市場サマリー
最近の外国為替市場では、米国連邦準備制度(FRB)の利下げ期待の変動とリスク感情の揺れ動きが、主要な影響力を持っています。昨日の米国経済データが予想を下回ったことで、市場の利下げ期待が強まりました。これにより、ドル指数は日中の高値105.80から下落し、105.26で取引を終えました。非米ドル通貨の多くが上昇し、ユーロは1.0786、英ポンドは1.2742で取引を終了しました。
米ドル指数
インフレ面では、最近発表された5月の消費者物価指数(CPI)、コアCPI、そして生産者物価指数(PPI)が予想を下回り、インフレがやや抑制されていることが示されています。しかし、他の経済指標を見ると、米国経済は一時的な耐久力を示しつつも、全体的には弱まっています。
昨日発表されたADP雇用統計では、15万人の新規雇用が追加されましたが、これは予想および前回の数値を下回るものでした。また、初回失業保険申請件数は23.8万人で、予想および前回の数値を上回りました。これにより、労働市場が年初の力強い状況から少しずつ軟化していることが分かります。
さらに、6月のISM非製造業指数(サービス業PMI)は48.8で、予想の52.7および前回の53.8を大幅に下回りました。また、5月の工場受注は前月比で0.5%減少し、予想よりも低かったうえに、前月のデータも0.7%から0.4%に修正されました。
これらのデータの変動は、市場の利下げ期待を強化しました。現在、連邦基金先物市場は、9月にFRBが利下げを行う確率を70%以上として織り込んでいます。
ポンド/米ドル
現在の市場状況を見ると、ドルの強弱が依然としてユーロの動向に最も影響を与えています。ドルが高水準で推移する中で、ユーロの上昇は制限されており、最近は1.07から1.08の範囲で取引されています。
ドル以外の要因としては、最近発表されたユーロ圏の最新のインフレデータが挙げられます。ユーロ圏の6月のインフレ率は、前月の2.6%から2.5%に減少しましたが、コアインフレ率は2.9%で、予想の2.8%をわずかに上回りました。
全体的なインフレ圧力は比較的低いものの、ECB(欧州中央銀行)は、すでに一度の利下げを行ったにもかかわらず、インフレの粘り強さに対して慎重な姿勢を保っています。この状況では、年内に1~2回の利下げが市場で織り込まれていますが、7月の追加利下げの可能性は比較的低いと見られています。