
エンベロープとは|移動平均線の上下に引く3本の線

3本の線と計算式
エンベロープ(Envelopes)は、中心線にする移動平均線と、その上下に引く2本の線でできています。上の線は中心線に(1+偏差)をかけた値、下の線は中心線に(1−偏差)をかけた値です。たとえば中心線が160.00円で偏差が0.25%なら、上の線は160.40円、下の線は159.60円です。線は中心線と同じ形で動くので、帯の幅は、価格が上がれば円の幅も広がります。
図は、USD/JPYの1時間足72本に、14本の単純移動平均を中心線にした偏差0.25%のエンベロープを重ねたものです。この3日間で、終値が線の外にあった足は72本のうち6本でした。線の外に出ているのは、中ほどから終わりに向けて大きく下げた部分です。
帯の幅は値動きに合わせて変わらない
エンベロープの帯の幅は、価格の一定の割合で決まります。値動きが小さい時期も大きい時期も、中心線が同じ価格なら、帯の幅は同じです。値動きの大きさに合わせて幅が変わるボリンジャーバンド(ボリンジャーバンドの記事)との違いは、この記事の後半で測っています。
アドバイスエンベロープは、移動平均線を割合で上下にずらした2本の線だよ。図の3日間は、72本のうち6本が線の外だったね。
エンベロープの設定項目|期間・平均の種類・適用価格・偏差

設定項目の意味
設定項目は5つです。期間は中心線にする平均の本数、平均の種類は単純移動平均や指数移動平均などの計算方法、適用価格は平均に使う価格(終値など)、偏差は中心線から上下へ離す割合(%)、ずらしは線を時間方向へずらす本数です。MQL5の公式サンプルの入力値は、期間14・単純移動平均・終値・偏差0.1・ずらし0です。偏差の単位は%で、0.1は0.1%を表します。
この記事の測定は、中心線を「終値の14本の単純移動平均」にして、偏差だけを変えています。偏差0.1%は、1時間足の終値が160円なら上下0.16円の幅で、とても狭い設定です。このあと、偏差の違いで線の外にある足がどれだけ変わるかを測ります。
MT4・MT5で出す手順
MT4・MT5には、エンベロープが最初から入っています。チャートを開き、メニューの「挿入」から「インディケータ」「トレンド」を選び、「Envelopes」を選ぶと、設定の画面が開きます。ここで期間・平均の種類・適用価格・偏差を入力して「OK」を押すと、チャートに3本の線が出ます。あとから変えるときは、チャート上の線を右クリックして「プロパティ」から開きます。
平均の本数と種類で、外にある足の割合は変わる

偏差を0.1%・0.25%・0.5%に固定して、中心線の平均の本数を変えました。線の外にある足とは、終値が「中心線×(1+偏差)」より上か、「中心線×(1−偏差)」より下にある足です。5通貨の1時間足約336,800本(平均の本数が長いほど、使えない最初の足が増えるため、足の数は少し違います)を数えています。
偏差0.5%のとき、線の外にある足の割合は、単純移動平均5本で0.8%、14本で4.5%、20本で7.5%、50本で21.5%、100本で36.8%、200本で51.6%でした。平均の本数が長いほど、中心線は価格から離れやすくなるため、外にある足が増えます。14本で比べると、指数移動平均は偏差0.5%で2.9%と、単純移動平均の4.5%より小さくなりました。同じ偏差でも、平均の本数と種類で、線の外にある足の割合は大きく変わります。
アドバイス期間が長いほど、線の外にある足は増えるよ。偏差0.5%だと、5本は0.8%、200本は51.6%だったね。
エンベロープの偏差の決め方|時間足と通貨で外にある足の割合は変わる

偏差ごとの、線の外にある足の割合
中心線を終値の14本の単純移動平均にして、偏差を0.1%・0.5%・1%・2%に変え、線の外にある足の割合を数えました。5通貨の合計で、15分足は1,347,417本、1時間足は336,848本、4時間足は83,178本、日足は13,975本です。日足はニューヨーク時間の17時で区切った足です。1本の足が外にあれば1件と数えています。
偏差0.5%では、15分足が0.6%、1時間足が4.5%、4時間足が22.4%、日足が59.0%でした。偏差2%では、15分足が0.0%、1時間足が0.0%、4時間足が0.4%、日足が7.1%です。1時間足で偏差2%にすると、外に出る足はほとんどありません(0.04%)。時間足が長いほど1本の動きが大きいため、同じ偏差でも外に出る足は増えます。偏差の目安を、時間足を考えずに1つの数字で決めることはできません。
外にある足が10%になる偏差

