
ダーバスボックスとは|天井と底で囲んだ範囲を抜けるのを待つ考え方

ニコラス・ダーバスとボックス理論
ニコラス・ダーバスは、ハンガリー出身のダンサーで、独学で株を学んだ投資家です。1960年に『How I Made $2,000,000 in the Stock Market』を出しました。英語版Wikipedia(2026年10月30日に確認)は、価格が箱の中にある間は待ち、箱から上に抜けたら買い、損切りを買値のすぐ下に置く考え方を「BOX theory」として説明しています。日本語では、これが「ボックス理論」と呼ばれます。
本の題にある200万ドルは、本人の申告です。同じWikipediaは、タイム誌の1960年12月19日号に、ニューヨークの司法長官が確かめられた利益は21万6,000ドルだと主張した記事があると書いています。この記事では、利益の金額は扱いません。
ダーバスボックスの作り方(3本の場合)

天井と底の決め方は、1971年の改訂版のQ&Aを引いた投稿(2007年2月24日)に、天井は直前につけた新高値に3日続けて触れも超えもしなかったとき、底はその逆、と書かれています。原書の文言は直接確かめられていないので、この記事は引用の内容に沿って、3本で区切る形で測りました。別の解説サイトは、本に番号付きの手順はなく、3本で区切るやり方は機械的な解釈の一つだと述べています。
測定の手順は、図の4つです。足の高値が、続く3本に超えられなければ、その高値が天井です。天井の次の足から安値を数え、続く3本に割られなければ、その安値が底になります。天井と底が決まると箱ができ、高値が天井を超えれば上抜け、安値が底を割れば下抜けです。足は高値と安値で見ていて、終値は使いません。
上のチャートは、USD/JPYの4時間足の例です。日本時間の9月29日17時の足の高値157.714が天井、安値156.377が底になり、高さ1.337円の箱ができました。10月1日9時の足の高値が天井を超え、上抜けになっています。箱の高さは、その足のATR(前の終値からの飛びも含めた値幅の直近14本の平均)0.457円の2.9倍です。図の例は、抜けたあとに上へ進んだ1例で、1例では何も言えないので、次の節以降で件数を数えます。
アドバイス箱は、天井と底を3本ずつで確かめて作るよ。天井を超えたら上抜け、底を割ったら下抜けだね。
ダーバスボックスの数と高さ|時間足ごとに数えた結果

箱の数と高さ(ATRの倍数)
USD/JPY・EUR/USD・GBP/USD・EUR/JPY・AUD/JPYの1時間足・4時間足・日足で、3本で確かめる箱を数えました。足は、Dukascopy のティックから作った bid の足です。4時間足は1時間足を、日足は1時間足を世界標準時の21時(日本時間の朝6時)で区切ってまとめた足を使っています。足の数は、1時間足が336,913本、4時間足が87,087本、日足が15,045本です。
箱の数は、1時間足が15,933個、4時間足が4,322個、日足が687個で、時間足が長いほど少なくなります。足の数で割ると、箱は足20〜22本に1個の割合でできています。内訳は、1時間足が上抜け6,430・下抜け9,334・除外169、4時間足が1,799・2,465・58、日足が309・373・5で、合計は箱の数と一致します。除外は、同じ足で天井と底の両方を抜けた箱と、ATRを出せなかった最初の数個です。
箱の高さは、天井から底までの幅を、抜けた足のATRで割った倍数で表しました。中央値は3つの時間足とも3.0倍で、1時間足では、真ん中の半分の箱が2.2〜4.3倍に入っています。円やドルで測ると通貨で大きさが違うので、以降はこの倍数で比べます。
アドバイス箱の高さの中央値は、1時間足も4時間足も日足も、ATRの3.0倍だったよ。時間足がちがっても同じなんだね。
ダーバスボックスの上抜けと下抜け|作る順番で割合が変わる

