
ナンピンマーチンとは|ナンピンとマーチンゲール法を組み合わせた手法

ナンピンとは
ナンピン(難平)は、買ったあとに価格が下がったときに買い増して、平均の建値(平均建値)を下げる方法です。図のように100円で1つ買い、90円で同じ量を買い増すと、平均建値は95円になります。95円より上に戻れば、全体が利益になります。売りで入った場合は、上がったときに売り増します。自動売買(EA)では、あらかじめ決めた間隔ごとに、機械的に追加する設定が多く使われています。
マーチンゲール法とは

マーチンゲール法は、負けたあとに賭け金を2倍にして、1回勝てばそれまでの負けを取り戻す方法です。1・2・4と3回負けたあと、次の8で勝てば、賭けた合計は1+2+4=7、戻りは8なので、最初の賭け金と同じ1だけ増えます。ただし、連続して負けるほど賭け金は急に大きくなり、証拠金が足りなくなる危険があります。
ナンピンマーチンの流れ
ナンピンマーチンは、この2つを合わせたものです。最初に1つ持ち、価格が決めた間隔だけ逆行するたびに、前のロット(取引量)の倍率をかけた量を追加します。決済は、平均建値より少し上(買いの場合)に利確の位置を置き、そこに届けば全部を同時に決済します。この記事の測定では、間隔を30pips、倍率を2.0倍、最大ポジション数を7個、利確を平均建値の10pips上にしました。ポジションの数は、追加を含めて持っている位置の数です。

図は、実際のUSD/JPYの買いの1サイクルです。日本時間の2025年5月13日2時35分に最初の1個を持ち、30pipsずつ下がるたびに追加して、4個目まで増えました。ロットは1・2・4・8の合計15で、全部を平均建値の10pips上で決済したときの利益は、最初のロットを1としてロット×pipsで150です。持っていた時間は13.8時間でした。

倍率が2.0倍だと、7個目のロットは64で、7個の合計は最初のロットの127倍です。倍率が1.5倍なら、合計は約32倍です。追加のたびに増えるロットが、ナンピンマーチンの利益と損失の大きさを決めます。
逆マーチンゲール法との違い

逆マーチンゲール法は、マーチンゲール法の反対で、勝ったあとに賭け金を増やし、負けたら元に戻します。図の例では、3回勝って賭け金が1・2・4と増え、累計は+7です。4回目で8を賭けて負けると、累計は−1になり、それまでの利益が消えます。負けたあとに増やすマーチンゲール法と、勝ったあとに増やす逆マーチンゲール法は、増やすタイミングが反対です。ナンピンマーチンは、逆行している最中に増やすので、マーチンゲール法の側です。
アドバイスナンピンマーチンは、下がるたびに量を2倍にして追加する手法だよ。7個目まで追加すると、ロットの合計は最初の127倍になるよ。
ナンピンマーチンを5通貨10年で測った結果|サイクルの終わり方

測った条件
通貨は、USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの5つで、Dukascopy のティックから作った5分足(bid)を、2016年1月から2026年10月27日(世界標準時)まで使いました。買いと売りは別々に数えています。売りは、価格の上下を逆にして同じ規則で数えました。最初の位置を持ってから全部を決済するまでを1サイクルとし、決済した次の足の始値から、次のサイクルを始めます。
規則は、間隔30pips・倍率2.0倍・最大ポジション数7個・利確は平均建値の10pips上です。最大の7個になったあと、さらに30pips、つまり最初の位置から210pips逆行したら、全部を決済します。これを「打ち切り」と呼びます。5分足の中で、追加と利確のどちらが先に起きたかは足からは分かりません。買いの場合に、足の中で安値を先に付けたとする順序を「追加が先」、高値を先に付けたとする順序を「利確が先」と呼び、2つの順序で数えて、結果を範囲で書きます。足の始値より先に価格が飛んで追加の位置を越えたときは、始値で追加したとしました。追加が先では、追加82,902回のうち894回(1.08%)が始値で約定し、始値が追加の位置を越えた幅は平均20.7pipsでした。スプレッドとスワップは入れていません。
追加の段ごとの終わり方

