市場サマリー
直近の取引日における外国為替市場では、ドル指数が0.27%上昇して104.3402となりました。ユーロは対ドルで0.3%下落し、1.0792、ポンドは対ドルで0.88%下落して1.2741でした。ドルはスイスフランに対して0.59%下落し、0.8729となり、国際現物金は0.04%下落して2446.065ドル/オンスで取引を終えました。
米ドル指数
ドル指数は過去2週間ほど方向性に欠け、全体的にレンジ相場の動きを示しています。
昨日、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を据え置く決定を発表しました。また、FRB議長のジェローム・パウエル氏は記者会見で、9月に利下げを検討する可能性があることを認めました。パウエル氏は、インフレが2%の目標に向かって引き続き下がるとの自信が高まっていると述べ、現在のアメリカの労働供給と需要は均衡しており、失業率はわずかに上昇したものの依然として低い水準にあると指摘しました。市場が予想する利下げのタイミングが近づいていることを認めつつも、パウエル氏は、利下げが早すぎるか遅すぎるかのリスクを評価するため、今年は利下げが0回あるいは複数回ある可能性もあると述べました。今回の記者会見は全体的に中立的からハト派寄りであったものの、FRBのハト派への転換はある程度市場の予想内であり、FRBが債券保有量を減らしたことも考慮すると、ドル指数への悪影響は限定的でした。
アメリカのインフレは第2四半期に鈍化し、失業率はわずかに上昇したものの依然として管理可能な状態で、経済は減速しているものの堅調です。この状況下で、今後発表される7月と8月のインフレデータは、9月にFRBが予定通り利下げを行うかどうかの鍵を握ります。今後2ヶ月のインフレデータが予想通りに安定している場合、FRBが年内に利下げを行うという市場の予想が強まり、ドル指数はさらに下落する可能性があります。しかし、インフレデータが予想外に反発した場合、FRBは利下げを延期する可能性が高く、その際にはドル指数が予想外に上昇する可能性があります。
ユーロ/米ドル
ユーロは対ドルでこの2週間ほど緩やかに下落しており、昨日は1.0792で取引を終えました。
経済データに関しては、火曜日に発表されたユーロ圏の第2四半期GDP年率の速報値は0.6%で、前回の0.4%および予想の0.5%を上回りました。また、木曜日に発表された7月の製造業PMI確報値は45.8で、速報値の45.6を上回り、前月と同水準を維持しており、ユーロ圏経済の改善を示しています。水曜日に発表されたユーロ圏の7月消費者物価指数(CPI)年率の速報値は2.6%で、前回と予想の2.5%をやや上回りました。この経済データの改善とインフレ率の意外な上昇は、ヨーロッパ中央銀行(ECB)が今後の利下げに対して慎重になることを示しています。現在、ECBは一連の利下げを完了しており、ECBが9月に利下げを行うという市場の予想は、FRBが9月に利下げを行うという予想ほど充分ではありません。
今後の見通しとして、欧米の中央銀行の金融政策の変化やユーロ/米ドルの動向を決定づける鍵は、引き続きインフレデータの動向です。さらなるインフレデータの発表があるまで、ユーロ/米ドルはレンジ相場の動きを維持すると考えられます。チャート上では、サポートラインは1.066、レジスタンスラインは1.094と見ています。