EA資金管理の基本と戦略|ロット管理・ドローダウン対策・ポートフォリオ運用

資金管理方法 アイキャッチ

EAの資金管理とは、1回の取引で失ってよい額を決め、そこからロットを式で出し、同時に持つ本数と口座の資金が耐えられるかを確かめることです。手順は、損失の上限、ロット、証拠金維持率、必要資金、止める基準の順に決めます。この記事では、式を数字で確かめたうえで、シストレ.COMが5通貨ペア・10年分のティックから作った4時間足で、ロットの決め方だけを変えて比べた結果を載せます。

先に結論を書くと、同じ取引でも、1回の損失を残高の1%にするか2%にするかで、最大ドローダウン(資金が最高値から減った割合)は61.0%から90.5%に変わりました。資金管理は取引の期待値を変えず、損失の大きさと回復の遅さを決める仕組みです。

目次

EAの資金管理とは|決める5つのことと順番

EAの資金管理で決める5つのことを順に並べた図。1回の損失の上限、ロット、証拠金維持率、必要資金、止める基準の順で、それぞれの式や目安を添えている
資金管理で決める5つのこと。上から順に決めると、後ろの数字が決まります

EAは損失の大きさを自分で決めない

EAは、売買のルールどおりに注文を出します。ロットを固定にしている場合、口座が減っても、1回の取引で動く金額は変わりません。残高に対して大きすぎるロットで始めると、数回の連敗で口座が大きく減ります。ロットはEAの設定値であり、運用する人が決める部分です。

資金管理が決める5つのこと

まず「1回の損失の上限」を残高の割合で決めます(例: 1〜2%)。次に、損切り幅と上限額からロットを式で出します。そのロットで、同時に持つ全ポジションの必要証拠金を足しても維持率が足りるかを確かめます。さらに、過去の最大ドローダウンから、必要な資金を逆算します。最後に、どこまで下がったら止めるかを、運用を始める前に決めます。

ロット計算の詳しい式はEAのロット計算の解説、ドローダウンの意味はドローダウンの解説にあります。

アドバイス

資金管理は、勝ち方ではなく「負けたときにどこまで耐えられるか」を決める作業だよ。

EAの資金管理のロット計算|損失の上限と損切り幅から出す

口座100万円・リスク2%・ドル円の損切り幅30pipsでロットを出す5つの手順。20,000円を30,000円で割って0.666ロット、切り捨てて0.66ロット、検算は19,800円
口座100万円・ドル円・損切り幅30pipsの例。ドル円の1ロット(10万通貨)は、1pip動くと1,000円動きます

ロットの式と、数字で確かめた例

ロットは、次の式で出します。

ロット = 残高 × リスク% ÷ (損切り幅pips × 1ロットあたり1pipの金額)

口座が100万円、リスクが2%なら、1回で失ってよい額は20,000円です。ドル円で損切り幅が30pipsなら、1ロット(10万通貨)で負けたときの額は30 × 1,000円 = 30,000円です。20,000 ÷ 30,000 = 0.666…なので、0.01刻みで切り捨てて0.66ロットになります。検算すると、0.66 × 30,000 = 19,800円で、上限の20,000円以内に収まります。四捨五入ではなく切り捨てにするのは、上限を超えないためです。

ドル円以外の通貨ペアは、1pipの金額が変わります。たとえば、ユーロドルは1pipがドル建てで、円に直すにはドル円のレートを掛けます。EAの設定画面にロットを入れる前に、使う通貨ペアの1pipの金額を、業者が公開している計算ツールや資料で確かめてください。

固定ロットと残高比例は、連敗中の減り方が違う

100万円から毎回2%の損失で20連敗したときの残高。金額固定は毎回2万円ずつ減って60.0万円、残高比例は毎回2%ずつ減って66.8万円になる折れ線グラフ
100万円から毎回2%の損失で負け続けた場合を、式のとおりに計算した例(実際の取引ではありません)

