
ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドは、価格の変動幅を表す上下2本のバンド(帯)と中央線の合計3本のラインからなるインディケーター(指標)です。このバンドは、一定期間の高値と安値から算出した標準偏差に基づき描画されます。
基準線は過去の価格の平均値を表しています。基準線から上下に2本描かれる線は、価格の標準偏差に基づいて決まります。
これによって、この2本の線で価格の変動幅が表されるのです。
ボリンジャーバンドの標準偏差の計算方法
標準偏差は、価格データの平均値からの偏差(各データ点と平均値との差)の平方を計算し、それをデータ点の数で割った値の平方根として求められます。具体的な計算式は次の通りです
- データの平均値(μ)を求める。
- 各データ点と平均値の差(偏差)を計算する。
- 偏差を二乗し、それらの平均(分散)を求める。
- 分散の平方根を取ると、標準偏差(σ)が得られます。

例えば、過去10日間の為替レートの標準偏差を求める場合、まずその10日の平均レートを計算し、それぞれの日のレートからその平均を引いて偏差を出し、次にそれらの偏差を二乗して平均を計算します。その後、平方根を取ることで標準偏差が得られます。
ボリンジャーバンドの役割
ボリンジャーバンドの一番の役割は、価格の変動の範囲を示すことです。
上下の2本のバンドでできた区間は、その期間における価格の標準的な変動幅を表しています。これによって、価格がこのバンド区間の中を動いている間は、価格は通常の変動の範囲内に収まっていると判断できるのです。
逆に、価格がバンドの上限や下限を抜け出すような大きな変動が起きた場合、異常な価格変動が発生した証拠です。
ボリンジャーバンドの使い方
ボリンジャーバンドの見方
ボリンジャーバンドは中央の基準線(移動平均線)と、その上下に描かれた2本のバンドラインから成り立っています。
この2本のバンドラインの間の幅が広い時は、その期間の価格変動が大きいことを意味します。逆に幅が狭い時は、価格変動が小さかった証拠です。
だから、このバンド幅を見るだけで、その時々の価格の変動状況が一目で分かるのです。
また、価格が上側のバンドラインに近づくと買いが強まり、下側のラインに近づくと売りが強まることがあります。
つまり、この上下のバンドラインはサポートやレジスタンスのように機能する場合があります。。
ボリンジャーバンドで価格変動を予測する


ボリンジャーバンドを使って、価格の変動を予測するパターンは以下のような特徴があります。
- 価格がバンド上限を上回る = 強気の価格上昇が続く兆候で、すぐに買いシグナルが出る可能性が高い
- 価格がバンド下限を下回る = 弱気の価格下落が続く兆候で、すぐに売りシグナルが出る可能性が高い
- バンド幅が拡大する = 価格の変動幅が以前より大きくなることを意味し、ボラティリティが高まる兆候
- バンド幅が縮小する = 価格の変動幅が縮小傾向にあることを示し、市場の変動が収束に向かう兆候

ボリンジャーバンドの動きを見ることで、その後の価格の変動方向をある程度予測できる可能性があるということです。
ボリンジャーバンドの設定方法
ボリンジャーバンドの設定は、適切に行うことがトレーディングの成否を分けるポイントになります。ここでは、期間、乖離率、移動平均の3つの設定方法について解説します。
期間設定で短期/中期/長期トレンドを捉える
ボリンジャーバンドの期間設定は、過去何日分の価格データを使うかを決めます。期間が短ければ短期の価格変動に敏感に反応しますが、ノイズも拾いやすくなります。
一般的な設定
- 20日程度 – 短期的なトレンド変化を捉え、短期売買に適している
- 30日前後 – 中期的なトレンドに追随しやすく、大規模な相場観察に向く
- 50日前後 – 長期的トレンドへのフィット感が高く、大局的な市場動向を見るのに適する
乖離率でバンド幅を調整し、反転タイミングを捉える
乖離率は、基準線からの上下バンドの幅を決める重要な設定です。一般的には2〜3倍が使われますが、数値が大きいほどバンド幅が広がります。
- 乖離率大 – バンド幅広く、価格がバンドを突破するタイミングが遅れがち
- 乖離率小 – バンド幅狭く、価格がバンドに接触しやすく、反転シグナルが早まりがち
乖離率が極端に大きすぎれば反転シグナルが出にくく、小さすぎればノイズに惑わされるリスクが高まります。
適度なバンド幅を設定することで、反転のタイミングを適切に捉えられます。
移動平均の種類でなだらかな基準線を
最後に、移動平均の種類を選びます。一般的にはSMAが使われますが、EMA/WMAを選べばより滑らかな基準線が得られ、価格の変動に円滑に追随できます。
ボリンジャーバンドは設定次第で短期売買から長期投資まで幅広く活用できる有力な指標です。期間、乖離率、移動平均を工夫し、市場環境に合わせた最適な設定を見つけることが大切です。

