Intraday Directional Movement FXで相場を読み解く|DMI/ADXを5通貨で測定

Intraday Directional Movementは、DMI(方向性指数)とADXを日中の足で使う指標として書いています。この記事では、Dukascopy のティックから作った足で、USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの15分足1,344,482本(2016年1月〜2026年10月)を測りました。MT5に付属するADX(期間14)では、15分足の59.0%がADX25以上で、+DIと−DIの入れ替わりは1,000本あたり148.4回でした。入れ替わったあとに、その向きへ価格が進んだ割合は、4本後で48.6%で、ランダムの範囲(49.5〜49.9%)の下でした。

目次

Intraday Directional Movementとは|DMIとADXを日中の足で見る指標

「Intraday Directional Movement」という名前の指標は、MT5の公式ヘルプとMQL5リファレンスでは確認できませんでした。この記事では、DMI(+DIと−DI)とADXを、5分足から1時間足までの日中の足で使うことを、この名前で呼びます。計算は、Welles Wilder(ウェルズ・ワイルダー)が著書「New Concepts in Technical Trading Systems」で示したものです。

USD/JPYの15分足192本のローソク足の下に、+DI・−DI・ADXの線と、+DIと−DIが入れ替わった足の丸を重ねたチャート
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)。USD/JPYの15分足192本(日本時間の2026年9月15日0時から2日間)に、+DI・−DI・ADXを重ねた図。

+DI・−DI・ADXの意味と計算

+DIは上へ向かう動きの強さ、−DIは下へ向かう動きの強さです。ADXは、上下を問わず、トレンドがどれくらい出ているかを表す線です。MT5のヘルプには、ADXは「価格にトレンドがあるかを判断する助けになる」と書かれています。目安として、25以上をトレンドあり、20未満をトレンドなしとして使うことが多く、この記事でも25と20を区切りにしました。

計算の流れは、MT5に付属するサンプルのソースで確認しました。足ごとに、高値の上昇幅と安値の下落幅を出し、大きいほうだけを残します(同じ幅なら両方0)。これを、足の値動きの幅(TR)で割って期間14でならすと、+DIと−DIになります。2つの差を和で割った値(DX)をもう一度ならした線が、ADXです。

図の2日間のようす

図は、日本時間の2026年9月15日0時から2日間の、USD/JPYの15分足192本に、MT5付属のADX(期間14)と同じ式の+DI・−DI・ADXを重ねたものです。オレンジの丸は、+DIと−DIの大小が入れ替わった足です。入れ替わりは、足の終値で確定した足だけを数え、同じ値のときは前の向きを引き継ぎます。この2日間で36回あり、そのうちADXが25以上だった足は9回でした。ADXが25以上の足は192本のうち90本で、最大は54.0です。

アドバイス

入れ替わりは、2日で36回もあったね。ADXが25以上のときの入れ替わりは、そのうち9回だけだったよ。

Intraday Directional Movementの計算式|MT5付属とWilder式でADXの水準が変わる

MT5付属の式とWilder式について、15分足と1時間足のADX平均・25以上・20未満の割合と入れ替わりの回数を並べた表
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)、2016年1月〜2026年10月。5通貨の15分足と1時間足で、ADXの計算式ごとの水準と入れ替わりの回数。

2つの式の違い

MT5には、ADXの式が2つ付属しています。サンプルのADX.mq5は、EMA(係数 2÷(期間+1))でならします。ADXW.mq5(Average Directional Movement Index Wilder)は、Wilder平滑(係数 1÷期間)で、TRと上下の動きをならしてから+DIと−DIを出します。期間はどちらも初期値が14です。同じ期間14でも、ならし方が違うので、数字は変わります。

15分足1,344,482本では、ADXの平均が、MT5付属の式で29.6、Wilder式で24.9でした。ADXが25以上だった足の割合は59.0%と41.8%、20未満だった割合は19.6%と38.1%です。入れ替わりの回数は、1,000本あたり148.4回と88.8回でした。1時間足333,913本でも同じ傾向で、25以上の割合は59.0%と46.0%、入れ替わりは148.7回と85.6回です。「ADX25以上」の意味は、どちらの式で測るかで変わります。