サイクルは、追加が先で189,006件、利確が先で175,782件でした。追加が先では、1個のまま利確になったのが139,866件(74.00%)、2個で31,022件(16.41%)、3個で9,891件(5.23%)、4個で4,116件(2.18%)、5個で1,964件(1.04%)、6個で988件(0.52%)、7個で522件(0.28%)、打ち切りが637件(0.34%)です。合計は100.00%になります。追加が先で、ポジションが2個以上に増えたサイクルは26.0%、7個になったサイクルは0.6%でした。利確が先でも、打ち切りは820件(0.47%)で、1個で終わる割合は74.43%です。
通貨ごとの打ち切りは、追加が先で、USD/JPYが41,267件のうち150件、EUR/USDが22,711件のうち67件、GBP/USDが43,072件のうち129件、EUR/JPYが48,606件のうち171件、AUD/JPYが33,350件のうち120件で、合計は637件です。
利確と打ち切りの大きさは、追加が先で、利確1回の平均利益が29.75、打ち切り1回の平均損失が−7,350.9でした(どちらもロット×pips、最初のロットを1とした値)。損失は利益の247倍で、利確の件数は打ち切りの296倍です。利確が先では、利益が33.06、損失が−7,365.6で、損失は利益の223倍、利確は打ち切りの213倍でした。利確の合計と打ち切りの合計の大きさは、追加が先では利確側が約1.2倍、利確が先では打ち切り側が約1.05倍で、どちらが大きいかは順序の仮定で変わります。スプレッドとスワップを入れていないので、この記事では損益の合計は出していません。
サイクルが続いた時間

追加が先で、サイクルが続いた時間の中央値は40分で、1時間未満が106,792件(56.5%)を占めます。上位10%の境目は9.5時間、最も長いサイクルは12.9日でした。打ち切りになった637件の中央値は25.1時間です。続いた時間の区分ごとの打ち切りの割合は、1時間未満が30件(0.03%)、1〜6時間が57件(0.11%)、6〜24時間が217件(0.90%)、1〜3日が270件(6.0%)、3日以上が63件(13.9%)でした。打ち切りには7回の追加が必要で、時間がかかるので、続いた時間が長い区分ほど打ち切りの割合が大きくなっています。
打ち切りになった実例

図は、USD/JPYの買いで打ち切りになった実例です。日本時間の2023年2月7日1時5分に最初の1個を持ち、7個目まで追加して、25.8時間後に最初の位置から210pips下で全部を決済しました。ロットの合計は127で、損失は最初のロットを1としてロット×pipsで−7,410です。追加が先でも利確が先でも、この1サイクルは同じ結果でした。
年ごとの打ち切りの割合

年は、最初の位置を持った日(世界標準時)の年で分けました。追加が先では、打ち切りの割合は0.26〜0.41%、利確が先では0.34〜0.61%で、どちらも最も高いのは2016年です。2016年は追加が先で24,841件のうち101件、2026年(10月27日まで)は12,139件のうち31件でした。打ち切りの割合は、年によって約1.6倍(追加が先)から約1.8倍(利確が先)の幅があります。
アドバイス10年間で、打ち切りは0.34〜0.47%だったよ。でも、1回の打ち切りの損失は、利確1回の利益の223〜247倍だったよ。
ナンピンマーチンの設定を変えると|倍率・間隔・最大ポジション数

ロットの倍率
間隔30pips・最大7個・利確10pipsのままで、倍率だけを変えました。範囲は、追加が先と利確が先で数えた値の、小さいほうから大きいほうです。打ち切りの割合は、倍率1.0倍で1.54〜1.80%、1.5倍で0.71〜0.89%、2.0倍で0.34〜0.47%と、倍率が大きいほど小さくなりました。一方、打ち切り1回の平均損失が利確1回の平均利益の何倍かは、1.0倍で57〜58倍、1.5倍で118〜123倍、2.0倍で223〜247倍です。倍率が大きいと、利確は早くなって打ち切りは減りますが、打ち切ったときの損失は大きくなります。
間隔と最大ポジション数

