
「相場の転換点を予測できたら、どれだけ楽だろう…」
FXトレーダーなら誰もが一度はそう考えたことがあるはずです。実際のところ、相場の動きはランダムに見えても、一定の法則が存在すると言われています。その中でも、歴史的に多くのトレーダーが活用しているのがフィボナッチ分析です。
フィボナッチ分析は、数学的な数列を応用したテクニカル分析手法で、価格の押し目や戻り目を予測するのに役立ちます。特に、「フィボナッチ・リトレースメント」や「フィボナッチ・エクスパンション」を駆使すれば、エントリーや利確のポイントをより戦略的に決めることが可能になります。
しかし、「本当にフィボナッチで相場を予測できるの?」「どの水準を信じればいいの?」といった疑問を持つ人も少なくありません。フィボナッチ分析を効果的に活用するには、基本の理論を理解し、正しい引き方をマスターすることが重要です。
そこで本記事では、フィボナッチ分析の基本から、実際のトレードでの活用法までを徹底解説します!あなたのトレード戦略に取り入れれば、今よりもっと確信を持ってトレードができるようになるかもしれません。
フィボナッチ分析とは何か?
FXの世界で「フィボナッチ分析」と聞くと、「よく名前は聞くけど、具体的にどういうものなの?」と疑問に思う方も多いでしょう。フィボナッチ分析は、数学的な数列「フィボナッチ数列」から導き出された比率を相場分析に応用する手法です。
この数列は、「1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34…」と続くもので、前の2つの数を足すと次の数が生まれるという特徴があります。興味深いのは、この数列から導かれる比率(23.6%、38.2%、50.0%、61.8%、100%など)が、金融市場における価格変動の節目になりやすいことです。
なぜフィボナッチ比率が相場で機能するのか?
フィボナッチ比率がトレーダーに重宝されるのは、相場の動きにおいて「人間心理」が大きく影響しているからです。例えば、多くのトレーダーが「この水準で反発しそうだ」と意識すれば、それが実際のサポートラインやレジスタンスラインとして機能しやすくなります。
さらに、過去の相場データを分析すると、フィボナッチ比率が示す水準で価格が反発・調整するケースが多く見られます。そのため、多くのプロトレーダーがこの手法を活用し、トレードの精度を上げているのです。
フィボナッチ分析の主な種類
フィボナッチ分析にはいくつかの種類がありますが、特にFXトレードでよく使われるのは次の2つです。
- フィボナッチ・リトレースメント:
- トレンドの押し目や戻り目を予測するためのツール
- 主要な比率(23.6%、38.2%、50.0%、61.8%、100%)を基準に、価格の反発ポイントを探る
- フィボナッチ・エクスパンション:
- トレンドの継続を予測し、次の目標価格を見極めるための手法
- 価格がどこまで伸びるかを測定する際に活用される
これらのツールを使いこなせば、相場の転換点やトレンドの継続をより明確に判断できるようになります。
フィボナッチ・リトレースメントの基礎と使い方
フィボナッチ分析の中でも、最もよく使われるのがフィボナッチ・リトレースメントです。これは、トレンド相場の押し目(上昇トレンド)や戻り目(下降トレンド)を予測するためのツールで、多くのトレーダーがエントリーポイントを見極める際に活用しています。
フィボナッチ・リトレースメントとは?
フィボナッチ・リトレースメントは、上昇または下降トレンドの起点と終点を結び、その間にフィボナッチ比率(23.6%、38.2%、50.0%、61.8%、100%など)を適用して、相場の調整ポイントを見つける手法です。
例えば、強い上昇トレンドの後、価格は一時的に下落(調整)することが多いですが、どのあたりで反発するのかを予測するのは簡単ではありません。そこで、フィボナッチ・リトレースメントを活用すれば、過去の価格変動を基に、押し目の候補となる水準を可視化できます。
フィボナッチ・リトレースメントの引き方
- 上昇トレンドの場合
- 安値(起点) → 高値(終点) を結ぶ
- 価格が下落した際に、フィボナッチ比率の水準(23.6%、38.2%、50.0%、61.8%)で反発するかをチェック
- 下降トレンドの場合
- 高値(起点) → 安値(終点) を結ぶ
- 価格が上昇(戻り)した際に、フィボナッチ比率の水準で再び下落するかを確認
フィボナッチ比率の各水準の意味
- 23.6% … 軽い調整レベル。強いトレンドではこの水準で反発することがある
- 38.2% … 比較的浅い押し目だが、反発ポイントとして機能しやすい
- 50.0% … 主要な心理的節目。理論的な裏付けはないが、多くのトレーダーが意識する
- 61.8% … 最も重要なフィボナッチ水準。深めの押し目で反発するケースが多い
- 100% … 元の価格水準に戻る可能性があるが、トレンド転換のシグナルともなり得る
これらの水準を意識することで、エントリーや損切りの目安を明確に設定できるのがフィボナッチ・リトレースメントの強みです。
フィボナッチ・エクスパンションの基礎と使い方
フィボナッチ・リトレースメントが押し目や戻り目の予測に使われるのに対し、フィボナッチ・エクスパンションはトレンドがどこまで伸びるのかを予測するためのツールです。特に、利確の目標価格を設定する際に役立つため、トレンドフォロー型のトレードをする人にとっては欠かせない手法となります。
フィボナッチ・エクスパンションとは?
