市場サマリー
昨日の外国為替市場では、ドル指数が0.5%上昇して105.23で取引を終えました。主要な非米ドル通貨はまちまちの動きとなり、ユーロは対ドルで0.67%下落し1.0737、ポンドは0.29%下落し1.2763となりました。一方、ドル対スイスフランはわずかに0.06%下落し0.8939で終了しました。また、国際現物金価格は0.90%下落して1オンスあたり2303.71ドルで取引を終えました。
米ドル指数
昨日、ドル指数は0.5%の上昇を見せ、105.23で取引を終えました。今週発表されたアメリカの5月消費者物価指数(CPI)は、前年比および前月比で市場予想を下回る増加率を記録しました。これにより、アメリカのインフレは第一四半期の反発を経て、2ヶ月連続で予想を下回る減速を見せたことが明らかになりました。この動きは、連邦準備制度(FRB)が「自信を持って利下げを開始する」タイミングに一歩近づいたとの見方を市場にもたらしました。
CPIデータが発表された直後、ドル指数は一時的に急落し、80ベーシスポイント以上下がって105の心理的な支えを割り込み、最低で104.25まで下落しました。しかし、市場がCPIの影響をまだ消化しきれないうちに、FOMC(連邦公開市場委員会)会議の結果が発表されました。FRBは政策金利を据え置き、注目されていたドットプロット(利上げ・利下げの予測を示す図)では、今年中の利下げ回数の中位数が3月の予想から3回から1回に大幅に引き下げられました。
その後の記者会見で、FRB議長のジェローム・パウエルは、FRBの政策金利が高水準にとどまる可能性が高いことを示唆し、市場がCPI発表後に持った一部のハト派(利下げ期待)の見通しを和らげました。このパウエル議長の発言を受けて、ドル指数は反発し、再び105の水準を突破しました。
ポンド/ドル
昨日の取引では、ドル指数の強さに押されてユーロは対ドルで0.67%下落し、1.0737で終了しました。先週、欧州中央銀行(ECB)は予想通りに25ベーシスポイントの利下げを実施しましたが、今後の利率の見通しについては具体的なコミットメントを避けました。加えて、ECBは経済成長とインフレ見通しを上方修正し、会見でのクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言も比較的タカ派(利上げ支持)なトーンを持っていました。
しかし、ラガルド総裁は4月の会議で示したような、今後の金融政策に関する明確なヒントは提供しませんでした。この結果、市場ではECBが次回利下げを行う時期を9月頃と予想し、今年中の総利下げ幅の予想も50ベーシスポイント未満にとどまっています。