市場サマリー
昨日の外国為替市場では、ドル指数が0.15%下落し、104.102で取引を終えました。主要な非米通貨は全般的に上昇しました。ユーロは対ドルで0.19%上昇し、1.0890、ポンドは0.03%上昇し1.2791となりました。また、国際現物金価格も0.85%上昇し、2376.06ドル/オンスで取引を終了しました。
米ドル指数
最近のアメリカの経済データが期待外れだったため、利下げの可能性が再び浮上し、ドル指数は下落しました。昨日の終値は104.102となりました。具体的なデータを見てみると、第1四半期のGDP成長率の確定値は年率1.3%増で、速報値の1.6%から下方修正されました。
経済の動向を示す指標では、製造業とサービス業の成長速度にばらつきが見られました。5月のISM非製造業PMIは53.8と、9ヶ月ぶりの高水準で、サービス業の勢いを示しましたが、製造業PMIは48.7にとどまり、前月から低下しました。また、Markitの製造業PMIとも矛盾しており、製造業の回復が依然として困難であることが浮き彫りになっています。
インフレに関しては、4月のCPI(消費者物価指数)、コアCPI、およびPCE(個人消費支出)物価指数は、過去3ヶ月間の予想を上回る上昇から一転して下落し、インフレ圧力が一時的に緩和されたことを示しました。これらの経済データの軟化は、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)にとって利下げを検討する理由となりますが、FRBは引き続き「制限的な政策」を堅持し、急いで利下げを行うつもりはないと表明しています。
ポンド/ドル
昨日の夜、欧州中央銀行(ECB)は6月の金利政策を発表し、予想通り25ベーシスポイントの利下げを決定しました。この利下げは、2019年以来初めてのことで、G7諸国の中ではカナダに次いで二番目に利下げを行った国です。ECBは、将来の特定の金利動向について事前に約束しないことを表明しており、これにより7月に連続で利下げを行う可能性は低いと考えられます。また、ECBはインフレ見通しが明らかに改善したと述べつつも、2024年のインフレ予測を引き上げたため、今後の利下げ余地は制限される可能性があります。
利下げ決定後、ユーロは一時的に上昇し、最終的に0.17%の上昇で1.0887となりました。全体として、今回のECBの利下げはFRBよりも先んじた行動であり、年内の利下げ回数や幅に関する予測では、ECBの方がFRBよりも多く、かつ大幅に利下げする可能性が示されています。
金利差の観点から見ると、利下げはユーロにとってネガティブな影響を与えると考えられますが、ECBがインフレに対して慎重な態度を取っていることや、ユーロ圏の経済データが回復基調にあることを考慮すると、短期的にはユーロの反発が続く可能性があります。今後のユーロの動向は、アメリカとユーロ圏の経済動向および両中央銀行の利下げ予想の変化に大きく影響されるでしょう。もしFRBの利下げ期待がさらに弱まる場合、ユーロは圧力を受け、弱含みのレンジで推移する可能性があります。