偏差を決めるやり方の1つに、「外にある足が一定の割合になる偏差」を探す方法があります。ここでは、通貨と時間足ごとに、中心線と終値の離れ(割合)を大きい順に並べ、上から10%の位置の値を求めました。その値より大きい偏差にすれば、外にある足は10%より少なくなります。
外にある足が10%になる偏差は、5通貨の範囲で、15分足が0.14〜0.22%、1時間足が0.30〜0.45%、4時間足が0.61〜0.91%、日足が1.41〜2.09%でした。USD/JPYは、0.17%・0.35%・0.76%・1.88%です。5通貨のうち、いつも最も大きいのはAUD/JPYで、最も小さいのはEUR/USDでした。この偏差は、2016年1月〜2026年10月の全体で測った値です。期間を変えると値も変わります。
アドバイス1時間足で外が10%になる偏差は、0.30〜0.45%だったよ。時間足を変えるなら、偏差も測り直してね。
エンベロープとボリンジャーバンドの違い|値動きの大きさで外の割合が変わる

幅の決め方の違い
エンベロープは、中心線の価格に対する一定の割合で幅を決めます。ボリンジャーバンドは、終値のばらつき(標準偏差)の倍数で幅を決めるので、値動きが大きくなると広がり、小さくなると狭まります。どちらの線の外にも出る足は、幅の設定次第で増えも減りもします。そこで、2つを同じ条件で比べるため、全体で外にある足がちょうど10%になる幅にそろえました。
値動きの大きさ5段階での比較
5通貨の1時間足336,843本を、直前の値動きの大きさで5つに分けました。値動きの大きさは、1本前までの14本の平均真の値幅(ATR、ATRの記事)を終値で割った値で、通貨ごとに小さい順に5等分しています。エンベロープは、中心線を14本の単純移動平均とし、偏差を通貨ごとに全体で外が10%になる値(0.30〜0.45%)にしました。ボリンジャーバンドは、同じ中心線で、標準偏差の倍率を全体で外が10%になる値(2.05〜2.14倍)にしています。
線の外にある足の割合は、エンベロープが、値動きが小さい段階で1.0%、2段階目が3.0%、3段階目が6.6%、4段階目が12.1%、大きい段階で27.2%でした。ボリンジャーバンドは、14.9%、11.2%、9.5%、8.0%、6.4%です。全体では2つとも10%なのに、エンベロープは値動きが大きい時期に外へ出る足が集中し、ボリンジャーバンドは値動きが小さい時期のほうに出ます。通貨ごとに見ても同じ向きで、値動きが小さい段階はエンベロープが0.7〜1.4%、ボリンジャーバンドが12.8〜18.3%、大きい段階はエンベロープが25.4〜29.6%、ボリンジャーバンドが5.2〜7.2%でした。
ただし、これは線の外にある足の割合の違いで、どちらが売買に向くかを測ったものではありません。線の外に出た足が多いほど良い、少ないほど良い、という意味でもありません。ボリンジャーバンドの設定は、ボリンジャーバンドの記事にまとめています。
アドバイスエンベロープは幅が固定だから、値動きが大きい時期に外へ出る足が増えるよ。大きい段階は27.2%、小さい段階は1.0%だったね。
エンベロープの使い方|帯の外に出た足をどう扱うか