ボリンジャーバンドのメリットとデメリット
ボリンジャーバンドのメリット
- ◎ リスク管理に活用できる
- バンドからの乖離状況を見ることで、価格が通常の変動幅から外れた異常な動きをしていないか判断できるため、リスクを把握しやすくなります。
- ◎ トレンドの強弱が判断できる
- 価格とバンドの離れ具合から、価格の上昇や下落などのトレンドの強さを視覚的につかみやすくなります。
- ◎ サポート/レジスタンスが一目で分かる
- バンドの上限ラインがサポートライン、下限ラインがレジスタンスラインとなることが多く、注目しやすくなります。
- ◎ ブレークアウトを予測可能
- バンドの上限や下限のラインから価格が乖離するブレークアウトを事前に察知できる可能性があります。
ボリンジャーバンドのデメリット
- ☒設定次第で意味を成さないことがある
- バンド幅や期間などの設定を固定的にしておくと、市場の変化に対応しきれない場合があります。
- 単独では弱点がある
- 他の指標と組み合わせて使うことで、ボリンジャーバンドの予測力はより高まります。
- 過度の設定依存が生じやすい
- 設定の調整に重きを置き過ぎるあまり、本来の相場分析の目的を見失うリスクがあります。
ボリンジャーバンドの活用法
①トレンドの強弱を判断する
ボリンジャーバンドの中央線からの価格の乖離幅を利用して、トレンドの強さを確認します。
- 強いトレンド:価格が中央線から大きく離れると、トレンドが強力であることを示唆します。
- 弱いトレンド:価格が中央線に近づいて動く場合、トレンドが弱い可能性があります。
②サポート/レジスタンスラインとして活用する
ボリンジャーバンドの上限線と下限線は、サポートやレジスタンスとして機能します。
- 上限線:価格が上昇してきた際に、その上昇を止める可能性のある抵抗線となります。
- 下限線:価格が下落してきた際に、その下落を止める可能性のある支持線となります。
③ブレークアウトと反転の兆候を捉える
バンド幅が過剰に広がると、ブレークアウトや反転が予兆されます。
- 価格が上限線や下限線に接近し、バンド幅が広がった場合、その後に反転やブレークアウトが起こる可能性が高まります。
④過剰な乖離を判断材料にエントリー
バンド付近で乖離が大きくなると、反転の好機となることがあります。
価格が上限線や下限線から大きく離れると、その動きが一時的であり、反転する可能性が高くなります。
乖離とは、価格と中央線との差を指します。
ボリンジャーバンドと他のインジケーターの組み合わせ
移動平均線
移動平均線は、特にボリンジャーバンドとの組み合わせがポピュラーです。
移動平均線が「ゴールデンクロス」(短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下へと交差すること)を示すとき、それは売りのサインとされ、逆の「デッドクロス」は買いのサインとされます。

RSI(相対力指数)
RSIは、価格の過去の動きに基づいて、オーバーバイトやオーバーソールドの状態を示す指標です。
RSIとボリンジャーバンドを組み合わせることで、過剰な乖離や市場の過熱状態をより正確に判断することができます。
RSIの値は0~100の範囲をとります。



MACD(移動平均収束拡散)
MACD(移動平均収束拡散)もボリンジャーバンドとの組み合わせでよく使用されます。
MACDは、短期と長期の移動平均の差を示すもので、トレンドの強さや転換点を示唆します。
MACD線が上向きになだらかに上昇し、下からシグナル線を上抜ける形は「ゴールデンクロス」と呼ばれ、この形成時が買いの良い機会とされています。
逆に、MACD線が下向きになだらかに下降し、上からシグナル線を下抜ける「デッドクロス」が形成されると、売りのタイミングと判断されます。

複数の指標を組み合わせて使用することで、市場の動きをより深く理解し、効果的な取引戦略を立てることができます。
まとめ
ボリンジャーバンドは、価格変動の目安となるインジケーターです。トレンド、サポート・レジスタンス、過度の乖離といった状況判断に効果を発揮します。うまく使いこなすには経験が必要不可欠で、他のツールとの併用が成功のカギとなります。ボリンジャーバンドを上手く活用すれば、FXトレードの戦略はより強固なものとなるでしょう。
上下バンドの監視やブレークアウトの兆候をつかむことで、FX初心者も相場の動向を敏感に感じ取ることができ、うまく活用すればリスク管理にも有効ですが、慎重に他の指標と併用することをおすすめします。