以降の測定は、特に書かない限り、MT5付属の式(ADX.mq5と同じ式)で、期間14の15分足です。各通貨の最初の600本は、計算の助走として除いています。足はUTCで区切り、日本時間はUTCに9時間を足した時刻です。

時間足を変えたときの水準

5分足・15分足・1時間足について、ADXが25以上・20から25・20未満だった足の割合を並べた表
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)、2016年1月〜2026年10月。5通貨の時間足別に、ADXの水準ごとの足の割合。

5分足4,037,985本、15分足1,344,482本、1時間足333,913本を、ADXの水準で3つに分けました。25以上は59.2%・59.0%・59.0%、20〜25は21.3%・21.4%・21.3%、20未満は19.5%・19.6%・19.7%で、時間足が違っても割合はほぼ同じでした。MT5付属の式では、日中の足のおよそ6割が25以上になるので、25を超えたことだけでは、足の約6割に当てはまります。

期間を変えたときの違い

期間を7・14・21に変えたときの、入れ替わりの回数・ADX25以上の割合・次の入れ替わりまでの本数の中央値と5本以内の割合を並べた表
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)、2016年1月〜2026年10月。5通貨の15分足で、期間ごとの入れ替わりの回数と水準。

期間を7にすると、入れ替わりは1,000本あたり201.6回に増え、ADX25以上の足は89.9%になりました。ほとんどの足が25以上になるので、25の線で足を分ける意味がほぼなくなります。期間21では、入れ替わりが123.2回、25以上が37.7%です。次の入れ替わりまでの本数の中央値は、7が3本、14と21が4本でした。5本以内に次の入れ替わりが来た割合は、69.0%、62.0%、59.4%です。

アドバイス

期間14のままでも、式しだいで25以上は59.0%と41.8%に分かれたね。数字を見るときは、どの式かを確かめよう。

Intraday Directional Movementの入れ替わり|間隔と時間帯はADXの水準で変わらなかった

MT5付属の式とWilder式について、入れ替わりから次の入れ替わりまでの本数の中央値・5本以内の割合・20本以上の割合を、ADXの水準別に並べた表
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)、2016年1月〜2026年10月。5通貨の15分足で、次の入れ替わりまでの本数。

次の入れ替わりまでの本数

入れ替わった足から、次に入れ替わる足までの本数を数えました。MT5付属の式では、入れ替わりは199,542回で、5通貨の入れ替わり全部をまとめた中央値は4本です。5本以内に次の入れ替わりが来た割合が62.0%、20本以上あいた割合が7.2%でした。入れ替わった足のADXで分けると、25以上の61,970回は62.4%と7.1%、20未満の81,957回は61.9%と7.3%で、ほぼ同じです。残りの20〜25は55,615回でした。

入れ替わり全体の31.1%がADX25以上、27.9%が20〜25、41.1%が20未満で起きています。Wilder式では、入れ替わりは119,420回で、中央値は5本、5本以内が53.3%、20本以上が18.3%でした。ADX25以上の19,446回は51.5%と20.0%、20未満の77,752回は54.1%と17.5%で、MT5付属の式より水準による差が少し出ました。入れ替わりの4割は、トレンドの目安である25に届かないところで起きています。

時間帯ごとのADXの水準

15分足でADXが25以上だった足の割合を、日本時間の0時から23時まで1時間ごとの棒グラフで並べた図
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)、2016年1月〜2026年10月。5通貨の15分足で、日本時間の時間帯ごとのADX25以上の割合。

15分足を、足の始まりの日本時間で24の時間帯に分け、ADXが25以上だった割合を並べました。割合が最も高いのは3時台の61.5%、最も低いのは7時台の51.0%で、8時台が51.7%です。ほかの時間帯は56.1〜61.5%に入ります。日本時間の7時台と8時台は、ほかより25以上の足が少なくなっていました。理由は測っていません。