フィボナッチ・エクスパンションは、価格がトレンド方向にどこまで伸びるかを推測するために使用します。これは、3つの主要なポイント(始点・高値・押し目)をもとに、フィボナッチ比率を適用し、将来のターゲット価格を算出するものです。
たとえば、強い上昇トレンドが発生している場合、どこで利確すべきかを判断するのは難しいものです。そんなときに、フィボナッチ・エクスパンションを使えば、過去の値動きから将来の到達点を予測できるのです。
フィボナッチ・エクスパンションの引き方
フィボナッチ・エクスパンションを適用するには、以下の3点を選定する必要があります。
- 始点(トレンドの起点)
- 高値(トレンドの一時的なピーク)
- 押し目(価格が調整した後、再上昇するポイント)
この3点を指定すると、フィボナッチ・エクスパンションのラインが引かれ、次のターゲット価格の目安が表示されます。
フィボナッチ・エクスパンションの活用例
- 上昇トレンドのケース
価格が押し目をつけた後、フィボナッチ・エクスパンションの100%(1.00)、161.8%(1.618)、200%(2.00)といった水準が、利確目標として機能しやすい。 - 下降トレンドのケース
戻り高値をつけた後、価格が再び下落すると、エクスパンションの水準が次の下落目標として意識されやすい。
フィボナッチ・エクスパンションの主な水準
- 100.0% … 第一目標。直近の値幅分と同じ値幅だけ動く可能性がある
- 161.8% … 強いトレンド時の目標地点。相場がこの水準まで伸びることが多い
- 200.0% … さらに強いトレンドで意識される水準
フィボナッチ分析を用いた具体的なトレード戦略
フィボナッチ・リトレースメントやエクスパンションの使い方を学んだら、次は実際のトレードにどう活かすかが重要です。ここでは、フィボナッチ分析を使った具体的なトレード戦略を解説します。
1. フィボナッチ・リトレースメントを活用した押し目買い戦略
戦略概要
上昇トレンド中に、フィボナッチ・リトレースメントの主要な比率(38.2%、50.0%、61.8%)まで価格が下がったら、そこを押し目と判断し、買いエントリーを狙う戦略です。
具体的なエントリー方法
- 強い上昇トレンドが発生している通貨ペアを選ぶ
- フィボナッチ・リトレースメントを引き、押し目候補(38.2%、50.0%、61.8%)を確認
- その水準で価格が反発する兆候(ローソク足の反転、出来高増加など)が見られたら買いエントリー
- 利確目標:フィボナッチ・エクスパンションの100%、161.8%
- 損切り設定:直近の安値を少し下回る水準
この方法なら、「どこで買えばいいかわからない…」という悩みを解消し、リスクを抑えつつトレンドに乗ることができます。
2. フィボナッチ・エクスパンションを使った利確戦略
戦略概要
フィボナッチ・エクスパンションを利用して、トレンドの目標価格を設定し、計画的に利確を行う戦略です。
具体的なエントリー方法
- 上昇トレンド(または下降トレンド)が発生している通貨ペアを確認
- フィボナッチ・エクスパンションを引き、100%、161.8%、200%の水準を確認
- エントリー後、100%で一部利確、161.8%で追加利確、200%で完全決済
- 損切り設定:エントリー時の押し目(または戻り高値)を少し下回る位置
この戦略を活用すれば、「いつ利確すればいいのかわからない…」という悩みを減らし、感情に流されず計画的にトレードができます。
3. フィボナッチ分析と他のテクニカル指標の組み合わせ
フィボナッチ分析単体でも強力ですが、他のテクニカル指標と組み合わせることで、さらに精度を高めることができます。
移動平均線(MA)との組み合わせ
- フィボナッチの押し目水準と移動平均線(50MAや200MA)が重なるポイントは、より信頼性の高いエントリーのタイミングになりやすい。
- 例:61.8%リトレースメントの位置に200MAが来ていれば、強力なサポートラインとして機能しやすい。
一目均衡表との組み合わせ
- 一目均衡表の雲の上限・下限とフィボナッチ比率が一致するポイントは、価格が反発しやすい。
