
VQIとは|ローソク足ごとの値を足し合わせた線

VQIの考案者と出どころ
VQIは、トーマス・ストリッズマン(Thomas Stridsman)氏の指標とされています。公開されているソースコードVQ-nrp.mq4の冒頭には、Active Trader誌2002年8月号の記事が出どころと書かれています。値動きの「良い変動」と「悪い変動」を見分けることを狙った指標で、公開されている説明では、VQIの線が直近10本で上がっていれば買い、下がっていれば売り、という向きの見方が紹介されています。
VQIは実装ごとに式や追加の処理が少しずつ違います。この記事では、公開されているVQ-nrp.mq4の計算の部分から、素のVQIの式を取り出して測りました。同じソースにある価格のならしとフィルターは、使っていません。
1本の足でのVQIの計算

計算は、足1本ごとに、次の順で行います。TRは、高値と1本前の終値のうち高い方から、安値と1本前の終値のうち低い方を引いた幅です。高低差は、高値から安値を引いた幅です。
- 項Aは、(終値−1本前の終値)をTRで割った値です。
- 項Bは、(終値−始値)を高低差で割った値です。
- 項Aと項Bの平均を出します。
- その平均の絶対値に、(終値−1本前の終値)と(終値−始値)の平均を掛けます。これがこの足の値です。
- この足の値を、最初の足から順に足し合わせた線が、VQIの線です。
図の足は、日本時間2026年7月8日8時のUSD/JPY1時間足です。始値162.181円、高値162.366円、安値162.168円、終値162.363円で、1本前の終値は162.179円でした。TRと高低差はどちらも0.198円、項Aは0.929、項Bは0.919で、平均は0.924です。この足の値は0.169になります。TRか高低差が0の足は、前の足の値をそのまま使います。
VQIの線の見方
VQIの線は足ごとの値の累積なので、どこを0にするかで水準が変わります。図の線は、窓の最初を0にして表示しています。0ラインを上抜けた・下抜けたという見方は、線の水準に決まった意味がないため、使えません。見るのは、10本前より高いか低いかです。この記事の「向き」は、VQIの線が10本前より高ければ上向き、低ければ下向きとしたものです。同じ値のときは、直前の向きを保ちます。
図の96本は、日本時間の2026年7月7日0時から4日間です。VQIの線は、最初を0として、約−0.35から+0.41の間を動きました。この間に、向きが入れ替わったのは16回です。
アドバイスVQIの線は、足ごとの値を足し合わせた線だよ。0の位置に意味はなくて、10本前より高いか低いかを見るんだ。
VQIの向きが入れ替わったあとの動き|5通貨で測った結果

測り方と比べる相手
USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの5通貨で、15分足・1時間足・4時間足を測りました。期間は2016年1月〜2026年10月で、各通貨の最初の600本は除いています。足の数は、15分足が1,344,482本、1時間足が333,913本、4時間足が84,087本です。4時間足は、1時間足を日本時間の9時・13時・17時・21時・1時・5時の区切りでまとめた足です。
VQIの線が10本前より高い状態から低い状態へ、またはその逆へ入れ替わった足を1件と数えました。その足の終値から4本後・12本後の終値が、新しい向き(上向きになったら上、下向きになったら下)に進んだ割合を出します。終値が変わらなかったときは、どちらの向きにも進まなかったとして数えました。1時間足の入れ替わりは46,361件で、そのうち4本後を数えられたのは46,358件、12本後は46,351件です。
比べる相手には、同じ足の中から、上向きへ入れ替わった数と下向きへ入れ替わった数に合わせて足を2,000回選び直したときの割合の90%の範囲(ランダムの範囲)を使いました。終値が変わらない足があるので、範囲の中心は50%よりやや下になります。
結果|15分足は範囲の下、1時間足と4時間足は範囲の近く
1時間足は、4本後が49.4%、12本後が49.7%でした。範囲は4本後が49.5〜50.3%、12本後が49.5〜50.3%で、12本後は範囲に入り、4本後は範囲の下端より0.1ポイント下でした。4時間足は、4本後が50.1%(範囲49.1〜50.7%)、12本後が50.4%(範囲49.2〜50.8%)で、どちらも範囲に入り、50%を含みます。
15分足は、4本後が48.5%(範囲49.5〜49.9%)、12本後が48.9%(範囲49.7〜50.0%)で、どちらも範囲の下でした。差は最大で1.1ポイントです。6つの比べ方のうち、範囲に入ったのは3つです。終値の10本前との比較で向きを決めて同じ数え方をした場合も、15分足は4本後が48.4%、12本後が49.0%で、ほぼ同じでした。この結果は、VQI特有のものではありません。範囲は足を1本ずつ独立に選ぶ計算なので、近い位置の入れ替わりが重なっていると、実際の範囲はもっと広くなります。
比べる本数を、10本から5本・20本に変えても、1時間足の割合は48.8〜50.3%でした。向きが入れ替わったあとに、新しい向きへ進むとは言えませんでした。
VQIと終値の向きの比較

