフレ圧力は多少緩和されたものの、経済の弱含みが続くかどうかは今後のデータ次第です。
FRBの金融政策については、先週の会議で多くのFRB高官がアメリカのインフレが2%の目標に向かっているものの、経済の状態が良好なため、現時点での利下げは時期尚早であると述べました。これにより、FRBのタカ派的な姿勢が継続する可能性があります。一方で、1四半期の経済成長率の下方修正とコアPCE物価指数の予想下回りにより、市場ではFRBが年内に利下げを行うとの期待が高まっていますが、9月に利下げを開始する確率は50%未満、年内の利下げ幅は40ベーシスポイント未満となっています。
今後の見通しとしては、アメリカのインフレ圧力がある程度緩和されているものの、他の主要中央銀行がハト派的な姿勢を取る中で、FRBのタカ派的な立場がドルを支える可能性があります。アメリカの経済データがさらに悪化するまで、ドル指数の下落は限定的で、短期的にはレンジ内での取引が続くと予想されます。
ポンド/ドル
最近のユーロは主にドル指数の動きに連動しており、先週は一時1.0788まで下落した後、小幅に反発し、金曜日には1.0848で取引を終えました。
経済データに関しては、先週発表されたユーロ圏の5月の工業景気指数と経済景気指数はそれぞれ-9.9と96で、前月の-10.4と95.6を上回りました。また、5月の製造業PMIの速報値も予想と前月を大幅に上回り、総合PMIは51.7から52.3に上昇し、最近1年間で最高値となりました。これにより、ユーロ圏の経済データの改善がユーロの支えとなる可能性があります。
一方、金融政策については、ユーロ圏の5月CPIが前年比2.6%に上昇したものの、ECB(欧州中央銀行)高官たちは6月からの利下げを支持しており、年内に2〜3回の利下げが予想されています。市場は、ECBが今週の会議で25ベーシスポイントの利下げを行うと見ています。ECBの今後の金融政策に関する発表も市場の注目点となります。ECBが迅速な利下げの見通しを和らげる場合、ユーロはさらに反発する可能性があります。
技術的には、5月中旬以降、ユーロ/ドルは1.08前後でのレンジ相場を維持しており、上値の抵抗線は1.09付近にあり、下値のサポートは1.078付近に位置しています。