市場サマリー
昨日、ドル指数は0.12%上昇して105.00となりました。欧系通貨もドルと共に上昇し、ユーロは0.14%上昇して1.0822、ポンドも0.14%上昇して1.2804となりました。一方、国際現物ゴールドは1.36%下落し、2358.80ドル/オンスで取引を終えました。
米ドル指数
先週以来、経済データの悪化が続き、ドル指数は低迷していましたが、昨日は105付近で安定し、小幅に反発しました。
市場では、FRBの利下げ予想の調整が為替市場の変動の主要な要因となっています。経済データを見ると、先週発表された6月のISMサービス業指数は48.8と、市場予想の52.6を大幅に下回り、5月の楽観的なデータから一転して、過去4年間で最大の下落幅を記録しました。同様に、6月のISM製造業指数も48.5で、予想の49.1および前月の48.7を下回りました。
労働市場も依然として厳しい状況にあります。注目されていた6月の非農業部門雇用者数は20.6万人で、前月の27.2万人を大幅に下回り、失業率も4.1%に上昇しました。これは2021年11月以来の最高値です。これらのデータは、長期間の高金利環境下で米国経済が減速している兆候を示しており、インフレの低下と相まって、FRBの利下げの可能性を高めています。この要因がドルのパフォーマンスを制限していますが、米国経済の相対的な強さとFRBのタカ派的な発言が、短期的にはドル指数を支える要因となっています。
今後、ドル指数の動向は、FRBの利下げ予想と米国経済データのパフォーマンスに依存します。インフレ圧力が緩和し、経済が減速する中で、ドルの強さは弱まる可能性があります。今週の木曜と金曜には6月のCPIおよびPPIのデータが発表される予定です。インフレが引き続き低下する場合、FRBにさらなる利下げの自信を与えることになり、ドル指数の変動範囲が103-105に下がる可能性があります。
ポンド/米ドル
先週以来、ドルの下落に伴いユーロは強含みで推移し、昨日は一時的に1.0844の高値に達しました。
市場では、米国と欧州の金融政策に対する期待の変化がユーロのパフォーマンスに影響を与えています。ユーロ圏の経済データを見ると、昨日発表された7月のユーロ圏sentix投資家信頼指数は-7.3と、過去4か月で最低水準に落ち込みました。先週金曜に発表された5月の小売売上高は前月比0.1%増で、予想の0.2%を下回りました。これにより、ユーロ圏経済の成長が依然として乏しく、経済回復の基盤が脆弱であることが示されました。
ECBは6月の政策会議で金利を25ベーシスポイント引き下げましたが、年内にさらに1~2回の利下げが予想されています。米国では、経済成長の鈍化とインフレの低下が進む中、FRBの年内2回の利下げ予想が強まっています。これにより、前期の米欧の金融政策の分化が収束しつつあり、ユーロの為替レートを支える要因となっています。
しかし、現在のところ、米国経済の強さと欧州経済の弱さという基本的な状況は変わっていないため、短期的にはユーロの上昇は限定的であり、1.07-1.09の範囲での変動が続くと予想されます。