市場概要
先週、ドル指数は0.32%下落し、100.41で取引を終了しました。これで4週連続の下落となります。主要な非米ドル通貨は全般的に上昇し、ユーロ/ドルはわずかに0.03%上昇して1.1163で終了、ポンド/ドルは0.41%上昇して1.3373で取引を終えました。国際現物金は一時的に高値を更新しましたが、金曜日には小幅な調整が入り、週全体で1.70%の上昇となり、2659.72ドル/オンスで終了しました。
ドル指数
米連邦準備制度理事会(FRB)が50ベーシスポイントの利下げを行った後、ドルは引き続き圧力を受け、先週は全体的に下落傾向が続きました。木曜と金曜にはアメリカで重要な経済指標が発表されました。
雇用状況
木曜日に発表された雇用データでは、アメリカの労働市場はやや改善し、新規失業保険申請件数が約4ヶ月ぶりの低水準となりました。しかし、継続受給者数は予想を上回り、労働市場の完全な回復にはさらなる刺激策が必要である可能性があります。
インフレ状況
FRBが重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)価格指数は、8月に前年同月比2.2%の上昇となり、過去3年半で最低水準に達しました。この結果は予想を下回り、月間ベースでは0.1%の上昇で、予想通りの結果でした。これにより、アメリカのインフレは穏やかな傾向を続けており、11月にFRBがさらに利下げを行う可能性が高まっています。市場では11月に50ベーシスポイントの利下げが行われる確率を50%と見込んでいます。
経済成長
アメリカの第2四半期GDPの年率成長率は3%で修正されず、個人消費支出(PCE)は8月に前月比0.2%の増加となりましたが、予想の0.3%を下回りました。しかし、商務省の発表によると、貿易赤字の縮小幅は過去2年で最大となり、総合的に見て、アメリカ経済は第3四半期も堅調な成長を続ける見込みです。
今後については、FRBの利下げ予想が重しとなるため、短期的にはドル指数が上昇しにくい状況が続くと見られます。今週発表される9月の雇用統計は、FRBの今後の金融政策の手がかりとなるでしょう。また、地政学的な情勢やアメリカ大統領選挙も、ドルの動向に影響を与える重要な要因となり得ます。
ユーロ/ドル
先週のユーロ/ドルは、週中に1.1214の年初来高値をつけた後、急速に調整が入り、全体としては1.1110-1.1200の範囲で変動しました。
基礎的要因
エネルギー価格の低下が主な要因となっており、先週金曜日に発表された9月のフランス調整消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.5%の上昇に留まり、予想の1.9%を下回りました。同様に、スペインの消費者物価調整指数も前年同月比1.7%の上昇にとどまり、これも予想を下回りました。
しかし、ユーロ圏全体の経済も同様に予想を下回り、先週金曜日に発表されたユーロ圏経済景況指数は96.2となり、予想の96.5を下回りました。製造業とサービス業の景況感には依然として大きなギャップがあり、サービス業は予想を上回る一方で、製造業は19ヶ月連続でマイナスの値を記録しています。経済景況の低迷とインフレの弱含みがユーロ債利回りの低下を引き起こし、加えてアメリカのインフレデータも穏やかだったため、投資家は欧州中央銀行(ECB)の今後の利下げを強く予想しています。現在、市場では10月にECBが利下げを行う可能性を80%以上と見込んでおり、この数字は週初めには約20%でした。
今後については、個人的な見解として、緩やかなインフレと低調な経済パフォーマンスがECBの利下げを加速させる可能性があり、米欧の利下げ動向が収束する中で、ユーロの強い上昇は続かない可能性が高いと考えます。