基礎知識
グリッドとは、一定の価格間隔で複数の買い注文と売り注文を設定し、相場がその範囲内で動くたびに利益を狙うトレード戦略です。相場の上下動に対して柔軟に対応できるこの手法は、特に価格変動が激しい市場や、相場が一方向に大きく動かない時期に効果を発揮します。
- グリッド手法の特徴
- グリッド手法のメリット
- グリッド手法の活用方法
グリッドとは
グリッドトレードとは、価格が一定の範囲(グリッド)の中で動くことを前提に、その範囲内で自動的に売買を行う手法です。
基本的に、グリッドトレードには2つの方法があります。
まず、「価格が上がったら売る、下がったら買う」という方法です。これを「逆張り(ぎゃくばり)」と言います。逆張りでは、価格が一定の幅で動くたびに、その動きに反対する方向に取引をします。たとえば、株価が上がったらその株を売り、下がったらまた買います。こうすることで、価格が上がったり下がったりするたびに利益を狙います。この方法は、価格が最終的に元に戻ることを期待しているので、いわゆるナンピンとも呼ばれます。
もう一つの方法は、「価格が上がったら買う、下がったら売る」というものです。これを「順張り(じゅんばり)」と言います。順張りでは、価格が動くたびにその動きに合わせて取引をします。たとえば、株価が上がっているときにはさらに買い、下がっているときには売ります。この方法は、価格がそのまま同じ方向に動き続けることを期待しています。
それぞれの方法でポジション全体が設定した値に達した時に、利確するという仕組みです。
グリッドのメリット
グリッドでのトレードには主にメリットが3つあります。
解説と合わせてご紹介いたします。
- リスク分散
- 相場の動きに左右されない
リスクの分散
グリッドトレードの最大の魅力は、リスクの分散が可能な点です。
ポジションの分散
複数の価格レベルで同時に取引を行うため、1つの取引が失敗しても他の取引が成功する可能性があります。これにより、投資全体のリスクが広く分散されます。
リスクのコントロール
異なる価格帯に複数のポジションを持つことで、市場の急激な変動に対するリスクを緩和し、1つのポジションが損失を出しても、他のポジションが利益を出すことで全体のリスクを抑える効果があります。
トレードの柔軟性
グリッドトレードは様々な通貨ペアに適応しやすい戦略です。トレーダーは、異なる価格水準や時間枠でポジションを設定できるため、多様な市場環境に対応できます。
リスク分散によって、ポートフォリオの安定性を向上させ、より効果的にリスクを管理できるようになります。
相場の動きに左右されない
一般的なトレード手法は、テクニカル分析に基づいて市場を予測しようとしますが、これは常に成功するわけではありません。特に、過去に経験したことのない相場状況となった市場では、効果を発揮しづらくなることがあります。
一方で、グリッドトレードは過去のデータに依存しないため、相場環境が変化しても通用する可能性が高いと言えます。市場が予測と反対に動いても、一定の価格間隔で取引を続けることで、相場が横ばいのときにも利益を狙うことができます。
このように、相場の動きに左右されない柔軟性が、グリッドトレードの大きな特長です。
グリッドトレードの考慮すべきリスク
逆相場における含み損の増加
グリッドトレードでは、相場が設定したグリッドの範囲内で動くことを前提としていますが、逆相場に遭遇すると含み損が増加するリスクがあります。
急激な価格変動
相場が予測と逆方向に急変すると、設定された複数のポジションが含み損を抱える可能性が高まります。特に、大きな価格変動が起きた場合、これが大きな損失をもたらすことがあります。
ポジションの積み重ね
逆相場では、新しいポジションを次々と取ることになり、その結果、損失が累積してしまうリスクがあります。
対策としては、リスク設定の最適化、トレードプランの策定、部分利益確定、トレードのモニタリングが重要です。これにより、逆相場に対するリスクを最小限に抑えることができます。
スプレッドの影響
グリッドトレードは、多くのポジションを取るため、取引の際に発生するスプレッドが累積しやすいです。これが利益を削る要因となることがあります。
トレードコストの増加
スプレッドの幅が広い通貨ペアで取引を行うと、トレードコストが増加し、利益を上げるのが難しくなります。
価格間隔との調整
グリッドトレードを行う際には、スプレッドの幅を考慮して価格間隔を設定する必要があります。スプレッドよりも価格間隔が狭すぎる場合、利益を確保するのが難しくなります。
グリッドEA解説
ここからは、実際にグリッドEAの運用方法を解説していきます。
EAの選び方
グリッドEAを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。
まずEAの設定で追加ポジション取得の回数やポジションサイズの上限値など、リスク管理に関するパラメーターを確認することが重要です。どのパラメーターが設定できるのかを確認し、選ぶことをおすすめします。
また、月利が高いものを選ぶことも重要です。
大体30%以上があれば1回の強制ロスカットの影響を受けにくくなります。月利の高いEAほど、強制ロスカットにあった際に高い回復力が望めます。
EAの使い方
グリッドは一番シンプルかつ自動化に向いているEAと言われています。
基本的には、開発者の推奨設定のまま運用するのが無難です。
強いて言えば、設定を把握しておくくらいでしょう。
まずは価格が動く範囲を確認しましょう。例えば、ある通貨ペアの価格が1.2000から1.3000の間で動くと予想します。
次にレンジです。価格が1.2000、1.2100、1.2200といったように、設定したレンジ内に買い注文を配置します。逆に、1.3000、1.2900、1.2800といった価格に売り注文を配置します。
注意点
グリッドトレードでは、多くのポジションを同時に持つため、資金管理が欠かせません。過度にリスクを取らず、適切なレバレッジと資金量を設定することで、リスクを最小限に抑えます。余裕を持った資金を確保し、想定外の相場変動にも対応できるようにしておきましょう。
また、市場の変動に対する警戒が必要です。グリッドEAは、自動化されたトレーディングシステムであるため、市場が急激に変動した際に大きな損失を招くリスクがあります。特に、経済指標の発表や重要なニュースがある場合には、市場が予測不可能な動きをすることがあります。こうしたリスクを軽減するためには、定期的な市場の監視と適切なリスク管理が不可欠です。