天井を先に決めるか、底を先に決めるか
前の節の数では、上抜けより下抜けが多く出ています。上抜けと下抜けのうち上抜けの割合は、1時間足が40.8%、4時間足が42.2%、日足が45.3%で、どれも5割を下回っています。これが市場の性質なのか、作り方の結果なのかを確かめるため、価格の上下を反転して同じ手順で数え、結果を元の向きに戻しました。この数え方は、天井ではなく底を先に決める作り方にあたります。
底を先に決めると、上抜けの割合は、1時間足が63.4%、4時間足が62.9%、日足が58.4%になりました。天井を先に決めた40.8%・42.2%・45.3%とは、向きが逆に大きく動いています。割合は、箱を作る順番で変わりました。上抜けが少ない理由を、相場の傾きとして読むことはできません。
引用されている1971年版の説明も、先に天井を決める形です。この記事は、それに合わせて天井を先に決める作り方で測り、上抜けと下抜けの数の差は、相場の傾きとして読まないことにします。以降は、上抜けと下抜けを分けた数と、合わせた数の両方を示します。
アドバイス天井を先に決めると上抜けは40.8%、底を先に決めると63.4%だったよ。割合は作り方で動くんだね。
ダーバスボックスを抜けたあと|5本・10本・20本後の値動き

20本後に抜けた向きにあった割合
箱を抜けた足の終値から20本後の終値が、抜けた向きにあった割合を数えました。上抜けなら、20本後の終値が抜けた足の終値より高い割合、下抜けなら低い割合です。比べる相手は、同じ通貨・時間足の全ての足で、同じ数え方をした割合です。
上抜けは、1時間足が51.8%(全ての足は51.7%・6,428件)、4時間足が51.1%(52.0%・1,798件)、日足が48.4%(52.9%・308件)でした。下抜けは、1時間足が48.9%(48.3%・9,330件)、4時間足が49.4%(48.0%・2,461件)、日足が46.9%(47.1%・367件)です。差が最も開いたのは日足の上抜けで、件数は308件と少なめです。抜けたあとの割合は、全ての足の割合と、同じくらいでした。
5本・10本・20本後の動きの大きさ

1時間足で、5本後・10本後・20本後を並べました。表の「割合」は、その本数後の終値が抜けた向きにあった割合、「変化」は、終値の差をATRで割り、抜けた向きを正にした値の中央値で、「全足」は全ての足の同じ数字です。上抜けの割合は、5本後が50.9%(全足51.3%)、10本後が50.7%(51.5%)、20本後が51.8%(51.7%)でした。下抜けは、46.9%(48.7%)、47.9%(48.5%)、48.9%(48.3%)です。
変化の中央値は、上抜けが0.03〜0.12、全足が0.04〜0.12です。下抜けは−0.10〜−0.08で、全足は−0.04〜−0.12でした。どれも、ATR1本分の1割ほどで、抜けた場合と全足の差は0.06以内に収まります。この測定では、抜けたあとの値動きは、全ての足の値動きと大きく変わりませんでした。
アドバイス1時間足の上抜けで、20本後に上にあったのは51.8%。全部の足の51.7%と同じだったよ。
ダーバスボックスの高さと確認の本数|目標と損切りのどちらが先かを測った結果

目標と損切りのどちらが先に届くか
箱を機械的なルールにするには、入る価格・目標・損切りを決める必要があります。ここでは、その1つの形を測りました。入る価格は、抜けた足の終値です。目標は、そこから箱の高さ分進んだ価格、損切りは箱の反対側の線です。抜けた足の次の足から200本分を見て、先に届いた側を数えました。同じ足で両方に届いたときは、損切りが先と数えています。
比べる相手は、ランダムな時刻です。箱ごとに20か所の時刻を選び、同じ距離の目標と損切りで、同じ数え方をしました。上抜けと下抜けを合わせた1時間足15,712件では、目標先が48.7%、損切り先が48.8%で、ランダムは47.1%と48.1%でした。4時間足4,218件は49.2%・48.2%(ランダム47.2%・48.5%)、日足626件は49.0%・48.9%(48.0%・48.2%)です。件数が箱の数より少ないのは、後ろに200本がない末尾の箱を除いたためです。「目標先」「損切り先」は、その側が先に届いた割合で、残りはどちらにも届かなかった割合です。
目標先の割合は、3つの時間足ともランダムをやや上回りましたが、差は小さく、損切り先はほぼ同じでした。箱が近くに並ぶと同じ値動きを共有するので、この差は目安として見てください。
箱の高さで先着は変わるか

