
「チャートのトレンドが見えにくい…」「細かいノイズに惑わされてしまう…」こんな悩みを持つ投資家は多いのではないでしょうか?ローソク足だけでは、市場の大きな流れを把握するのが難しいことがあります。
そこで役立つのが「ZigZag(ジグザグ)」というテクニカル指標です。ZigZagは、価格の高値と安値を結び、市場のトレンドをわかりやすく視覚化するために使われます。余計なノイズをカットし、重要な価格変動だけを表示するため、トレンド分析や転換点の判断に役立ちます。
「ZigZagを使えば、もっと相場の流れが明確に見えるのでは?」と思うかもしれません。しかし、この指標にはメリットだけでなく、注意すべき点もあります。設定値によっては誤ったシグナルを示すことがあるため、正しく理解しなければなりません。
本記事では、ZigZagの基本から計算方法、具体的な活用法まで詳しく解説します。
ZigZagインジケーターの基本概念

ZigZagインジケーターは、チャート上で価格の大きな変動を視覚的に示すために使用されるテクニカルインジケーターの一つです。
このインジケーターは、相場の「ジグザグ」な動き、つまり上昇と下降のパターンを描画することで、トレンドの転換点を明確に示します。これにより、相場のノイズを除去し、重要な価格の変動に集中することができます。
ZigZagインジケーターは、主に以下の要素を基に動作します。
- 価格の変動幅:指定された一定の変動幅を基に、次のピークやトラフを描画。
- 最小変動:トレンドの転換が意味のある価格変動によって確認されるまで、ノイズ的な小さな動きは無視されます。
ZigZagの定義と特徴
ZigZagはどんなテクニカル指標なのか
ZigZagは、一定の変化率(%)を設定し、価格がその基準以上に動いたときのみ線を引くことで、細かい価格変動(ノイズ)を除外する指標です。例えば、変化率を「5%」に設定した場合、価格が5%以上の動きを見せたときのみ、新たなラインが描画されます。
この指標の特徴は、以下の点にあります。
- 市場の大局的な流れを視覚化できる:小さな価格変動を除外し、明確なトレンドを見極めるのに役立つ。
- 後付けでラインが修正される:リアルタイムでは確定しないため、過去のデータを基にした分析が中心となる。
- エントリー・エグジットの補助として使える:他のテクニカル指標と組み合わせることで、売買ポイントを見極める際の補助となる。
ZigZagはトレンドの把握に役立つものの、単独では売買の判断材料にはなりにくいため、RSIやMACDなどの指標と組み合わせるのが一般的です。
価格の変動をどのように視覚化するのか
ZigZagは、ローソク足の高値・安値を基準に、設定した変化率を超えたタイミングで新しい転換点を作ります。その結果、折れ線グラフのような形状がチャート上に描かれ、トレンドがわかりやすくなります。
具体的な流れは以下のようになります。
- 現在の価格が直近の高値・安値から設定値以上の変動を見せる
- 新しい高値または安値が確定する
- それに応じて新しいラインが引かれる
例えば、以下のようなチャートでZigZagを適用すると、価格の大きな流れがシンプルな線で示され、短期的なノイズがカットされます。
ZigZagを活用することで、以下のようなポイントが見えてきます。
- トレンドの方向(上昇・下降)
- トレンドの転換点
- サポート・レジスタンスラインの目安
特に、トレンド転換を早めに察知するための補助ツールとして有効です。ただし、リアルタイムでの判断には向いておらず、他の指標と併用することで効果を発揮します。
ZigZagが重要視される理由
ZigZagは、トレンドを視覚的に把握しやすくするため、多くの投資家に活用されています。特に、ノイズの多い相場では、価格の大きな流れを見極めるのが難しくなりますが、ZigZagを使うことで、主要なトレンドを明確にすることができます。
トレンドを明確に把握できるメリット
相場のトレンドを見極めることは、投資戦略の基本です。しかし、ローソク足チャートには細かい価格変動(ノイズ)が多く、判断を誤ることがあります。
ZigZagを使うことで、以下のメリットがあります。
- 上昇トレンド・下降トレンドの視覚化
- ZigZagは、価格の転換点を結ぶことで、大局的な流れを明確に示します。
- たとえば、株価が一定の変化率以上上昇し続けていれば、ZigZagは上昇トレンドを描きます。
- エリオット波動やチャートパターン分析の補助
- エリオット波動やヘッドアンドショルダーなどのパターンを見つけやすくなります。
- 特に、トレンドの波を判断する際にZigZagが役立ちます。