金額を固定する方式は、毎回同じ額(この例では2万円)を失います。残高比例の方式は、残高が減るとロットも小さくなるので、1回の損失額も小さくなります。20連敗すると、金額固定は60.0万円、残高比例は66.8万円です。元の100万円に戻すために必要な上昇率は、金額固定が66.7%、残高比例が49.8%です。

残高比例は、減りにくい反面、ロットが小さくなるので、取り戻す速さも落ちます。どちらを選ぶかは、損失の上限を金額で守りたいか、割合で守りたいかで決めます。

損切り幅はATRで決めると、ロットも相場に合う

MT4のドル円1時間足チャートと、下段のATR(14)インジケーター。ATR(14)の値は0.3798円と表示されている
MT4のドル円1時間足とATR(14)。下段の数字は0.3798(円)で、約38pipsです

ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)は、直近の値動きの幅の平均です。上の画面ではATR(14)が0.3798円、つまり約38pipsです。損切り幅をATRの2倍にすると、約76pipsです。2%のリスクでロットを出すと、20,000 ÷ (76 × 1,000)= 0.263…で、0.26ロットです。検算は0.26 × 76 × 1,000 = 19,760円で、上限以内です。値動きが大きい時期はATRが大きくなり、同じ2%でもロットは小さくなります。ATRの見方はATRを使った手法の解説にまとめています。

アドバイス

損切り幅が広いほどロットは小さくなるよ。ロットを先に決めるのではなく、損切り幅と上限から逆算しよう。

EAの資金管理と証拠金維持率|必要証拠金とロスカットの確認

レバレッジ25倍で0.1ロットを持つときの必要証拠金を通貨ペア別に並べた横棒グラフ。ポンドドル76,800円、ユーロドル64,800円、ドルスイスとドル円が60,000円、豪ドル円39,200円
仮の相場で計算した例。実際の必要証拠金は、そのときのレートで変わります

必要証拠金の式と、個人のレバレッジ25倍

金融庁のページには、「個人が店頭FX取引を行う際は、通貨ペアの種類を問わず、取引金額に対して4%以上の証拠金を差し入れ、維持する必要があります(レバレッジに換算すると25倍以下となります。)」と書かれています(金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」)。お使いの業者のレバレッジの上限は、口座の種類ごとに確かめてください。

必要証拠金 = 取引数量 × レート(円換算)÷ レバレッジ

ドル円が150円なら、0.1ロット(1万通貨)は1万 × 150 ÷ 25 = 60,000円です。ユーロドルが1.08ドルなら、1万 × 1.08 × 150(ドル円)÷ 25 = 64,800円、ポンドドルが1.28ドルなら76,800円、豪ドル円が98円なら39,200円です。さきほどの0.66ロット(6.6万通貨)をドル円150円で持つと、6.6万 × 150 ÷ 25 = 396,000円で、残高100万円に対して維持率は約253%です。

維持率は、含み損が増えると下がる

残高100万円・必要証拠金30万円のとき、含み損が増えると証拠金維持率が333%から下がり、含み損70万円で100%、100万円で0%になる右下がりの直線グラフ
残高100万円・必要証拠金30万円の例を、式のとおりに計算したもの

証拠金維持率は、(残高 + 含み損益)÷ 必要証拠金 × 100で出します。必要証拠金が30万円なら、含み損がないときは333%です。含み損が70万円になると、(100 − 70)÷ 30 = 100%まで下がります。EAが複数のポジションを同時に持つと、必要証拠金が増えて、含み損も重なります。ロスカットが起きる維持率は業者ごとに決まっているので、口座を開いた業者の規約で確かめてください。

アドバイス

ロットは1本ずつ決めても、同時に持つ本数を足して維持率を確かめないと、安心できないよ。

EAの資金管理を実測|同じ取引でロットの決め方だけを変えた10年分

2016年から2025年の同じ1,293回の取引で、固定0.1ロットと残高の1%・2%・5%でロットを決めたときの資金曲線。固定は44.9万円、1%は41.2万円、2%は10.4万円、5%はほぼ0円で終わる
5通貨ペア・2016〜2025年・100万円スタート。損切り幅はATR(14)の2倍。Dukascopyのティックからシストレ.COMが作成

