市場概要
昨日、ドル指数は0.43%下落し、101.44で取引を終えました。欧州通貨は上昇し、ユーロは0.41%上がって1.1130、ポンドは0.28%上がって1.3029となりました。国際現物金は1オンスあたり2513.74ドルで、0.50%の上昇を記録しました。
ドル指数
最近、市場で米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ予測が高まり、米国経済の景気後退に対する懸念が広がる中、ドルは下落傾向にあります。昨日の取引終了時点で101.44まで下がりました。
ファンダメンタルズの観点から見ると、先週、米国労働省が発表したデータによれば、7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.9%上昇し、予想の3%と前月の3%を下回りました。コアCPIは前年同月比で3.2%の上昇と、市場予想に一致し、前月の3.3%を下回り、4か月連続での低下となり、2021年初以来の最低成長率となりました。スーパーインフレ指標(住宅を除くコアサービスCPI)は前月比0.2%上昇し、前年同月比の上昇率は4.73%にまで低下しました。また、7月の生産者物価指数(PPI)も減速傾向を維持しており、米国のインフレ率がFRBの目標に近づいていることを示しています。このため、9月にFRBが利下げを開始するとの市場予測が強まりました。他の経済指標を見ると、7月の米国小売売上高データは予想を上回り、前月比で1%増加し、2023年2月以来の最高値となりました。8月10日までの週では新規失業保険申請件数が22.7万人に減少し、前週比で3週連続の減少を示しました。これにより、米国の労働市場がある程度の弾力性を持っていることが示され、米国経済のハードランディングに対する懸念も和らいでいます。
今後の見通しとしては、FRBの利下げ予測の調整や米国経済データの動向が、ドル指数の動きを引き続き主導するでしょう。米国のインフレ圧力が緩和する中、ドルの為替レートは弱含みが続く可能性があります。FRB議長パウエルのジャクソンホール年次会議での発言に注目し、FRBの米国労働市場とインフレに対する見解、および利下げの方向性に関する発言を確認することが重要です。
ユーロ/ドル
ドル指数が連続して下落する中、ユーロは反発し、昨日の取引終了時点でユーロ/ドルは1.1130でした。
ファンダメンタルズを見ると、昨日発表されたユーロ圏の7月CPIデータでは、CPIおよびコアCPIの前年同月比最終値が市場予想と一致し、前月と同水準のそれぞれ2.6%、2.9%を記録しました。これは、ユーロ圏のインフレ圧力がある程度緩和していることを反映していますが、すでに欧州中央銀行(ECB)が9月に利下げを行うとの予測が市場に織り込まれていたため、データ発表後の市場の動きは比較的小幅でした。他の経済データでは、先週発表された8月のユーロ圏ZEW景況感指数は17.9と、前月の43.7を大きく下回りました。また、主要国であるドイツの経済の低迷も続いており、8月のZEW経済景気指数は前月の41.8から19.2に、経済現況指数は-68.9から-77.3に低下しました。全体として、ユーロ圏の経済成長が依然として弱く、経済回復の基盤が相対的に脆弱であるため、ユーロの上昇には一定の制約があります。
今後の展望として、ユーロ/ドルの動きは、欧米の経済パフォーマンスの相対的な違いや、欧米の中央銀行の利上げ予測の変動、さらに市場全体のリスク志向など、複数の要因により左右されると予想されます。ユーロ圏の経済ファンダメンタルズが依然として弱いため、ユーロ/ドルが一方向の上昇トレンドを形成することは難しく、短期的には広範なレンジ内での変動が続くと見られます。