
FX自動売買とは|EAが注文を自動で出す仕組み

EAとは|ルールに従って売買するプログラム
FX自動売買は、売買のルールをプログラムにして、注文を自動で出す取引です。このプログラムをEA(エキスパートアドバイザー)と呼びます。MetaQuotes のヘルプは、EAを「分析及び取引活動の完全な自動化を可能にする機械的な取引システム」と説明しています。EAは、MT4またはMT5の端末に付けて使います。端末が価格を受け取り、EAが決めた条件を確認し、条件を満たしたら注文を出し、決済の条件を満たしたら決済する、という動作をくり返します。
内部の処理をもう少し細かく知りたい場合は、FX自動売買(EA)の仕組みにまとめています。売買の合図だけを受け取って発注は自分で行う方式との違いは、FXシグナル配信とEAの違いで説明しています。
裁量トレードとの違い

裁量トレードは、人がチャートを見て、その都度、売買を決めて発注します。自動売買は、決めたルールをEAが実行するので、同じ条件なら同じ動きになります。一方で、ルールを変えたいときは、設定やコードを直す必要があります。EAが動くのは、端末が取引サーバーにつながっている間です。
ルールに任せると、売買の判断がぶれなくなります。ただし、ルールが相場に合わない期間は、同じ損失がそのままくり返されます。この記事の後半で測るように、勝率が25%前後のルールでは、10回以上の連敗が普通に起きました。
実例|移動平均線のクロスで入り、反対のクロスで出る

図は、この記事で測るルールの動きです。25本の移動平均線が75本の線を下に抜けたら売りで入り、反対に上へ抜けたら決済します。図では、9月3日の1時(日本時間)に売りで入り、9月11日の4時に線が上へ抜けたところで決済しました。この取引の損益は、損切り幅の8.65倍の利益です。決済の1時間後の5時に今度は買いで入りましたが、同じ日の21時に損切りになりました。1回の大きな利益と、小さな損失がくり返される形が、このルールの特徴です。
アドバイスEAは、価格を受け取って、ルールを確認して、注文を出すのをくり返すんだ。図の売りは、損切り幅の8.65倍の利益で終わったよ。
FX自動売買の始め方|口座・MT4/MT5・EAの設定の順番

6つの手順|デモ口座で動かしてから本番へ
FX自動売買を始める手順は、次の6つです。
1. MT4/MT5が使える会社で口座を開く
2. 会社の案内からMT4/MT5を入れる
3. EAのファイルを端末のデータフォルダに置く
4. ナビゲーターのEAをチャートに付ける
5. ツールバーの「自動売買が有効」ボタンをオンにする
6. デモ口座で、注文の出方を確かめてから本番へ進む
MetaQuotes のヘルプによると、EAを動かすには、EAをチャートに接続します。ナビゲーターでEAをダブルクリックするか、チャートへドラッグアンドドロップします。ツールバーの「自動売買が有効」ボタンは、プラットフォーム全体の自動売買を有効・無効にします。1つのチャートで実行できるEAは1つで、2つ目を起動すると、1つ目は削除されます。
MT4/MT5を使える会社は、FX会社の紹介にまとめています。MT4の入れ方はMT4のダウンロード、EAの動かし方はEAの始め方で説明しています。EAによっては「DLLの使用を許可する」設定が必要です。手順はEAのDLL許可設定にあります。
MT4とMT5|EAの種類が違う

MT4のEAは.ex4、MT5のEAは.ex5というファイルで、お互いに入れ替えて使うことはできません。持っているEAがどちらの端末用かを確認してから、口座と端末を選びます。違いの詳しい比較は、MT4とMT5の違いと選び方にあります。
VPSで常時つなぐ
EAが動くには、端末が取引サーバーとつながっている必要があります。MetaQuotes の仮想ホスティングの説明は、自動売買ロボットを使う場合、取引サーバーへの常時接続と、途切れない電源が必要だと書いています。自宅のPCを使うことは、常に可能でも便利でもないとも書いています。このため、24時間つなぎ続けたいときは、VPS(仮想専用サーバー)を使う方法があります。VPSの選び方は、VPSの記事にあります。
アドバイス手順は6つだよ。1つのチャートに付けられるEAは1つで、最後はデモ口座で動作を見てから本番に進もう。
FX自動売買でよく使われる戦略|9つの型と売買の考え方