- トレンドラインを引く際の参考になる
- ZigZagの転換点を基にトレンドラインを引くことで、より正確な相場分析が可能になります。
このように、ZigZagは「今の相場が上昇・下降どちらの流れにあるのか?」を明確にする手助けをしてくれます。
価格のノイズを除去する効果
短期トレードでは、細かい価格変動(ノイズ)に惑わされがちです。特に、スキャルピングやデイトレードでは、短期間の値動きに振り回されてしまうことも少なくありません。
ZigZagは、以下の方法でノイズを除去し、相場の本質的な動きを把握しやすくします。
- 一定の変化率を超えた動きのみを表示する
- 設定した閾値(例:5%)を超えない小さな値動きはカットされるため、不要な情報が排除されます。
- 不要なシグナルを減らし、冷静な判断ができる
- 短期的な値動きに惑わされず、トレンドの転換を落ち着いて分析できます。
- 他のテクニカル指標と組み合わせて精度を向上させる
- ZigZag単体ではエントリー・エグジットの判断が難しいため、RSIやMACDと併用することで、より確実な判断が可能になります。
ZigZagは価格の本質的な動きを抽出し、ノイズを除去することで、トレンドを明確にする指標として重要視されています。
ZigZagの計算方法とパラメータ設定
ZigZagは、価格の変動をフィルタリングすることでトレンドを明確にする指標ですが、正しく活用するためには計算方法やパラメータ設定を理解することが重要です。ここでは、ZigZagの計算式と最適なパラメータの設定方法を解説します。
ZigZagの基本的な計算式
高値・安値を基にしたラインの描画ルール
ZigZagは、設定した変化率(%)を超えた動きが発生したときに、新たな転換点を作り、線を描画します。計算の基本的な流れは以下の通りです。
- 直近の高値・安値を確認する
- 設定した変化率(%)以上の価格変動が発生したかを判定する
- 変化率を満たした場合、新しい転換点を作成する
- 転換点が確定すると、それまでのラインを更新しながら新たなトレンドを描画する
例えば、変化率を「5%」に設定した場合、直近の高値から5%以上下落すると、新たな下降トレンドのラインが描画されます。逆に、直近の安値から5%以上上昇すると、新たな上昇トレンドが描画されます。
設定する変化率が与える影響
ZigZagの精度を決める最も重要な要素は、変化率の設定です。この設定値によって、ZigZagの描画が大きく変わります。
- 変化率が小さい(例:1%)
- 小さな価格変動にも反応しやすくなるため、細かいトレンドの動きが見える。
- ただし、ノイズが多くなり、本来のトレンドを見極めにくくなる。
- 変化率が大きい(例:10%)
- 大きなトレンドのみを抽出し、ノイズを減らせる。
- しかし、トレンド転換の判断が遅れる可能性がある。
一般的には、3%〜10%の範囲で設定されることが多いですが、短期トレードでは小さめ(3%前後)、長期投資では大きめ(5%〜10%)にするのが適しています。
最適なパラメータの選び方
設定値が小さすぎる場合のデメリット
変化率を小さく設定しすぎると、以下のような問題が発生します。
- トレンドの転換点が多くなりすぎる → 小さな変動に過敏に反応してしまい、本来の大きな流れが分かりにくくなる。
- ダマシが増える → 実際にはトレンドが続いているのに、一時的な変動をトレンド転換と誤認する可能性がある。
例えば、日足チャートで1%の設定にすると、わずかな価格変動で頻繁に転換点が描かれ、結果的にZigZagのメリットが薄れてしまいます。
設定値が大きすぎる場合の影響
逆に、変化率を大きく設定しすぎると、以下のようなデメリットがあります。
- トレンドの変化に気づくのが遅れる → 価格が大きく動いてから転換点が確定するため、エントリー・エグジットのタイミングが遅くなる。
- 短期トレードには向かなくなる → 大きな変動しか捉えないため、デイトレードやスキャルピングには適さない。
例えば、週足チャートで10%の設定にすると、長期的なトレンドは把握しやすいものの、短期的な売買の判断には適していません。
パラメータ設定の実践例
ZigZagのパラメータ設定は、トレードスタイルによって調整するのがベストです。以下の例を参考に、目的に合った設定を試してみましょう。
トレードスタイル | 変化率(%)の目安 | 特徴 |
---|---|---|
スキャルピング | 1%〜3% | 細かい値動きも捉えるが、ノイズが増える |
デイトレード | 3%〜5% | 適度にノイズを除去しつつ、トレンドを確認 |
