市場概要
昨日、米ドル指数は0.37%下落し、100.56となりました。ユーロ対ドルは0.4%上昇して1.1177、ポンド対ドルは0.68%上昇して1.3415で取引を終えました。国際現物金は1オンスあたり2672.38ドルとなり、0.57%の上昇となりました。
ドル指数
先週の米連邦準備制度理事会(FRB)の9月の政策会議では、今回の金利サイクルで初の利下げが行われました。50ベーシスポイントの利下げと、パウエル議長の中立的な発言により、米ドル指数は一時下落し、100.2まで下がりました。その後、年内の安値付近で上下に振れる展開となりました。今回の利下げ幅は市場予想をわずかに上回り、その背景にはインフレデータの鈍化と、労働市場の弱まりが挙げられます。
パウエル議長の発言はさらなる利下げ期待を抑制しましたが、今回の会議で示されたドットチャートは、6月会議よりも利下げペースが加速し、今年の利下げ回数は2回から4回に引き上げられ、市場の価格設定に近づいています。
経済予測においては、FRBは年間経済成長率の予測を引き下げ、今後3年間の失業率予測を上方修正。また、PCE(個人消費支出)とコアPCEの予測を今後2年で下方修正し、インフレ鈍化には楽観的な見方を示す一方で、雇用市場への懸念が高まっています。
現状の経済データを踏まえ、FRBはより柔軟な利下げ決定を行い、経済の軟着陸と金融市場の安定を維持しつつ、雇用と市場心理のさらなる悪化を避けようとしています。今後の政策は引き続きデータ次第となるでしょう。
短期的には、FRBの利下げが米国債利回りや米ドル指数に圧力をかけており、米ドル指数は下落しやすく、上昇は難しい状況です。もし、今後のアメリカの雇用データが改善し、インフレが粘着的に高止まりするならば、FRBが利下げを停止するか、予想を下回る利下げを行う可能性があり、米ドル指数が反発するリスクも残ります。
ポンドドル
先週のイングランド銀行(BOE)の9月政策会議では、政策金利が据え置かれ、利下げには引き続き慎重な姿勢が示されました。これは50ベーシスポイントの利下げを行ったFRBとの対比が鮮明で、ポンドは年内最高値を更新しました。今週もポンドは強さを維持し、昨日は1.3415で取引を終えました。
イングランド銀行はFRBに比べて利下げペースが遅れており、イギリスのインフレ率はアメリカに比べてより頑固です。先週発表された8月のインフレデータによると、8月の総合CPI(消費者物価指数)は政策目標の2%に近づいたものの、コアインフレ率は7月から反発しました。特にサービス業のインフレ率は前年比5.6%と前回値を大幅に上回り、アメリカの4.8%をも超えています。
BOEは利下げによる経済成長への効果と、インフレへの影響を天秤にかける必要があり、慎重な利下げに傾いています。今年に入ってからポンドは非米ドル通貨の中で特に好調です。これは、イギリス経済の回復が市場予想を上回り、昨年のテクニカルリセッション(技術的な景気後退)を脱したことや、BOEが利下げを遅らせ、高い金利を維持していることが主な要因です。
今後の見通しとしては、ポンドの動きは英米両国の経済データや金融政策の予想変動に左右されるでしょう。もしイギリス経済が引き続き好調で、BOEの利下げペースがFRBほど急進的でなければ、ポンドは引き続き下支えされ、下落に対する強さを発揮する可能性があります。