計測の条件

ロットの決め方だけを比べるため、売買の型は一般的な順張りに決めて、あとから調整していません。4時間足で、終値が直前55本の高値(安値)を超えた次の足の始値で入ります。損切りは、入る直前のATR(14)の2倍です。終値が直前20本の逆側の安値(高値)を割った次の足の始値か、損切りに届いた時点で手仕舞います。対象はドル円・ユーロドル・ポンドドル・豪ドル円・ドルスイスの5通貨ペアで、期間は2016年2月から2025年12月、取引は1,293回でした。

スプレッドは、入りと出の平均を引いています。スワップとスリッページは含めていません。口座は円建て100万円、レバレッジは25倍、1ロットは10万通貨とし、ロットは0.01刻みで切り捨てました。含み損益は4時間足の終値で評価し、同時に持つのは通貨ペアごとに1本(最大5本)です。この手法の成績は、勝率29.3%、平均の損益は損切り幅の−0.05倍、プロフィットファクター(総利益÷総損失)は0.93で、ほぼ損益なしの水準です。資金管理がどの手法にも通じる性質を見るための題材なので、手法そのものをすすめるものではありません。

ロットの決め方で、最大DDと維持率が変わった

ロット方式ごとの最大ドローダウンと最低維持率の棒グラフ。最大DDは固定64.1%、1%が61.0%、2%が90.5%、5%が100.0%。最低維持率は固定163%、1%が169%、2%が90%、5%がマイナス431%
同じ1,293回の取引で、ロットの決め方だけを変えて比べた結果。維持率はレバレッジ25倍で計算
ロットの決め方最終資金最大DD最低維持率維持率が100%を下回った最初の日
固定0.1ロット44.9万円64.1%(80.0万円)163%なし
残高の1%41.2万円61.0%169%なし
残高の2%10.4万円90.5%90%2019年4月24日
残高の5%−2.3万円100.0%−431%2016年3月2日

固定0.1ロットは、最大DDが64.1%(80.0万円)で、期間の終わりまで資金が最高値に戻らず、最高値から下回ったままの期間が約6.3年続きました。1%は61.0%、2%は90.5%です。5%は、維持率が100%を下回った時点が2016年3月と早く、期間の28.8%で100%を割っていました。この計算では、維持率が割れても強制ロスカットは起こさず、資金が足りるものとして続けています。実際の口座では、もっと早い時点でポジションが決済されます。

5%の方式では、最大DDが100%に達しました。これは、損失が大きいためだけでなく、損切り幅が狭いと式で出るロットが大きくなり、必要証拠金が残高を超えるためです。ロットを式で出したあとに、必要証拠金も計算する理由がここにあります。

取引の順番を入れ替えても、最大DDはほぼ同じ高さに出る

実際の1,293回の損益を10,000回並べ替えたときの最大ドローダウンの分布。残高の1%は59.1〜78.0%に広がり、2%は87.9〜96.2%に集まる二つの山のヒストグラム
1,293回の損益(損切り幅を1とした倍率)を10,000回入れ替え、毎回、残高の1%または2%を賭けた場合。同時保有は考えず、取引を1本ずつ順に並べた近似

同じ損益でも、並び順が違えば、最大DDは変わります。1,293回の損益を10,000回入れ替えると、残高の1%の最大DDは、中央が68.2%、5〜95%の範囲が59.1〜78.0%でした。元の順番は57.8%で、入れ替えた10,000回の下位5%(59.1%)より小さい値でした。2%は、中央が92.4%、範囲が87.9〜96.2%で、元の順番は87.1%です。5%は、10,000回すべてでほぼ全損でした。表の数字(61.0%など)と少し違うのは、ここでは同時保有を考えない近似にしているためです。

期待値を足しても、5%は大きく下がる

1回あたり平均+0.2Rに底上げして並べ替えた最大ドローダウンの範囲。残高の1%は中央21.6%、2%は中央39.4%、5%は中央74.4%で、割合が大きいほど深くなる
合成データ。実測の損益に0.25(損切り幅の0.25倍)を足して平均を+0.2に底上げした試算で、割合による違いを見るためのものです