倍率2.0倍・利確10pipsのままで、間隔と最大ポジション数を変えました。打ち切りの位置は、最初の位置から間隔×最大ポジション数だけ下です。間隔20pipsで最大5個なら100pips下、30pipsで最大7個なら210pips下、50pipsで最大10個なら500pips下になります。打ち切りの割合は、最大5個で間隔20pipsが2.04〜2.72%、50pipsが0.54〜0.68%、最大10個で間隔20pipsが0.13〜0.22%、50pipsが0.02〜0.03%でした。間隔が広いほど、最大ポジション数が多いほど、打ち切りの位置が遠くなり、割合は小さくなります。
足を並べ替えた場合との比較

この割合が、足の並び方によるものか、足の大きさの分布だけで決まるのかを調べました。5分足を、始値からの動きと高値・安値のまとまりごと並べ替えて、価格をつなぎ直し、通貨ごとに20回数えました。並べ替えると、連続した値動き・時間帯・曜日の並びは消え、足1本ずつの大きさの分布だけが残ります。並べ替えた足のサイクル数は平均で約20万3,700件と、実際の189,006件と違うので、割合で比べました。
打ち切りの割合は、実際が0.34%で、並べ替えた20回は0.32〜0.37%の範囲で、範囲に入りました。ポジションが3〜7個になった割合も、実際が範囲の中でした。2個になった割合だけは、実際が26.00%で、並べ替えた20回の25.29〜25.58%よりわずかに大きくなりました。打ち切りの割合は、足の大きさの分布だけでほぼ説明できる範囲にあり、足の並びは、この測定では打ち切りの割合を変えませんでした。
アドバイス倍率を上げると打ち切りは減るけれど、1回の損失は大きくなるよ。間隔を広げると、打ち切りの割合は小さくなるよ。
ナンピンマーチンが破綻する理由|必要な資金と打ち切りの大きさ

必要な資金が増える仕組み
ナンピンマーチンが破綻するのは、相場が戻らないまま追加を続けるあいだに、持っているロットが急に増えるためです。倍率2.0倍・最大7個では、7個目のロットは最初の64倍、合計は127倍です。価格が戻れば、全部が平均建値の10pips上で終わります。戻らなければ、127倍のロットを持ったまま、最初の位置から210pips下に進みます。上の表のとおり、最初のロットを1とすると、その損失は倍率2.0倍で7,410、1.0倍で840です。この測定には、証拠金とロスカットは入れていないので、口座ごとの強制決済の位置は、別に確かめる必要があります。
打ち切りの損失の大きさ
倍率2.0倍・最大7個で打ち切りになると、損失は最初のロットを1として、理論上ロット×pipsで−7,410です。測定では平均−7,350.9〜−7,365.6でした。利確になったサイクルの平均利益29.75〜33.06に対して、223〜247倍の大きさです。打ち切りは、サイクル全体の0.34〜0.47%ですが、1回の損失が大きいので、少ない回数でも、積み上げた利益の大きな部分が動きます。
資金管理で先に決めること
この測定から言えるのは、打ち切りの位置(間隔×最大ポジション数)と、倍率と、最初のロットの3つが、1回の最大の損失を決めることです。最初のロットが同じでも、倍率2.0倍・最大7個の打ち切りの損失は、倍率1.0倍・最大7個の約8.8倍(−7,410と−840)になります。資金管理では、打ち切りの損失が口座の何%になるかを、運用を始める前に決めておく必要があります。損失が一定を超えたら止める損切りの考え方は、別の記事にまとめています。破綻の事例はリスク管理の記事、建玉の数え方は建玉管理の基礎、専業トレーダーの考え方はリスク管理術が参考になります。
アドバイス打ち切りは少ないけれど、1回の損失が大きいよ。始める前に、打ち切りの損失が口座の何%になるかを決めてね。
ナンピンマーチンEAの設定項目と選び方

