市場サマリー
7月31日(水曜日)の外国為替市場では、ドル指数が104.06で終値を迎え、0.39%下落しました。一方で、非米ドル通貨は全般的に上昇しました。ユーロは対ドルで1.0826と0.1%の上昇、ポンドは対ドルで1.2854と0.14%の上昇、豪ドルは対ドルで0.6541と0.06%の上昇を見せました。ドルはスイスフランに対して0.8781と0.52%下落しました。また、国際現物金の価格は2447.06ドル/オンスで、1.51%上昇しました。
米ドル指数
先週、ドル指数は104.3233でほぼ横ばいで終わりましたが、今週に入り、米国経済データの低迷とFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げに対する姿勢の変化により、大幅に下落しました。
具体的には、アメリカの最近の経済データはまちまちの結果となっています。インフレに関しては、6月の消費者物価指数(CPI)が予想を上回って低下し、コアPCEの第2四半期の年率換算では2.9%と予想をわずかに上回りましたが、インフレの勢いは鈍化しています。
雇用面では、季節調整済みの7月のADP雇用者数増加が12.2万人と、前月の15.5万人を下回りました。これに加えて、米国株の大幅な変動により、FRBの緩和策への期待が高まっています。今日未明に開かれたFRBの政策会合では、市場の予想通り短期金利目標レンジが5.25%-5.5%のまま据え置かれました。
会合後の声明でパウエル議長は、インフレが持続的に緩和し、労働市場が冷え込む条件が整えば、9月の会合での利下げに備える可能性があると述べました。明日発表されるアメリカの非農業部門雇用者数(NFP)のデータに注目が集まります。このデータがアメリカの雇用市場の冷え込みを示す場合、FRBが9月に利下げする可能性が高まり、ドル指数のさらなる下落の余地があるかもしれません。
ユーロ/米ドル
先週、ユーロは対ドルで0.24%の小幅な下落を見せましたが、今週に入ってからはユーロは下落し、現在1.08付近で取引されています。今後の見通しとして、ユーロの対ドル相場は、欧米経済の相対的なパフォーマンス、欧州中央銀行(ECB)とFRBの利下げ予測の変化、市場全体のリスク志向など、さまざまな要因が影響を及ぼします。
一方で、ユーロ圏のPMIデータの弱さがユーロを圧迫しています。先週発表された7月のユーロ圏の製造業PMIとサービス業PMIの初期値は市場予想を下回り、特にユーロ圏の総合PMIは50.1と前月の50.9を下回り、過去5ヶ月で最低となりました。サービス業PMIも51.9と予想の52.9と前月の52.8を下回り、4ヶ月で最低の水準となりました。製造業PMIは45.6で、予想の46.1と前月の45.8を下回り、7ヶ月で最低の水準となりました。対照的に、アメリカの7月の総合PMIとサービス業PMIの初期値はそれぞれ55と56で、共に過去最高を記録しました。これにより、一時的にユーロは対ドルで1.083まで下落しましたが、その後、アメリカのPCE物価指数の増加速度の低下や消費者信頼感指数の低下により、ユーロは対ドルで反発しました。
一方で、ユーロ圏のインフレ加速が予想外に進んだことから、ECBは慎重な姿勢を崩さない可能性があります。市場はECBが9月に利下げを行うとの予測をFRBに比べてあまり持っていません。昨日発表されたユーロ圏の7月のCPI年率の初期値は2.6%で、前月の2.5%を上回り、予想の2.4%をも超えました。食品とエネルギーを除くコアインフレ率も3ヶ月連続で2.9%を維持し、予想を上回っています。これにより、ECBはさらなる利下げに慎重になり、ユーロの相場をある程度支えています。今後も欧米の雇用データに注目が必要です。