1時間足の箱を、高さで3等分しました。ATRの2.5倍未満が「低い」、2.5〜3.8倍が「中くらい」、3.8倍以上が「高い」で、どれも5,235〜5,240件です。目標先は、低いが49.4%(ランダム49.3%)、中くらいが49.6%(48.4%)、高いが47.0%(43.8%)でした。損切り先は、50.5%(50.3%)、50.0%(49.5%)、45.8%(44.5%)です。
低い箱では、ほとんど全部がどちらかに届きましたが、高い箱では約7%が200本の間にどちらにも届きませんでした。高い箱ほど目標までの距離が遠いので、これは数え方どおりの結果です。目標先とランダムの差は、低い箱では49.4%と49.3%でほぼなく、高い箱では47.0%と43.8%でした。
確認の本数を変えたとき

天井と底を決める本数(確認の本数)を3・5・10・20本にして、1時間足で測り直しました。箱の数は、3本が15,933個、5本が10,481個、10本が5,842個、20本が2,849個で、本数が増えると箱は少なく、高くなります。高さの中央値は、ATRの3.0倍、3.9倍、5.3倍、7.4倍です。
表の「20本後」は、抜けた足の20本後の終値が抜けた向きにあった割合で、50.1%、50.9%、51.0%、51.1%でした。全足は49.7〜49.8%で、どの本数でも差は2ポイント未満です。「目標先」は、目標が損切りより先に届いた割合で、48.7%、48.5%、45.7%、39.0%と下がります。同じ距離のランダムは47.1%、45.9%、43.1%、36.4%で、どの本数でも目標先のほうが上でしたが、差は3ポイント未満でした。20本では、約24%の箱が、どちらにも届いていません。
測っていないこと
この記事で測ったのは、箱の数と高さ、抜けたあとの終値の動き、目標と損切りのどちらが先に届くか、の3つです。売買の損益、スプレッドや手数料、勝率は測っていません。移動平均線・出来高・RSI・MACDなど、ほかの指標との組み合わせも測っていません。5通貨以外の通貨や株、暗号資産、1時間足・4時間足・日足以外の時間足も同じです。
先着の数え方は、抜けた足の終値で入ると決めたもので、天井を超えた瞬間に入る場合や、損切りを動かしていく方法は測っていません。ブレイクアウトの考え方はFXのブレイクアウト手法、複数の時間足の見方はマルチタイムフレーム分析にまとめています。
アドバイス確認の本数を3本から20本にすると、箱は15,933個から2,849個に減って、高さはATRの3.0倍から7.4倍になったよ。
ダーバスボックスのMT4・MT5での入れ方|ZIPの中身と手順

MT4の入れ方
- ダウンロードしたZIPを展開し、MT4フォルダの中の
DarvasBox_systre.ex4を取り出します。 - MT4の「ファイル」から「データフォルダを開く」を選び、「MQL4」の中の「Indicators」に、ex4ファイルを置きます。
- ナビゲーターの「インディケータ」を右クリックして「更新」を選ぶか、MT4を再起動します。
- 「挿入」から「インディケータ」「カスタム」を選び、DarvasBox_systreをチャートに出します。