値動きが小さい期間と大きい期間の実例
図は、USD/JPYの1時間足で、直前の値動きの大きさが全体の下から10%・上から10%に最も近い72本を、1つずつ選んだものです。エンベロープの偏差は0.35%、ボリンジャーバンドは標準偏差の2.07倍で、どちらも全体で外にある足が10%になる値です。値動きの大きさの平均(ATRを終値で割った値)は、小さい期間が0.08%、大きい期間が0.22%でした。
終値が線の外にあった足は、値動きが小さい期間は、エンベロープが0本、ボリンジャーバンドが4本でした。値動きが大きい期間は、エンベロープが18本、ボリンジャーバンドが7本です。エンベロープの帯は、小さい期間でも大きい期間でも、ほとんど同じ幅で動きます。同じ設定でも、期間によって帯がきつくなったり、広すぎたりします。これは、2つの期間だけを取り出した例で、全体の傾向は前の節の5段階で測ったとおりです。
逆張りと順張りの見方
線の外に出た足を見て、中心線へ戻ると考えて逆らう売買が「逆張り」、外へ出た方向へついていく売買が「順張り」です。どちらが向くかは、この記事では測っていません。測ったのは、線の外に出る足が、時間足・通貨・平均の取り方・値動きの大きさで、どれだけ変わるかです。外に出た足のあとに中心線へ戻る割合は、エンベロープの記事で測っています。ブレイクアウトはブレイクアウトの記事、ダマシはダマシの記事にまとめています。
測っていないこと
この記事で測ったのは、線の外にある足の割合と、そのために必要な偏差です。売買の損益、勝率、損切りや利確の幅、ほかの指標との組み合わせ、通貨ごとの最適な設定は測っていません。売買に使う前に、自分のデータで検証してください。検証の進め方はバックテストの記事、損切りの幅と利益の比はリスクリワードの記事にあります。
アドバイス同じ設定でも、期間によって外に出る足は0本から18本まで変わったよ。使う前に、自分のデータで確かめてね。
要点
・エンベロープは、移動平均線の上下に「中心線×(1±偏差)」の線を引く指標。MQL5の公式サンプルの入力値は、期間14・単純移動平均・終値・偏差0.1(%)
・5通貨の1時間足で、偏差0.5%のとき、終値が線の外にある足は、15分足0.6%・1時間足4.5%・4時間足22.4%・日足59.0%(2016年1月〜2026年10月)
・外にある足が10%になる偏差は、1時間足で0.30〜0.45%、日足で1.41〜2.09%。時間足を変えたら偏差も測り直す
・全体で外が10%になる幅にそろえると、値動きが小さい時期はエンベロープ1.0%・ボリンジャーバンド14.9%、大きい時期は27.2%・6.4%(1時間足)
・測っていないのは、売買の損益、勝率、損切りの幅、ほかの指標との組み合わせ
エンベロープのよくある質問
エンベロープとは何ですか?
移動平均線の上下に、同じ割合だけ離した線を引く指標です。上の線は「中心線×(1+偏差)」、下の線は「中心線×(1−偏差)」です。
偏差は何%にすればいいですか?
1つの数字には決められません。時間足で大きく変わります。外にある足が10%になる偏差は、1時間足で0.30〜0.45%、4時間足で0.61〜0.91%、日足で1.41〜2.09%でした(5通貨、2016年1月〜2026年10月)。自分の時間足と通貨で、外にある足の割合を測って決めてください。
エンベロープとボリンジャーバンドは何が違いますか?
幅の決め方が違います。エンベロープは価格の一定の割合、ボリンジャーバンドは標準偏差の倍数です。全体で外が10%になる幅にそろえた1時間足では、値動きが大きい時期に、線の外にある足がエンベロープは27.2%、ボリンジャーバンドは6.4%でした。
いちばん良い設定はありますか?
測っていません。この記事で測ったのは、線の外にある足の割合です。売買の損益は測っていないので、いちばん良い設定は決められません。
MT4・MT5に最初から入っていますか?
入っています。「挿入」「インディケータ」「トレンド」から「Envelopes」を選ぶと出せます。
逆張りと順張りのどちらで使いますか?
この記事では測っていません。測ったのは、線の外に出る足の割合です。どちらで使う場合も、自分のデータで検証してから使ってください。
エンベロープのまとめ
エンベロープは、移動平均線の上下に一定の割合の線を引く指標です。Dukascopy のティックから作った5通貨(2016年1月〜2026年10月)では、偏差0.5%のとき、終値が線の外にある足の割合は、15分足0.6%・1時間足4.5%・4時間足22.4%・日足59.0%でした。外にある足が10%になる偏差は、1時間足で0.30〜0.45%です。時間足や平均の本数を変えたら、偏差も測り直す必要があります。
全体で外が10%になる幅にそろえた1時間足では、値動きが大きい時期にエンベロープの外にある足が27.2%に増え、小さい時期は1.0%でした。測っていない売買の損益や勝率は、自分のデータで確かめてから使ってください。外に出たあとの戻りはエンベロープの記事、移動平均線の基本はSMAの記事にまとめています。
この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。