スイングトレード | 5%〜8% | 短期トレンドの転換を適切に把握できる |
長期投資 | 8%〜10% | 大きなトレンドを明確にし、余計な変動を無視 |
ZigZagのパラメータは、一度設定したら終わりではなく、市場環境に応じて調整することが重要です。たとえば、ボラティリティが高い相場では変化率を大きめに設定し、レンジ相場では小さめに調整すると、より適切なトレンド分析が可能になります。
ZigZagの実践的な使い方
ZigZagは単なるトレンドの視覚化ツールではなく、他の指標と組み合わせることで、より効果的な分析が可能になります。ここでは、ZigZagを活用したトレンド分析や、他のテクニカル指標との組み合わせ方を解説します。
トレンド分析への応用
上昇トレンド・下降トレンドの見極め方
ZigZagを活用すれば、市場のトレンドが視覚的に明確になります。具体的には、以下のようなポイントに着目することで、トレンドの方向を判断できます。
- 高値と安値の更新に注目
- 高値が切り上がり、安値も切り上がる → 上昇トレンド
- 高値が切り下がり、安値も切り下がる → 下降トレンド
- ZigZagラインの角度を確認
- 急な角度の上昇 → 強い上昇トレンド
- 緩やかな上昇 → 弱いトレンドの可能性
- ラインが横ばい → レンジ相場(方向感なし)
- 転換点のパターンを見極める
- Wボトム(ダブルボトム) → 底値圏からの反転サイン
- ヘッドアンドショルダー → 天井圏からの下落サイン
これらのポイントを意識することで、ZigZagを使ったトレンド分析がより正確になります。
トレンド転換点の判断基準
ZigZagはトレンド転換のタイミングを判断するのにも役立ちます。ただし、ZigZag単体ではダマシが多いため、他の要素と組み合わせて判断することが重要です。
転換点を見極める方法
- 出来高の変化を確認
- 転換点付近で出来高が急増 → 本物のトレンド転換の可能性が高い
- 出来高が低迷 → ダマシの可能性あり
- サポート・レジスタンスラインとの関係を見る
- ZigZagが過去の重要なサポートラインに達したら、反発の可能性
- レジスタンスラインに到達し、反落すれば下降トレンド入りのサイン
- オシレーター指標と組み合わせる
- RSIが「30以下」の状態でZigZagが反転 → 買いサイン
- RSIが「70以上」でZigZagが下降転換 → 売りサイン
これらのポイントを組み合わせることで、トレンド転換の判断精度を高めることができます。
他のテクニカル指標との組み合わせ
RSIとの併用で相場の過熱感をチェック
ZigZagはトレンドの大局を示しますが、具体的な売買タイミングは分かりにくいことがあります。そこで活用したいのがRSI(Relative Strength Index)です。
ZigZagとRSIの組み合わせ方
- ZigZagがトレンド転換を示唆しているときにRSIを確認
- RSIが30以下(売られすぎ)なら、買いエントリーの根拠が強まる
- RSIが70以上(買われすぎ)なら、売りエントリーの根拠が強まる
例えば、ZigZagが下降トレンドから上昇に転じたタイミングで、RSIが30以下なら「買い」のサインとなります。逆に、ZigZagが上昇トレンドから下降に転じた際にRSIが70以上なら「売り」のサインとなります。

MACDと組み合わせたエントリー・エグジット戦略
MACD(移動平均収束拡散手法)は、トレンドの方向性や強さを判断するのに役立つ指標です。ZigZagとMACDを組み合わせることで、エントリーとエグジットのタイミングをより明確にすることができます。
ZigZagとMACDの組み合わせ方
- ZigZagが上昇トレンドを示しているときに、MACDがゴールデンクロス(短期線が長期線を上抜け)
- → 買いエントリーのサイン
- ZigZagが下降トレンドを示しているときに、MACDがデッドクロス(短期線が長期線を下抜け)
- → 売りエントリーのサイン
- ZigZagが転換点を示唆しているが、MACDがトレンド継続を示している場合
- → まだエントリーを見送るべき可能性が高い
このように、ZigZag単体では判断が難しい売買タイミングも、MACDと併用することで精度を高めることができます。

ZigZagを使う際の注意点とデメリット
ZigZagはトレンド分析に役立つ便利な指標ですが、いくつかの注意点もあります。特に、リアルタイムの売買判断には向かない点や、設定次第でトレンドを誤認するリスクがある点を理解しておくことが重要です。
ZigZagの限界と誤解されがちなポイント
