市場サマリー
昨日の外国為替市場では、発表された経済指標が弱含んだことを受けて、ドル指数は小幅に0.36%下落し、104.75で取引を終えました。主要な非米通貨は全般的に上昇し、ユーロは対ドルで0.38%上昇し1.0842、ポンドは対ドルで0.33%上昇し1.2742、ドルは対スイスフランで1.08%下落し0.9033となりました。
国際現物金価格は高値圏での横ばい状態を維持し、2343.67ドル/オンスで取引を終えました。
米ドル指数
経済データの発表と市場のFRB利下げ予想の修正が、ドル指数の動向に影響を与える主要な要因となっています。ドル指数は今週104前後で狭いレンジ内の動きを見せ、昨日は104.75で取引を終えました。
経済データに関しては、先週発表された5月のアメリカMarkit製造業、サービス業および総合PMIの速報値がいずれも市場予想および前月の数値を上回り、拡張領域に留まる結果となりました。これにより、アメリカ経済のリセッション懸念が一部和らぎました。しかし、昨日発表されたアメリカの第1四半期実質GDP成長率は初期値の1.6%から1.3%に下方修正され、前年第4四半期の3.4%から大幅に減速しました。総じて見ると、高金利環境下でアメリカ経済の成長は鈍化していますが、他の非米経済体と比べて依然として強靭性を持ち、ドル指数を支える要因となっています。
金融政策の面では、先週発表されたFRBの会議議事録はタカ派的な内容であり、政策決定者たちはインフレ低下の進展が不十分であると懸念し、利下げに対して慎重な姿勢を示しています。これにより、FRBが短期的に迅速に政策を転換することはないことが示唆されています。FRBのタカ派的な立場は、ドル指数に対する支えとなるでしょう。
今後の見通しとして、FRBの利下げの道筋が依然として不明確であり、6月に発表されるアメリカのインフレおよび経済データが市場の利下げ予想に影響を与えると考えられます。ドル指数は短期的に104-105の範囲でのレンジ内での動きが続くと予想されます。
ポンド/ドル
最近の経済データの回復がユーロの強含みを支えていますが、米欧の金融政策予測の違いがユーロの反発を制限しています。ユーロは1.08のラインでサポートを受け、昨日は1.0842で取引を終えました。
経済データの面では、先週発表されたユーロ圏の5月PMI速報値が全体として回復傾向を維持し、総合PMIは52.3を記録し、過去1年間で最高値となりました。製造業PMI速報値も15ヶ月ぶりの高水準となりました。さらに、ユーロ圏最大の経済体であるドイツの5月のビジネス活動は2ヶ月連続で拡張し、サービス業の加速と製造業の生産回復が確認されました。しかし、これらのデータはユーロのパフォーマンスを大幅に押し上げることはできませんでした。これは、依然として「米強欧弱」の基本的な状況が続いているためです。
金融政策の面では、先に発表されたECBの4月の会議議事録では、インフレ対策の進展が確認され、6月の利下げがほぼ確実視されています。市場は、ECBが年内に1〜2回の追加利下げを行うと予測しており、米欧間の金融政策の違いがユーロの動向に影響を与え続けるでしょう。
今後の見通しとして、「米強欧弱」の経済基盤が続いている限り、ユーロの上昇力は限定的です。ECBがFRBに先んじて利下げを開始する場合、米欧間の金融政策サイクルの違いがユーロに下落圧力をかける可能性があります。短期的には、ユーロは弱含みでの震え動きを続けると予想されます。