設定項目の見方
ナンピンマーチン型のEAには、ロットの倍率・間隔・最大ポジション数・利確の幅・打ち切りに当たる設定があります。名前はEAによって違うので、説明書やパラメーターの表で、上の図のどれに当たるかを確かめてください。打ち切りに当たる設定が見つからないEAや、最大ポジション数に上限がないEAは、この記事の測定とは前提が違います。ここでの打ち切りは、損切りの幅(最初の位置から間隔×最大ポジション数)と同じ意味です。
EAを選ぶ前に確かめること
確かめることは3つです。1つ目は、最大ポジション数と倍率から、ロットの合計と打ち切りの損失を自分で計算できること。2つ目は、推奨の資金が、その打ち切りの損失より大きいこと。3つ目は、ロスカットの水準と、スプレッドやスワップを入れた成績が、公開されていることです。自動売買の始め方はEAの始め方にまとめています。同じレンジ前提でも、値幅と本数をあらかじめ決めて注文を並べるトラリピ手法は、ロットを増やさない点が異なります。
ナンピンマーチン型のEAを探すときは、マーチンEAランキングと、シストレ.COMのマーチンのカテゴリーが参考になります。
アドバイスEAを選ぶときは、倍率と最大ポジション数から、打ち切りの損失を計算してみてね。推奨資金より大きくなる設定は、避けようね。
要点
・ナンピンマーチンは、逆行するたびにポジションを追加し、ロットを倍率ずつ増やして、平均建値の少し上で全部を決済する手法
・5通貨の5分足(2016年1月〜2026年10月27日)、間隔30pips・倍率2.0倍・最大7個・利確10pipsで、サイクルは追加が先で189,006件。74.00%は1個のまま利確
・打ち切りは、追加が先で637件(0.34%)、利確が先で820件(0.47%)。続いた時間の中央値は40分、最長は12.9日
・打ち切り1回の平均損失は、利確1回の平均利益の223〜247倍。利確の合計と打ち切りの合計は、順序の仮定で大小が変わる
・倍率1.0倍は打ち切り1.54〜1.80%で損失は57〜58倍、2.0倍は0.34〜0.47%で223〜247倍。間隔が広く最大ポジション数が多いほど、打ち切りの割合は小さい
・足を並べ替えても、打ち切りの割合(0.32〜0.37%)に実際(0.34%)が入った
・測っていないのは、証拠金・ロスカット・スプレッド・スワップを入れた損益
ナンピンマーチンのよくある質問
ナンピンマーチンとは何ですか?
ナンピンとマーチンゲール法を合わせた手法です。逆行するたびに、ロットを倍にして追加します。
ナンピンとマーチンゲール法は何が違いますか?
決めるものが違います。ナンピンは追加する位置(平均建値を下げること)、マーチンゲール法は追加する量(負けたあとに倍にすること)です。
逆マーチンゲール法とは何ですか?
勝ったあとに賭け金を増やし、負けたら元に戻す方法です。負けたあとに増やすマーチンゲール法とは、増やすタイミングが反対です。
打ち切りの割合を小さくする設定はありますか?
倍率を上げる、間隔を広げる、最大ポジション数を増やすと、割合は小さくなりました。ただし、打ち切りの位置が遠くなるか、ロットが増えるので、1回の損失は大きくなります。
この測定の結果は、実際の運用の成績になりますか?
なりません。スプレッド・スワップ・証拠金・ロスカットを入れていない、サイクルの終わり方の数え方です。損益の合計は出していません。
ナンピンマーチンのまとめ
ナンピンマーチンは、逆行するたびにロットを倍にして追加し、平均建値の少し上で全部を決済する手法です。Dukascopy のティックから作った5通貨の5分足(2016年1月〜2026年10月27日)では、サイクルの74.00%が1個のまま利確になり、打ち切りは0.34〜0.47%でした。打ち切り1回の平均損失は、利確1回の平均利益の223〜247倍で、利確の合計と打ち切りの合計の大きさは、足の中の順序の仮定で入れ替わります。
倍率を上げると打ち切りの割合は小さくなり、損失は大きくなります。間隔を広げて最大ポジション数を増やすと、打ち切りの割合は小さくなります。始める前に、打ち切りの損失が口座の何%になるかを、自分で計算してから使ってください。証拠金・ロスカット・スプレッド・スワップを入れた損益は、測っていません。
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