VQIの向きは、終値の10本前との比較で決めた向きと、1時間足の92.2%の足で同じでした。15分足は91.7%、4時間足は92.7%です。1,000本あたりの入れ替わりの回数は、1時間足でVQIが138.8回、終値が148.0回で、VQIのほうが6〜7%少なく、15分足と4時間足も同じ傾向でした。
近くなるのは、2つの項がほぼ同じ動きをするからです。項Aと項Bが同じ符号だった足は、両方が0でない330,769本のうち327,541本(99.0%)で、2つの項の相関は5通貨とも0.98〜0.99でした。TRと高低差が0で前の値を使った足は、5通貨の合計で4本でした。
アドバイス1時間足でVQIの向きが入れ替わったあと、新しい向きへ進んだ割合は49.4%と49.7%。ランダムの範囲は49.5〜50.3%だったよ。
VQIとATRの比較|動きの大きさとそのあとの値幅

VQIは「値動きの質」を測る指標と言われます。そこで、VQIの動きが大きいほど、そのあとの値幅が大きくなるかを測りました。ATR14は、TRの14本の単純平均です。足ごとに、VQIの線の14本の変化(絶対値)をATR14で割った値を出し、5通貨の1時間足333,843本を小さい順に5等分しました。各区分はおよそ66,770本です。
縦軸は、そのあとの14本の平均TRを、その時点のATR14で割った値です。区分1(動きが最小)が1.09倍、区分2が1.09倍、区分3が1.09倍、区分4が1.07倍、区分5(動きが最大)が1.04倍でした。区分1〜3は同じで、区分4と5でわずかに小さくなっています。VQIの動きの大きさと、そのあとの値幅の順位相関は、5通貨とも−0.07〜−0.01でした。VQIの動きが大きくても、そのあとの値幅が大きくなるとは言えませんでした。
VQIの代わりに、終値の14本の変化を使っても、ほぼ同じ形で、区分1が1.09倍、区分5が1.04倍でした。VQIの動きの大きさと終値の動きの大きさの順位相関は、5通貨とも0.88〜0.89です。
これに対して、ATR14をATR100で割った比(ATR比)で5等分すると、そのあとの値幅は区分1が1.50倍、区分5が0.78倍と、大きく変わりました。ATR14がATR100より小さい足のあとほど値幅が大きく、大きい足のあとほど小さくなっています。そのあとの値幅とより強く結びついていたのは、VQIではなく、ATRで見た今の値幅の水準でした。ATRの計算と使い方は、ATRの記事にまとめています。
測っていないこと
この記事で測ったのは、向きの入れ替わりの回数、向きが終値と同じ割合、入れ替わったあとの価格の向き、動きの大きさとそのあとの値幅です。売買の損益、損切りや利確の幅、勝率、ほかの指標との組み合わせは測っていません。公開ソースにある価格のならしやフィルターを使った場合、動きの大きさと値幅の比較を1時間足以外で行った場合、5通貨以外の通貨、足の本数を5本・10本・20本以外にした場合も測っていません。
アドバイス値幅の目安にするなら、VQIよりATR比のほうが、そのあとの値幅との結びつきが強かったよ。
VQIのMT4・MT5での入れ方|入力値と手順