- 例:上昇トレンド中にフィボナッチの50.0%水準が雲の上限と重なれば、強力な押し目のサイン。
このように、他のテクニカル分析と組み合わせることで、より確度の高いトレードが可能になります。
フィボナッチ分析と他のテクニカル指標の併用
フィボナッチ分析は単体でも有効ですが、他のテクニカル指標と組み合わせることで、より精度の高いトレードが可能になります。特に、移動平均線や一目均衡表との併用は、多くのプロトレーダーにも活用されています。
1. 移動平均線(MA)との組み合わせ
移動平均線(Moving Average, MA)は、トレンドの方向性やサポート・レジスタンスラインを判断するための基本的な指標です。フィボナッチ比率と組み合わせることで、より信頼性の高いエントリーポイントを見極めることができます。

具体的な活用方法
- フィボナッチ・リトレースメントの水準と移動平均線が重なるポイントは、強い反発ポイントになる可能性が高い。
- 例:61.8%のリトレースメントラインが200MA(200日移動平均線)と一致していれば、そこが強いサポートラインとして機能しやすい。
実際のトレード例
- 上昇トレンド中の通貨ペアを選ぶ
- フィボナッチ・リトレースメントを引き、38.2%、50.0%、61.8%の押し目候補を確認
- その水準に50MAや200MAが重なっている場合、反発の可能性が高い
- 反発の兆候(陽線の出現、出来高増加など)が見られたらエントリー
この組み合わせにより、ダマシを回避し、より確実なエントリーポイントを特定できます。
2. 一目均衡表との組み合わせ
一目均衡表は、日本発祥の相場のバランスやトレンドの強さを測る指標です。フィボナッチ比率と組み合わせることで、より強固なサポート・レジスタンスを特定できます。

具体的な活用方法
- フィボナッチ・リトレースメントの水準と「雲」の上限・下限が重なる場合、強い反発ポイントとなる可能性が高い。
- 基準線や転換線がフィボナッチ比率と一致する場合、エントリーの根拠が強まる。
実際のトレード例
- 上昇トレンド中にフィボナッチ・リトレースメントを引く
- 50.0%の押し目水準が一目均衡表の「雲の上限」と一致している場合、サポートラインとして機能しやすい
- 反発の兆候が見えたらエントリー
- 逆に、価格が雲を下抜けると、下降トレンドへ転換する可能性が高まるので注意
一目均衡表の「雲」とフィボナッチ比率を併用すれば、サポート・レジスタンスの信頼性がさらに高まります。
3. RSI(相対力指数)との組み合わせ
RSI(Relative Strength Index)は、相場の過熱感を測るオシレーター指標で、フィボナッチ分析と組み合わせることで、より精度の高いエントリーとエグジットが可能になります。

具体的な活用方法
- フィボナッチ・リトレースメントの押し目水準でRSIが「30以下(売られすぎ)」になっていれば、買いエントリーの根拠が強まる。
- 逆に、フィボナッチ・エクスパンションの目標水準でRSIが「70以上(買われすぎ)」なら、利確のタイミングとして有効。
実際のトレード例
- 上昇トレンド中にフィボナッチ・リトレースメントを引く
- 50.0%や61.8%の押し目水準で、RSIが30以下なら「売られすぎ」と判断し、反発の可能性が高い
- フィボナッチ・エクスパンションの161.8%水準でRSIが70以上なら「買われすぎ」と判断し、利確の検討をする
RSIを併用することで、より正確なエントリー&エグジットのタイミングを見極めることができます。
まとめ
フィボナッチ分析は単体でも有効ですが、移動平均線、一目均衡表、RSIなどの他のテクニカル指標と組み合わせることで、さらに強力な分析ツールとなります。
- 移動平均線と併用 → トレンドの方向性を確認し、信頼性の高い押し目・戻り目を特定
- 一目均衡表と併用 → 「雲」や基準線・転換線とフィボナッチ比率の重なりを意識する
- RSIと併用 → 売られすぎ・買われすぎの判断材料として活用する
これらを駆使すれば、「どこでエントリーすべきか?」「どこで利確すべきか?」といった悩みを解消し、より精度の高いトレードが可能になります。