9つの型の考え方
EAのルールは、売買の考え方で、いくつかの型に分けられます。スキャルピングは、数秒〜数分で決済をくり返す型です。トレンドフォローは上げ下げの方向に沿って入り、逆張りは行き過ぎとみて逆向きに入ります。ブレイクアウトは、高値や安値の線を抜けた向きに入る型です。アノマリーは曜日や時間帯の傾向に合わせ、朝スキャは朝の時間帯に短く売買します。
ナンピン・グリッド・ヘッジを選ぶときの確認
ナンピンは逆行したときに同じ向きで買い増し、グリッドは価格帯に等間隔で注文を並べ、ヘッジは逆向きの建玉も持ちます。いずれも、逆行が続くと建玉が増えたり、含み損が大きくなったりする作りになりやすい型です。選ぶときは、損切りがあるか、建玉の最大数やロットの上限が決まっているか、過去のバックテストで最大DDがどれだけだったかを確認します。型の一覧はFXの取引手法の記事にもあります。
この記事で損益を測ったのは、9つの型のうちトレンドフォローを1つ、移動平均線のクロスにしたものです。ほかの型の成績は測っていません。
アドバイス型は9つあるけれど、この記事で測ったのは移動平均線のクロス(トレンドフォロー)の1つだけだよ。
FX自動売買のメリットとデメリット|測って見えたこと

メリット|ルールどおりに実行でき、過去の足で検証できる
1つ目は、ルールどおりに実行できることです。ルールを決めてEAにすれば、同じ条件のときに同じ注文が出ます。この記事の測定も、同じ手順を、5通貨ペアのおよそ10年分の足にそのまま当てはめたものです。2つ目は、過去の足で検証できることです。測定では、通貨ペアごとに約1,000回の取引を作れました。
デメリット|相場に合わない時期も動き、損失の大きさは設定で決まる
1つ目は、ルールに合わない相場でも動き続けることです。測定では、どの通貨ペアでも、8回以上の連敗が20〜29回ありました。2つ目は、損失の大きさが設定で決まることです。同じ取引でも、1回の損失を口座の1%にするか5%にするかで、最大DDは28%と93%(USD/JPY)のように変わりました。3つ目は、端末が止まると動かないことです。常時接続のためにVPSを使う場合は、費用もかかります。
感情に左右されないという点は、よく挙げられるメリットです。ただし、負けが続いたときにEAを止めるかどうかは、結局、人が決めます。止める基準(たとえば最大DDが何%を超えたら止めるか)は、始める前に決めておきます。
アドバイスルールは毎回同じでも、損失の大きさは設定で決まるよ。次の節から、5通貨ペアで測った数字を見ていこう。
FX自動売買の成績を測る|移動平均線のクロスを5通貨ペアで

測った条件|ルールと1件の数え方
測ったルールは1つで、5通貨ペアに同じ条件で当てはめました。1時間足の終値で、25本の移動平均線が75本の線を上に抜けたら、次の足の始値で買い、下に抜けたら売りです。反対のクロスが出たら決済して、反対向きに入り直します。損切りは、入り値から、直近14本の平均的な値幅(ATR)の2倍の位置です。足の高値や安値が損切りの値に届いたら、その値で決済としました。
期間は2016年1月〜2026年10月(約10.8年)で、1件は、入りから決済までの1回の取引です。損益は、損切り幅を1とした値(R)で数え、0以下を負けとしました。スプレッドは、買いはask、売りはbidで入り、足ごとの平均スプレッドを入れています。スリッページ・手数料・スワップは入れていません。通貨ペアは別々に計算し、合算していません。また、買いと売りは、ルールの作りから、それぞれ取引のちょうど半分です。
勝率は25%前後で、PFは0.99〜1.24
取引数は、1通貨ペアあたり997〜1,019件でした。勝率は、AUD/JPYの24.9%からUSD/JPYの26.6%までで、5通貨ペアとも4回に1回ほどです。PFは、USD/JPYが1.24、AUD/JPYが1.09、EUR/USDが1.06、EUR/JPYが1.03、GBP/USDが0.99でした。PFが1より小さいGBP/USDは、全体では損益がわずかにマイナスです。取引のおよそ3分の2(64〜68%)は損切りで終わり、残りが反対のクロスでの決済でした。1回の保有時間の中央値は20〜22時間です。
勝率が低くても、PFが1を超える通貨ペアがありました。勝った取引の利益が、負けた取引の損失より大きいためです。このルールは、小さな損失をくり返し、たまの大きな利益で取り返す形をしています。
実例|同じルールで3回続けて損切りになった