アドバイス

入れ替わりの間隔は、ADXが25以上でも20未満でも、MT5付属の式では62%前後でそろったよ。ADXの水準では、間隔は変わらなかったね。

Intraday Directional Movementの設定|MT5・MT4での出し方と初期値

MT5に付属する2つのADXの式について、サンプルのソース・ならし方・係数・期間の初期値・出る線を並べた表
出典: MT5に付属するサンプルのソース(ADX.mq5・ADXW.mq5)とMT5のヘルプ。MT5付属の式とWilder式の設定の違い。

MT5での出し方

MT5には、ADXが最初から入っています。メニューの「挿入」から「インディケータ」「トレンド」を選ぶと、「Average Directional Movement Index」(MT5付属の式)と「Average Directional Movement Index Wilder」(Wilder式)があります。チャートの下の別の窓に、ADXの線と+DIの線、−DIの線が出ます。期間の初期値は、どちらも14です。

この記事の数字は、ほとんどがMT5付属の式の期間14で測っています。同じ画面でも、Wilder式を選ぶと、ADXの水準も入れ替わりの回数も変わります。25の線を目安にするときは、先に、どちらの式かを決めてください。MT5付属の式では、15分足の約6割が25以上になります。

MT4の場合

MT4にも、ADXの標準インディケータ(MQL4のiADX)があります。ただし、MT4の計算式は、この記事では確認していません。測定は、MT5付属のサンプルの式を、計算プログラムで再現して行っています。MT4で同じ数字になるかは、確かめていません。

アドバイス

MT5は、ADXの式が2つあるよ。見た目は似ていても数字が違うから、使う式を決めてから25の線を見てね。

Intraday Directional Movementの使い方|入れ替わりのあとの値動きを測った結果

+DIと−DIが入れ替わった4本後・12本後に、価格が入れ替わった向きへ進んだ割合を、ADXの水準ごとに分けてランダムの範囲と並べた図
出典: Dukascopy のティックから作った足(bid)、2016年1月〜2026年10月。5通貨の15分足で、入れ替わりのあとに向きへ進んだ割合。

入れ替わったあとに進んだ向き

+DIが−DIを上へ抜けた足は、その足の終値から4本後(1時間後)または12本後(3時間後)の終値が上がっていれば、向きへ進んだとしました。下へ抜けた足は、下がっていれば進んだとします。4本後の終値が同じ値のときは、件数には入れ、進んだ数には入れていません。入れ替わり1回を1件と数え、ADXは入れ替わった足の値で、25以上・20〜25・20未満に分けました。4本後は、全てで199,539件(25以上61,970件・20〜25が55,613件・20未満81,956件)です。

比べる相手は、同じADXの水準の全ての足から、同じ数・同じ向きで選んだときの割合を中心に、二項分布の正規近似で計算した90%の範囲(ランダムの範囲)です。4本後に向きへ進んだ割合は、全てが48.6%(範囲49.5〜49.9%)、25以上が47.8%(49.4〜50.0%)、20〜25が48.5%(49.4〜50.1%)、20未満が49.3%(49.4〜50.0%)でした。12本後は、全てが49.1%(49.7〜50.0%)、25以上が48.7%(49.5〜50.2%)、20〜25が49.2%(49.5〜50.2%)、20未満が49.4%(49.6〜50.1%)です。

8つとも50%を下回り、範囲の下にありました。差が最も大きいのは、25以上の4本後の1.9ポイント(47.8%と、同じ条件の全ての足の49.7%)です。ただし、この範囲は、足が1本ずつ独立に選ばれると仮定した計算です。入れ替わりは中央値4本の間隔で続くので、4本後や12本後までの動きが重なり、実際の範囲はもっと広くなります。入れ替わった向きに進んだとも、逆に進んだとも、言い切れる結果ではありません。期間を7や21にしても、4本後は48.8%と48.5%で、14の48.6%と同じ水準でした。

測っていないこと

この記事で測ったのは、ADXの水準・入れ替わりの回数と間隔・入れ替わったあとの価格の向きです。売買の損益、損切りや利確の幅、勝率、ほかの指標との組み合わせは測っていません。経済指標の発表前後、通貨ペアごとの違い、Wilder式での入れ替わり後の向きも測っていません。測った範囲では、MT5付属の式の期間14で、ADXが25以上でも、入れ替わったあとに向きへ進む割合は50%を上回りませんでした。