MT4用VQIの入力値
VQIは、MT4・MT5に最初から入っているインジケーターではありません。シストレ.COMでは、VQIのファイルは配布していません。公開されているVQ-nrp.mq4(GitHubに複製がある)は、MT4用のソースで、入力値の初期値は表のとおりです。価格のならしが5、VQIの線にかける短い平均線が9、長い平均線が200、フィルターが5ポイントです。素のVQIの線に、これらの平均線と処理が加わった形になります。
MT4・MT5への入れ方
- 入手したソースの出どころと内容を確かめます。MT4用は.mq4、MT5用は.mq5です。
- 「ファイル」から「データフォルダを開く」を選び、MT4は「MQL4」、MT5は「MQL5」の中の「Indicators」にファイルを置きます。
- MetaEditorで開き、コンパイルします。.ex4(MT4)または.ex5(MT5)ができます。
- ナビゲーターの「インディケータ」を右クリックして「更新」を選ぶか、再起動します。
- 「挿入」から「インディケータ」「カスタム」を選び、VQIをチャートに出します。
MT5のVQIは、このソースとは別の実装になります。式や初期値が違うことがあるので、この記事の数字をそのまま当てはめないでください。
アドバイスVQIのファイルは、ここでは配布していないよ。入れるときは、出どころが分かるソースを選んでね。
要点
・VQIは、足ごとの値を足し合わせた線。0の位置に意味はなく、10本前より高いか低いかで向きを決める
・5通貨の1時間足333,913本で、VQIの向きは終値の10本前との比較と92.2%の足で同じ
・VQIの向きが入れ替わったあとに新しい向きへ進んだ割合は、1時間足で4本後49.4%・12本後49.7%(範囲49.5〜50.3%)。15分足は範囲の下
・VQIの動きが大きい区分のあとも、値幅は大きくならず、1.09倍から1.04倍へわずかに下がった。ATR比のほうが、そのあとの値幅と強く結びついた
・測っていないのは、売買の損益、勝率、ほかの指標との組み合わせ
VQIのよくある質問
VQIとは何ですか?
足ごとの値を足し合わせた線です。トーマス・ストリッズマン氏の指標で、出どころはActive Trader誌2002年8月号の記事とされています。
0ラインを抜けたら売買のサインですか?
0ラインに意味はありません。線は累積なので、見るのは10本前との高低です。売買のサインとしての成績は測っていません。
ATRの代わりになりますか?
値幅の目安としては、ATRのほうが結びつきが強い結果でした。VQIの動きの大きさでは、そのあとの値幅の差はほとんど出ませんでした。
おすすめの設定値はありますか?
おすすめは測っていません。公開ソースの初期値は、価格のならし5・平均線9と200・フィルター5ポイントです。
MT4・MT5に最初から入っていますか?
入っていません。カスタムインジケーターなので、ソースを入手して入れる必要があります。
VQIのまとめ
VQIは、ローソク足ごとの値を足し合わせた線で、見るのは10本前との高低です。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月、333,913本)では、VQIの向きは終値の10本前との比較と92.2%の足で同じで、向きの入れ替わりは終値より6〜7%少なくなりました。
VQIの向きが入れ替わったあとに新しい向きへ進んだ割合は、1時間足で4本後49.4%・12本後49.7%で、ランダムの範囲は49.5〜50.3%でした。VQIの動きが大きい区分のあとも、値幅は大きくなりませんでした。測っていない売買の損益や、ほかの指標との組み合わせは、自分のデータで確かめてから使ってください。
この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
⚠ リスクに関する注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。