図は、2026年8月のUSD/JPYです。買い、売り、買いの順に入り、3回とも損切りになりました。損切りは1回ごとに損切り幅1回分の損失なので、3連敗は、損切り幅の約3倍の損失です。ここまでは、勝率25%のルールでは、ふつうに起きる並びです。
損切り幅の中央値は26〜39pips

損切り幅の中央値は、EUR/JPYが39pips、GBP/USDが36pips、USD/JPYが33pips、AUD/JPYが32pips、EUR/USDが26pipsでした。損切り幅は、通貨ペアと時期で変わります。次の節のロット数の計算でも、この幅が必要になります。
最大連敗は14〜26回|順番のせいではなかった

最大連敗は、USD/JPYが14回、GBP/USDが16回、AUD/JPYが21回、EUR/JPYが22回、EUR/USDが26回でした。最長のEUR/USDの26連敗は、2017年6月に始まり、80日続いています。USD/JPYの14連敗は34日です。5回以上の連敗は、通貨ペアごとに54〜66回、8回以上の連敗は20〜29回起きました。
この連敗が、たまたま悪い順番に当たったのかも調べました。同じ取引の順番を2,000回ランダムに入れ替えると、最大連敗の中央値は19〜20回で、5〜95%の範囲は14〜29回でした。実際の最大連敗は、5通貨ペアとも、この範囲に入っています。つまり、連敗は特別に運が悪かったためではなく、勝率25%前後というルールの形から、ふつうに出る長さです。
アドバイス勝率は24.9〜26.6%で、最大連敗は14〜26回だったよ。順番を入れ替えても、同じくらいの連敗が出たんだ。
FX自動売買のリスク管理|1回の損失を口座の何%にするか

最大DDは、1回の損失が大きいほど深い
同じ取引の列を使い、1回の損切りで失う額を、そのときの口座残高の1%・2%・5%にして、資金を複利で計算しました。最大DDは、1%では、USD/JPYが28%、EUR/JPYが37%、EUR/USDとAUD/JPYが47%、GBP/USDが57%でした。2%では51〜83%、5%では93〜99.5%です。5%にすると、5通貨ペアすべてで、資金が高値から9割以上減る場面がありました。
PFが最も高いUSD/JPYでも、5%では最大DDが93%になりました。ルールの成績が同じでも、1回の損失を大きくすると、深い下落が避けられません。ドローダウンの考え方はドローダウンの記事にもあります。
資金の推移|PF1.24とPF0.99を並べる

USD/JPYは、開始時を1とした資金が、最後は1%で3.77、2%で8.07、5%で5.38になりました。5%の線は、途中で大きく上がったあと、最大DDの93%まで下がっています。GBP/USDは、最後が1%で0.77、2%で0.39、5%で0.01です。5%では、資金が最低で開始時の0.5%まで減りました。同じ取引でも、1回の損失の大きさで、資金の道のりが大きく違います。
高値に戻れない期間は長い

資金が過去の高値を更新できなかった最長の期間は、損失1%では、EUR/USDが3.2年、USD/JPYが4.0年、AUD/JPYが4.5年、GBP/USDが6.1年、EUR/JPYが6.3年でした。5%にすると、EUR/USDが6.5年、GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYが10.5〜10.7年で、検証期間の約10.8年のほぼ全体になっています。GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの3通貨ペアは、5%では、検証期間のほぼ全体で、資金が高値に戻りませんでした。
ロット数の決め方|損切り幅から逆算する

1回の損失を口座の何%にするかを決めたら、損切り幅から、ロット数を逆算します。ロットは「残高×割合÷(損切り幅×1pipsの額)」です。1ロットが10万通貨のUSD/JPYでは、1pipsが1,000円です。残高10万円で損失を1%(1,000円)にしたいとき、損切り幅が30pipsなら、上限は0.03ロットです。残高30万円では0.10ロット、100万円では0.33ロットになります。
1ロットの通貨数は、会社や口座で違います。使う会社の通貨数とスプレッド、損切り幅を確かめて、同じ式で計算してください。この表は、損切りが約定どおりに決済される前提で、滑りがあれば損失は大きくなります。
アドバイス同じ取引でも、1回の損失を1%にするか5%にするかで、最大DDは28%と93%(USD/JPY)まで違ったよ。
FX自動売買のEA選び|バックテストの数字の見方