アドバイス

入れ替わったあとに向きへ進んだ割合は、8つとも50%を下回ったよ。ADXが25以上でも、47.8〜48.7%だったね。

要点
・Intraday Directional Movementは、DMI(+DI・−DI)とADXを日中の足で使うことの呼び名として書いた。この名前の独立した指標は、MT5の公式ヘルプなどでは確認できなかった
・5通貨の15分足1,344,482本で、MT5付属の式(期間14)はADX25以上が59.0%、Wilder式は41.8%。入れ替わりは1,000本あたり148.4回と88.8回
・期間を7にすると25以上が89.9%になり、21では37.7%。時間足を5分・15分・1時間に変えても、25以上は59.0〜59.2%
・次の入れ替わりまでの中央値は4本(Wilder式は5本)。入れ替わりの41.1%は、ADX20未満で起きた
・入れ替わったあとに向きへ進んだ割合は、4本後で全てが48.6%、ADX25以上が47.8%。8つとも50%を下回り範囲の下。ただし範囲の前提から、差があるとは言えない
・測っていないのは、売買の損益、勝率、ほかの指標との組み合わせ

Intraday Directional Movementのよくある質問

Intraday Directional Movementとは何ですか?

DMIとADXを日中の足で使うことを指す名前です。この名前の独立した指標は、MT5の公式ヘルプでは確認できませんでした。中身は、Wilderが示した+DI・−DI・ADXです。

ADXは、いくつ以上でトレンドと見ますか?

25以上を目安にすることが多いです。ただ、15分足で25以上だった割合は、MT5付属の式が59.0%、Wilder式が41.8%と、式で大きく違いました。25という数字だけで、トレンドの有無は決められません。

+DIと−DIが入れ替わったら、その向きに進みますか?

測った範囲では、進んだ割合は50%を下回りました。15分足の4本後で48.6%、ADX25以上でも47.8%です。損益は測っていません。

MT4・MT5に最初から入っていますか?

どちらにも標準のADXがあります。MT5には、MT5付属の式とWilder式の2つが入っています。MT4には、iADXで呼べるADXがありますが、計算式はこの記事では確認していません。

期間は何に設定すればよいですか?

おすすめの期間は測っていません。初期値は14です。短くすると入れ替わりが増え、期間7では1,000本あたり201.6回、期間21では123.2回でした。

Intraday Directional Movementのまとめ

Intraday Directional Movementは、DMIとADXを日中の足で使うことの呼び名として書きました。Dukascopy のティックから作った5通貨の15分足(2016年1月〜2026年10月、1,344,482本)では、MT5付属の式の期間14で、ADX25以上の足が59.0%、入れ替わりが1,000本あたり148.4回でした。Wilder式では41.8%と88.8回です。次の入れ替わりまでの中央値は4本で、入れ替わりの41.1%はADX20未満で起きています。

入れ替わったあとに向きへ進んだ割合は、4本後で48.6%、ADX25以上で47.8%で、範囲の下でした。範囲の前提から、差があるとは言えません。測っていない損益やほかの指標との組み合わせは、自分のデータで確かめてから使ってください。入れ替わりのあとの損切りと利確の幅を決めるときはリスクリワードの記事、だましの例はダマシのブレイクの記事にまとめています。

参考にした資料

この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。

⚠ リスクに関する注意事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX取引はレバレッジ取引の特性上、預託した証拠金以上の損失が生じる可能性があります。取引の際は、ご自身の判断と責任において行ってください。詳しくは特定商取引法に基づく表記をご確認ください。

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この記事を書いた人

シストレ.COM編集部は、FX自動売買(EA)とテクニカル分析を専門とするインターネットメディア「シストレ.COM」の編集チームです。200本以上のEAのフォワードテスト結果を公開し、実際の運用データに基づいた客観的な情報を発信しています。記事の執筆・監修はMetaTrader(MT4/MT5)での実運用経験を持つスタッフが担当。

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