実測の手法は期待値がほぼゼロなので、割合を上げるほど減ります。そこで、各取引の損益に損切り幅の0.25倍を足して、1回あたりの平均を損切り幅の+0.2倍にした合成の試算でも、同じ入れ替えを10,000回行いました。最大DDの中央は、1%が21.6%(範囲15.9〜31.3%)、2%が39.4%(範囲30.0〜53.7%)、5%が74.4%(範囲61.7〜88.4%)です。期待値がプラスでも、1回に賭ける割合を上げると、最大DDは深くなります。なお、並べ替えても最終的な資金は変わらず、違いが出るのは途中の落ち込みだけです。

本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的とするものではありません。FX取引は元本を失うリスクがあります。投資は自己責任で、余剰資金の範囲で慎重に判断してください。過去の計測結果は将来の成績を保証しません。

アドバイス

同じ取引でも、割合を上げるだけで最大DDが61%から90%になったね。上げる前に、下がったときの数字を見よう。

EAの必要資金は最大ドローダウンから逆算する

最大DD額80.0万円のとき、許容するDD率ごとの必要資金。10%なら800.3万円、20%なら400.1万円、30%なら266.8万円、50%なら160.1万円の棒グラフ
0.1ロット×5通貨ペアの固定ロットで、2016〜2025年に出た最大DD額(80.0万円)から計算

必要資金の式

必要資金 = 最大ドローダウン額 ÷ 許容するドローダウン率

先ほどの固定0.1ロットで、最大ドローダウン額は800,281円でした。許容するDDを30%にするなら、800,281 ÷ 0.3 = 約266.8万円が必要です。10%に抑えたいなら800.3万円、50%まで許すなら160.1万円です。許容するDDを小さくするほど、同じロットに必要な資金は大きくなります。

この計算に使うのは、過去に出た最大DDです。将来はそれより深くなることがあるので、上の式で出した額に余裕を持たせます。余裕の目安は、止める基準の節で並べ替えの結果から示します。必要資金の考え方はEA運用に必要な資金の解説も参考にしてください。

資金が足りないときは、ロットを下げる

手元の資金が少ない場合は、ロットを小さくします。最大DD額はロットにほぼ比例するので、0.1ロットの代わりに0.01ロットにすると、最大DD額は約10分の1の8万円前後になります。同じ30%を許すなら、必要資金も約26.7万円で済みます。ただし、この比例は、ロットの刻みが十分に細かいときの近似です。

アドバイス

資金に合わせてロットを決めるのが先。ロットに合わせて資金を集めるのは、順番が逆だよ。

EAの連敗への備え|どれくらい続くかを数える

勝率29.3%の1,293回の取引で実際に起きた連敗の長さの分布。1連敗が68回、2連敗が38回で、10連敗以上が14回、最長は20連敗の棒グラフ
計測した1,293回の取引で、連敗は243回起きた。赤は10連敗以上(14回)

実測では、10連敗が10年に14回

勝率が29.3%の手法では、連敗は珍しくありません。連敗は243回起き、1回で終わったものが68回、10連敗以上が14回、最長は20連敗でした。1回の損失が残高の2%なら、10連敗で約18.3%(1 − 0.98の10乗)、20連敗で約33.2%減ります。5%なら、10連敗で約40.1%、20連敗で約64.2%です。1%なら、10連敗で約9.6%、20連敗で約18.2%です。

勝率から、連敗が起きる確率を計算する

100回の取引で、k連敗以上が一度でも起きる確率。勝率30%は10連敗以上が58.0%、勝率50%は4.4%、勝率60%は0.6%で、勝率が低いほど長い連敗が起きやすい折れ線グラフ
各取引が独立で、勝率が一定という仮定で計算した値(実測ではありません)

