市場動向と要因分析
本日の金相場は、2328ドル/オンスを上回る上昇となった。この背景には、米国の雇用統計が市場予想を下回ったことから、FRBが今年度中に利下げに転じるとの期待が高まったことがある。
加えて、パウエルFRB議長の先週の慎重な発言に続き、FRB高官からも年内の利下げ示唆があり、金価格は押し上げられている。執筆時点での金相場は2319ドル/オンスで推移している。
テクニカル分析とサポート
金取引企業のプラットフォームによると、金価格は週間ベースでは0.6%の下落となったが、年初来では13%高となっている。同様に、金に準ずる銀も取引週明けに27ドル/オンスを上回り、前週は1%を超える上昇、年初来では15%高となっている。
現在の市場では、CMEのFedWatchツールで9月の利下げ確率が64%とされている。利下げは、非収益資産の魅力を高める。一方、中東情勢の行方も注目されており、ハマスがガザでの停戦案を受け入れたものの、イスラエルはラファへの空爆を続けており、さらなる交渉を示唆している。
ドル指数(DXY)は月曜日にプラス転化した。前日の105.03から0.03%上昇し105.07となり、年初来では3.7%高となっている。ドル高は一般にドル建て商品の購入コストを高めるため、金相場にとってはマイナスと捉えられる。
米国債市場の動向も金相場に影響を与えており、週明け取引で10年債利回りは4.485%と1.5ベーシスポイント低下、2年債は4.818%と1.2ベーシスポイント上昇、30年債は4.64%と2.1ベーシスポイント低下した。金価格は収益を生まない資産であるため、金利の変動に敏感だ。
トレード戦略
株式取引プラットフォームによれば、米国株価指数は週明けに上昇し、火曜日の米株式先物は安定的だった。ただ、パランティア・テクノロジーズの株価は通期ガイダンスの下方修正を受けて8%超下落。一方、ヒムス・アンド・ハーズ・ヘルスは第2四半期の増収期待から12%高となった。
昨日の東証でダウ平均は4日続伸の0.46%高、S&P500とナスダック総合指数もそれぞれ1.03%高、1.19%高と3日続伸した。S&P500の11業種中10業種が上昇し、テクノロジー、通信、金融がけん引した。この上げ基調は、雇用統計の軟調さとFRBの利下げ期待が支えた。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は利下げ判断は経済指標次第と述べ、リッチモンド連銀のバーキン総裁も2%のインフレ目標への収束を確信した。
まとめ
地政学リスクの高まりと中央銀行による金の買い増しペースが続けば、金相場はさらに2400ドル/オンスの重要な節目に向けて上値を試す可能性がある。一方、日足チャートで2280ドル/オンスを下抜けると、新たな買い場が視野に入ってくるだろう。
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