過去データに基づいた描画のため、未来予測はできない
ZigZagは、過去の価格データをもとにトレンドを描画するため、未来の動きを直接予測するものではありません。実際にラインが確定するのは、設定した変化率(%)を超える価格変動が発生した後です。
そのため、以下のような問題が発生します。
- リアルタイムでは転換点が確定しない → 「転換した」と思っても、その後の価格変動で修正される可能性がある。
- 後付けの指標である → 過去のデータを基に描画されるため、売買シグナルとしての信頼性は低い。
他のインジケーターと組み合わせないとダマシに弱い
ZigZagは価格のノイズを排除する一方で、「トレンド転換」と判断する基準が明確ではありません。そのため、他の指標と組み合わせないと、以下のようなダマシに引っかかるリスクがあります。
- 一時的な急騰・急落をトレンド転換と誤認
- 設定値によっては、変化が遅すぎて適切なエントリーができない
- トレンドの継続性を見誤る可能性がある
対策:RSIやMACD、ボリンジャーバンドなどの指標と組み合わせて、トレンドの強さや勢いを確認しながら判断するのがベストです。
ZigZagを活かすためのリスク管理
ストップロス設定の重要性
ZigZagは後付けの指標であるため、売買判断のタイミングが遅れることがあります。そのため、ストップロス(損切りライン)を事前に設定することが重要です。
- トレンド転換が遅れた場合に備え、適切な損切りを行う
- サポート・レジスタンスラインを基準にストップロスを設定する
例えば、「ZigZagが下降トレンドに転じたが、直近の安値を下回ったら損切りする」といったルールを作ると、リスクを抑えやすくなります。
トレードルールを決めて感情的な取引を防ぐ
ZigZagは、視覚的にトレンドを把握しやすいため、「今すぐエントリーしたくなる」という心理が働きやすい指標です。しかし、以下のルールを守ることで、感情的なトレードを防ぐことができます。
- ZigZagの転換だけでエントリーしない → 必ず他の指標と組み合わせる
- 一定のルールを決める → 例:「ZigZagとMACDのゴールデンクロスが一致したら買いエントリー」
- 複数の時間足で確認する → 1時間足だけでなく、日足や4時間足のトレンドもチェック
こうしたルールを徹底することで、ZigZagのメリットを活かしながら、リスクを抑えたトレードが可能になります。
まとめ – ZigZagを活用して相場分析を向上させよう
ZigZagは、相場の大局を視覚的に把握するために役立つテクニカル指標です。細かい価格変動(ノイズ)を排除し、主要なトレンドや転換点を明確にすることで、より冷静な投資判断が可能になります。
ただし、ZigZag単体では未来の価格予測はできず、リアルタイムの売買判断には向かないため、他のテクニカル指標と組み合わせることが重要です。
ZigZagの活用ポイントをおさらい
相場のトレンドを明確にするための有効な指標
- 価格のノイズを除去し、大きなトレンドを可視化できる
- 上昇・下降トレンドの継続性を判断しやすくなる
- 過去の転換点を見極め、サポート・レジスタンスラインの目安になる
他の指標と組み合わせて、より精度の高い分析を行う
ZigZagは単独では売買シグナルとしての信頼性が低いため、以下の指標と組み合わせることで、より正確なエントリー・エグジット判断ができます。
- RSI(相対力指数):買われすぎ・売られすぎを判断し、ZigZagの転換点と併用する
- MACD(移動平均収束拡散手法):トレンドの強さや転換のタイミングを確認する
- 出来高分析:ZigZagの転換点で出来高が増加しているかチェックし、ダマシを防ぐ
ZigZagを活かすために意識すべきこと
- パラメータ設定を適切に調整する
- 短期トレードでは小さめ(3〜5%)、長期トレードでは大きめ(5〜10%)の変化率が有効
- 市場環境に応じて設定を変更する
- 売買シグナルとして過信しすぎない
- ZigZagのラインは後付けで描画されるため、リアルタイムの取引には慎重な判断が必要
- 感情的な取引を避けるために、ルールを明確にする
- 「ZigZagが転換したら即エントリー」ではなく、必ず他の指標や市場状況を確認する
- ストップロス(損切りライン)を適切に設定することで、大きな損失を防ぐ
ZigZagは、トレンド分析の補助ツールとして非常に有用な指標です。しかし、単体での売買判断には限界があるため、他のテクニカル指標と組み合わせながら活用するのがポイントです。本記事の内容を参考に、ZigZagを効果的に活用し、相場分析の精度を向上させていきましょう!