各取引が独立で、勝率が一定と仮定すると、100回の取引で5連敗以上が一度でも起きる確率は、勝率30%で99.9%、50%で81.0%、60%で45.9%です。10連敗以上は、勝率30%で58.0%、50%で4.4%、60%で0.6%です。勝ちの額が大きい手法ほど勝率が低くなりやすく、連敗は長くなります。EAの紹介ページに勝率が載っているときは、その勝率で連敗がどれくらい続きうるかを、この計算で確かめられます。

連敗への備えは、想定する連敗数を決めて、その回数だけ負けても許容できるDDに収まるロットにすることです。検証で最長だった連敗数よりも長く続く場合に備えて、想定は検証値より少し長めに置きます。

アドバイス

勝率が低いEAほど、連敗が長いのは普通のことだよ。長さを数えて、先に覚悟しておこう。

EAの資金管理で分散する|通貨ペアや複数EAを足したとき

通貨ペア別の最大DD額と合算の比較。ドル円18.8万円、ユーロドル34.8万円、ポンドドル28.5万円、豪ドル円24.7万円、ドルスイス15.4万円で単純合計は122.2万円、同時運用は80.0万円の棒グラフ
固定0.1ロットで同じ期間を運用した場合の最大DD額。同時運用は5ペアの損益を合算した値

5ペアを同時に動かすと、最大DDは単純合計より小さくなった

通貨ペアごとの最大DD額は、ドル円が18.8万円、ユーロドルが34.8万円、ポンドドルが28.5万円、豪ドル円が24.7万円、ドルスイスが15.4万円でした。単純に足すと122.2万円ですが、5ペアを同時に動かした最大DD額は80.0万円で、合計の65.5%です。各ペアの落ち込みが同じ時期に重ならなかったため、合算すると小さくなりました。

ただし、これは過去10年の結果で、将来も重ならない保証はありません。通貨ペアが違っても、ドルが一方的に動く相場では、複数のペアが同じ向きに負けることがあります。EAを複数動かす場合も、売買のルールが似ていれば、損益は似た動きになります。EAの数を増やす前に、運用成績の動き方が似ていないかを確かめてください。分散の考え方はEAのポートフォリオ運用の解説にもあります。

本数が増えると、1回の損失の上限も増える

1本ごとのリスクを残高の1%にしても、5本が同時に損切りになれば、損失は最大で約5%です。同時に持つ本数の最大も数えて、本数 × リスク%が許容できる範囲かを確かめます。足りないときは、1本あたりのリスクを下げます。

アドバイス

EAを増やすと、同時に負ける可能性も増えるよ。本数を足したら、合計の上限も計算し直そう。

EAの停止基準|止める線を運用の前に決める

残高の1%方式で取引の順番を並べ替えた最大DDを、元の最大DD57.8%に対する倍率で示した棒グラフ。5%点1.02倍、中央値1.18倍、95%点1.35倍、99%点1.41倍
元の最大DD(57.8%)を1.00倍としたときの、並べ替え10,000回の最大DDの倍率

検証の最大DDのぴったりに置かない

検証で出た最大DDを、そのまま停止の線にすると、順番が違っただけで届いてしまいます。この計測では、並べ替えた最大DDは、元の順番の1.18倍が中央で、95%点が1.35倍、99%点が1.41倍でした。元の順番の最大DDは、入れ替えた10,000回の下位5%より小さい値でした。止める線は、検証値の1.5倍あたりに置くと、順番の違いによる幅を含められます。たとえば、検証の最大DDが20%なら、30%を止める線にします。

DD・連敗・期間の3つで決める

止める線は、DDだけでなく、連敗の数と、資金が最高値に戻らない期間でも決めます。この計測では、最長の連敗が20回、最高値に戻らなかった期間が約6.3年でした。実運用で、検証の最長を超えた場合は、稼働を止めて原因を点検します。点検するのは、相場の環境が変わったか、約定やスプレッドが検証と違うか、設定が変わっていないか、の3つです。止めたあとに再開する条件も、先に書いておきます。