MT5の入れ方
MT5も手順は同じで、違うのは取り出すファイルと置くフォルダだけです。ZIPのMT5フォルダの中の DarvasBox_systre.ex5 を取り出し、「ファイル」の「データフォルダを開く」から「MQL5」の中の「Indicators」に置きます。そのあと、ナビゲーターで更新し、「挿入」「インディケータ」「カスタム」から表示します。
ダウンロードと注意事項
ZIPには、MT4用のex4ファイルとMT5用のex5ファイルが、それぞれのフォルダに入っています。入れる先を間違えないでください。このファイルの入力項目と初期値は、この記事の測定では使っていません。測定は、上で説明した作り方を自分で計算した値なので、画面の箱とは一致しないことがあります。
無料配布のサンプルです。商用利用・再配布はできません。本インジケーターは、シストレ.COMの登録口座で使えます。認証が行われていない口座では使えません。
アドバイスファイルの置き場所は、MT4がMQL4、MT5がMQL5のIndicatorsだよ。置いたあとは、更新を忘れないでね。
要点
・ダーバスボックスは、天井と底で囲んだ値動きの範囲。ダーバスの「ボックス理論」は、箱の中では待ち、箱から抜けたときに動く考え方
・5通貨の1時間足336,913本で、3本で確かめる箱は15,933個。箱の高さの中央値はATRの3.0倍で、4時間足・日足も同じ
・上抜けの割合は、天井を先に決めると40.8%、底を先に決めると63.4%。上抜けと下抜けの数の差は作り方で変わる
・抜けた足の20本後に抜けた向きにあった割合は、1時間足の上抜けで51.8%、全ての足は51.7%
・目標と損切りのどちらが先かは、1時間足で48.7%と48.8%。ランダムは47.1%と48.1%
・測っていないのは、売買の損益、勝率、ほかの指標との組み合わせ
ダーバスボックスのよくある質問
ダーバスボックスとは何ですか?
ニコラス・ダーバスが使った、値動きを天井と底で囲む考え方です。価格がその箱の中にある間は待ち、箱を上に抜けたら動きます。
ボックス理論とダーバスボックスは同じですか?
同じものを指す呼び方です。英語版Wikipediaでは、ダーバスの方法が「BOX theory」と書かれています。
天井と底は何本で決めればよいですか?
決まった本数はありません。引用されている1971年版の説明は3日です。3本・5本・10本・20本で比べると、本数が増えるほど箱は減って高くなりました。
箱を抜けたら、そのまま伸びますか?
測った範囲では、全ての足と大きな差はありませんでした。1時間足の上抜けでは、20本後に上にあった割合が51.8%で、全ての足は51.7%でした。売買の損益は測っていません。
どの通貨と時間足で使えますか?
向き不向きは測っていません。測ったのは、5通貨の1時間足・4時間足・日足だけです。株や暗号資産、15分足や週足は測っていません。
MT4とMT5のどちらでも使えますか?
どちらでも使えます。ZIPに、MT4用のex4とMT5用のex5が入っています。
ダーバスボックスのまとめ
ダーバスボックスは、天井と底で囲んだ値動きの範囲で、ダーバスのボックス理論では、箱を抜けたときに動きます。Dukascopy のティックから作った5通貨の1時間足(2016年1月〜2026年10月、336,913本)では、3本で確かめる箱が15,933個でき、高さの中央値はATRの3.0倍でした。上抜けの割合は、天井を先に決めると40.8%、底を先に決めると63.4%で、上抜けと下抜けの数の差は作り方で変わります。
箱を抜けた足の20本後に、抜けた向きにあった割合は、1時間足の上抜けで51.8%、全ての足で51.7%でした。目標と損切りのどちらが先かも、ランダムな時刻との差は小さいものでした。売買の損益や、ほかの指標との組み合わせは測っていないので、使う前に自分のデータで確かめてください。
この記事はFXの手法の情報提供で、特定の取引をすすめるものではありません。FXには価格変動のリスクがあり、元本を超える損失が出ることもあります。取引は自己責任で、リスク管理を自分で決めて行ってください。
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