市場サマリー
昨日の外国為替市場では、ドル指数がわずかに0.02%下落し、105.24で取引を終えました。主要通貨では、ユーロが対ドルで0.02%上昇して1.0741、ポンドが0.06%上昇して1.2716となりました。国際現物金価格は0.05%下落し、1オンスあたり2327.99ドルで終了しました。
米ドル指数
最近のドル指数は、米国のインフレデータの減速と、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的な姿勢が影響して、先に下落した後、再び上昇し、現在は105の水準を上回る位置で安定しています。
先週発表されたアメリカの5月のインフレデータは、CPI(消費者物価指数)の前年比が3.3%と予想の3.4%を下回り、CPIの前月比は横ばいでした。また、コアCPI(食品とエネルギーを除く)の前年比は3.4%、前月比は0.2%の上昇となり、こちらも予想を下回りました。このようなインフレの鈍化は、FRBが年内に利下げを行う可能性が高まったとの見方を市場にもたらしましたが、依然としてFRBの目標である2%からは距離があり、現時点でFRBが利下げを決断するには至っていません。
先週のFOMC(連邦公開市場委員会)会合では、FRBは政策金利を5.25%から5.5%のレンジに据え置くことを決定し、市場の予想通りの結果となりました。また、会合後に発表されたドットプロット(FOMCメンバーによる金利見通しの図)では、今年中に1回の利下げが予想されており、これは3月の時点で予測されていた3回から大幅に減少しています。この点から、選挙前に大幅な利下げが行われる可能性は低いと考えられます。
ドル指数の今後の動向は、主にインフレの動向とFRBの政策方針に依存します。インフレが持続的に減速し、FRBが政策を大きく転換するまでは、ドル指数が大幅に下落する可能性は低く、当面は現在の水準での安定した動きが続くと予想されます。
ユーロ/米ドル
ユーロ/ドルの相場は、最近のアメリカのインフレデータとFRBのタカ派的な政策の影響を受けて、下落傾向にあります。一時は1.07の心理的なサポートを下回る場面も見られました。
最近、アメリカの経済データには弱含みの兆しが見られるものの、依然としてユーロ圏に比べて相対的に強いパフォーマンスを示しています。このため、「アメリカ強・ヨーロッパ弱」という基本的な構図が変わらない限り、ユーロの上昇力は限られたものとなります。
6月初旬の欧州中央銀行(ECB)の会合では、予想通り25ベーシスポイントの利下げが行われました。しかし、今後の利下げについての明確な方向性は示されませんでした。ECBはインフレ予測を上方修正し、ラガルド総裁の発言もタカ派的なトーンを含んでいました。しかし、先週のFRBの会合後にFRBが今年の利下げ回数を1回に減少させたことで、ユーロは圧迫されました。
今後のユーロの動向は、アメリカとユーロ圏の経済データの相対的な強さと、両地域の中央銀行の政策変化に依存します。今週は特に、両地域のPMI(購買担当者指数)データが重要な焦点となります。短期的には、ユーロは引き続き弱含みの不安定な動きを見せる可能性が高いです。