市場概要
昨日、ドルインデックスは底を打った後、小幅に反発し、0.19%上昇して100.87で終値を迎えました。主要な非米ドル通貨は大半が下落し、ユーロドルは0.29%下落して1.1161、ポンドドルは0.23%下落して1.3187、米ドルカナダドルは0.19%下落して1.3486、米ドル円は0.12%上昇して144.52でした。また、国際スポット金価格は0.23%上昇し、2517.83ドル/オンスとなりました。
ドル指数
8月に入って以来、為替市場は大きな変動を見せ、景気後退への懸念と利下げ期待の両方がドルインデックスの下押し要因となり、変動が激しくなっています。特に月の後半に入ってからは下げが加速し、先週の金曜日には100.60の安値をつけ、昨年12月以来の最低水準を記録しました。8月の累計下落率はすでに3.22%に達しています。今週に入ってからは、ドルインデックスは低位で推移し、現在は100.90近辺で取引されています。
これまでの分析では、最近の為替市場の動向を左右しているのは2つの主要な要因であると考えられます。一つはデータに基づく市場の感情の変動、もう一つは主要な中央銀行の最新の政策姿勢です。データ面では、先週発表されたアメリカの経済指標はまちまちの結果でした。8月のMarkit製造業PMIは48に留まり、予想の49.5を下回りましたが、サービス業PMIは55.2で、予想および前回値を上回り、19カ月連続で拡張領域にあります。雇用データでは、米労働省が過去約1年の非農業部門雇用者数を81.8万人分大幅に下方修正し、アメリカの労働市場が予想ほど強くないことが示されました。中央銀行に関しては、注目を集めたジャクソンホール会議で、FRB議長のパウエル氏は政策の調整時期が来たことを明確にし、市場に利下げの方向性を示しました。これにより、市場は9月の50ベーシスポイントの利下げを織り込み始め、フェデラルファンド金利先物の年内利下げ幅は100ベーシスポイントに達しています。しかし、パウエル氏は将来的な利下げの時期やペースについては具体的なコメントを避け、今後のデータや状況の変化、リスクのバランスを見て判断するとしています。このため、市場が年内に100ベーシスポイントの利下げを予想することには一部過大評価のリスクがあると見られます。
テクニカルな観点から見ると、8月の連続的な下落を経て、ドルインデックスは2022年11月以来の変動レンジの下限に近づいており、短期的にはドルインデックスがさらに急速に下落する余地は限られていると考えられます。下方のサポートラインは99.60付近と見られます。
ユーロドル
先週、FRBの利下げ期待によってドル全体が下落する中で、ユーロは他の非米ドル通貨と共に上昇し、ユーロドルは年内の高値に迫り、金曜日には1.1193で終値を迎えました。週全体で1.49%の上昇でした。今週に入ってからは、ユーロドルは高位での変動を維持し、現在は1.1160付近で取引されています。
ユーロ圏の状況については、先週発表された経済データは分化した結果を示し、ユーロ圏の経済は依然として弱い状況です。具体的には、8月のユーロ圏総合PMIは51.2と、過去3カ月の新高値を記録しました。部門別では、サービス業PMIが53.3と4カ月ぶりの高水準を記録しましたが、製造業PMIは45.6に低下し、8カ月ぶりの低水準となりました。ヨーロッパの経済基盤が弱いため、ユーロ相場に対する有効な支援が見られず、最近のユーロドルの上昇はドルインデックスの大幅な下落による影響が大きいです。先週最も注目されたジャクソンホール会議で、FRBのパウエル議長は利下げの明確なシグナルを発しました。彼の発言では、インフレが2%の目標に向けて低下するとの確信を強調し、またFRBは強力な労働市場を支援し、価格安定をさらに実現するために全力を尽くすと述べました。パウエル氏の発言を受けて、市場は9月の50ベーシスポイントの利下げの可能性を高め、年内の利下げ期待は100ベーシスポイントにも達しました。このような背景で、ドルインデックスが大幅に下落し、非米ドル通貨は総じて上昇、ユーロもその恩恵を受けています。
テクニカルな観点から見ると、ユーロドルは現在、年内の変動レンジの高位に達しており、急速な上昇の後の反落リスクに警戒が必要です。下方のサポートは1.10付近に注目が集まっています。今週発表される予定の8月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)やアメリカの7月の個人消費支出(PCE)データが、ユーロドルの相場を支える要因になる可能性があります。