見る数字は4つ|PF・最大DD・勝率・取引回数
バックテストでは、PF・最大DD・勝率・取引回数を並べて見ます。PFは、総利益を総損失で割った値で、1より大きいと、総利益が総損失を上回ります。最大DDは、資金の高値からの最大の落ち込みです。勝率は、勝った取引の割合で、取引回数は、検証の件数です。PFの記事とバックテストの記事に、見方があります。
この記事の測定で見ると、勝率だけでは、ルールの良し悪しは分かりません。勝率は5通貨ペアとも25%前後でしたが、PFは0.99から1.24まで開きました。勝率が低くても、PFが1を超えることがあり、反対に、勝率が高くても、1回の負けが大きければ、PFは下がります。
EAを選ぶときの確認点
EAを選ぶときは、次の点を確認します。
・取引回数が十分か(この記事の測定は、通貨ペアごとに約1,000件)
・検証期間が長いか(この記事は約10.8年)
・スプレッドやスリッページを入れているか
・最大DDが、自分が受け入れられる範囲か
・最大連敗が、自分が続けられる長さか
・損切りがあるか、ロットの上限があるか
過去のバックテストは、将来の成績を約束するものではありません。選び方はEAの選び方の記事、おすすめの整理はEA比較の記事、EAの情報はEAの記事にあります。
アドバイス勝率は5通貨ペアとも25%前後だったけれど、PFは0.99〜1.24まで違ったよ。数字は1つだけで決めないでね。
要点
・FX自動売買は、EAが決めたルールどおりに注文を出す取引。端末が取引サーバーにつながっている間だけ動き、1チャートに付けられるEAは1つ
・始め方は、口座→MT4/MT5→EAを入れる→チャートに付ける→「自動売買が有効」をオン→デモで確認の6つ
・移動平均線(25本と75本)のクロスを、5通貨ペア・約10.8年で測ると、取引は5,048件、勝率24.9〜26.6%、PF0.99〜1.24、最大連敗14〜26回
・連敗は順番のせいではなく、並べ替えた5〜95%の範囲(14〜29回)に収まった
・1回の損失を口座の1%にすると最大DDは28〜57%、5%にすると93〜99.5%。高値に戻れない期間は最長で約10.7年
・測っていないのは、ほかの型の成績、今後の成績、手数料とスワップ、スリッページ
FX自動売買のよくある質問
FX自動売買とは何ですか?
決めたルールどおりに、EAというプログラムが注文を出す取引です。MT4またはMT5の端末にEAを付けて使います。
EAは1つのチャートにいくつ付けられますか?
1つです。MetaQuotes のヘルプでは、1つのチャートで実行できるEAは1つで、2つ目を起動すると1つ目は削除されると説明されています。
パソコンを閉じても自動売買は動きますか?
端末が取引サーバーにつながっている間だけ動きます。常時接続と途切れない電源が必要なので、24時間動かしたいときはVPSを使う方法があります。
自動売買でも連敗はありますか?
ありました。移動平均線のクロスを5通貨ペアで測ると、最大連敗は14〜26回で、勝率は24.9〜26.6%でした。
1回の損失は、口座の何%にするとよいですか?
一律の答えは出せません。測定では、1%で最大DDが28〜57%、5%で93〜99.5%でした。自分が受け入れられる下落の大きさから、逆算して決めます。
FX自動売買のまとめ
FX自動売買は、EAが決めたルールどおりに注文を出す取引です。MT4/MT5に口座を作り、EAをチャートに付け、デモ口座で動きを確かめてから本番へ進みます。Dukascopy のティックから作った足の2016年1月〜2026年10月、5通貨ペアで、移動平均線のクロスの1つのルールを測ると、勝率は24.9〜26.6%、PFは0.99〜1.24、最大連敗は14〜26回でした。1回の損失を口座の1%にすると最大DDは28〜57%、5%にすると93〜99.5%で、同じルールでも、損失の大きさで資金の減り方が変わりました。
EAを選ぶときは、PF・最大DD・勝率・取引回数を一緒に見て、最大連敗の長さを自分が続けられるかを考えます。ここで測ったのは、移動平均線のクロス1つの過去の成績で、今後を約束するものではありません。EAの探し方は、EAの選び方の記事にあります。
この記事はFXの取引手法の情報提供で、特定の投資を勧めるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を割り込むことがあります。取引は自己責任で、リスク管理をしたうえで行ってください。
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