ここで示した倍率は、1つの手法の計測から出た値で、別のEAに当てはまるとは限りません。自分のEAの検証結果を入れ替えて、同じ幅を確かめられます。入れ替えの考え方はモンテカルロ法の解説で説明しています。

アドバイス

止める線は、損をしてから決めると動けなくなるよ。運用を始める前に、紙に書いておこう。

要点
・資金管理は、損失の上限、ロット、証拠金維持率、必要資金、止める基準の順に決めます。
・ロットは「残高 × リスク% ÷(損切り幅pips × 1pipの金額)」で出し、0.01刻みで切り捨てます(例: 100万円・2%・30pipsで0.66ロット)。
・自社計測(5通貨ペア・2016〜2025年・1,293回)では、同じ取引で、1回の損失を残高の1%にすると最大DDが61.0%、2%にすると90.5%でした。5%は維持率が早い時期に100%を割りました。
・必要資金は「最大DD額 ÷ 許容DD率」で出します(最大DD額80.0万円・許容30%なら約266.8万円)。
・止める線は、検証の最大DDの1.5倍あたりに置きます(この計測では並べ替えの95%点が1.35倍)。

EAの資金管理のよくある質問(FAQ)

EAの資金管理で、最初に決めることは何ですか?

1回の取引で失ってよい額を、残高の割合で決めることです。その額と損切り幅から、ロットを式で出します。たとえば、100万円・リスク2%・損切り幅30pipsのドル円なら、0.66ロットです。

1回のリスクは何%にすればよいですか?

決まった正解はなく、許容できる最大DDから逆算します。自社計測では、期待値がほぼゼロの手法で、1%の最大DDが61.0%、2%が90.5%でした。期待値をプラスにした合成の試算でも、1%の中央は21.6%、5%は74.4%です。迷うときは、小さい割合から始めて、実際のDDを見ながら調整します。

固定ロットと残高比例のロットは、どちらがよいですか?

損失の上限を何で守りたいかで選びます。固定ロットは、損失額が毎回同じで、連敗中の減りが一定です。残高比例は、残高が減るとロットも小さくなるので、連敗中の減りが緩やかになる反面、取り戻す速さも落ちます。20連敗の例では、金額固定が60.0万円、残高比例が66.8万円でした。

EAの運用に必要な資金はいくらですか?

「最大ドローダウン額 ÷ 許容するドローダウン率」で出します。最大DD額が80.0万円で、許容を30%にするなら約266.8万円です。ロットを10分の1にすれば、最大DD額も約10分の1になり、必要資金も約26.7万円になります。

ドローダウンが検証の最大を超えたら、どうしますか?

稼働を止めて、相場・約定・設定の3つを点検します。自社計測では、並べ替えた最大DDの95%点が元の1.35倍だったので、検証値の1.5倍あたりを止める線の目安にしました。線は運用の前に決めておき、再開の条件も書いておきます。

証拠金維持率は、何%以上に保てばよいですか?

決まった数字はないので、業者のロスカット水準と、同時に持つ最大本数で確かめます。維持率は(残高 + 含み損益)÷ 必要証拠金で出します。自社計測の固定0.1ロットでは、最低が163%でした。5%方式は、早い時期に100%を割りました。

EAの資金管理のまとめ

EAの資金管理は、1回の損失の上限を決め、ロットを式で出し、同時に持つ本数で維持率を確かめ、最大DDから必要資金を逆算し、止める線を先に決める作業です。自社計測(5通貨ペア・2016〜2025年・1,293回)では、同じ取引でも、ロットを残高の1%にすると最大DDが61.0%、2%にすると90.5%でした。割合を上げる前に、下がったときの数字を確かめてください。

⚠ リスクに関する注意事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。

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この記事を書いた人

シストレ.COM編集部は、FX自動売買(EA)とテクニカル分析を専門とするインターネットメディア「シストレ.COM」の編集チームです。200本以上のEAのフォワードテスト結果を公開し、実際の運用データに基づいた客観的な情報を発信しています。記事の執筆・監修はMetaTrader(MT4/MT5)での実運用経験を持つスタッフが担当。

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