市場概要
昨日、ドルインデックスは0.50%上昇して101.06を記録しました。ユーロはドルに対して0.57%下落し、1.1119で取引されました。ポンドもドルに対して0.50%下落して1.3190となりました。また、国際スポット金価格は0.79%下落し、1オンスあたり2504.39ドルでした。
ドル指数
最近のアメリカの非農業部門の雇用データの下方修正や、FRB(連邦準備制度理事会)高官からのハト派的な発言により、利下げの期待が高まる中、ドルインデックスは下落傾向にありましたが、今週はやや安定しています。
労働市場に関しては、アメリカ労働省の発表によると、3月までの1年間の雇用増加数が従来の報告よりも81.8万人下方修正されました。この修正は政策決定者にとって驚きではないかもしれませんが、労働市場への懸念を強める可能性があります。さらに、新規失業保険申請件数も増加しており、労働市場の緩やかな冷え込みが続いていることを示唆しています。
金融政策については、FRBのパウエル議長がジャクソンホール会議で、政策の調整時期が来たと述べ、インフレが2%に戻ることへの自信が高まっていると語りました。FRBは強力な労働市場を支援し、物価の安定を実現するために全力を尽くす意向を示しています。利下げのタイミングとペースは、データ、見通し、リスクのバランスに依存するでしょう。
現在、市場はFRBが9月の政策会議で初めて利下げを行うと広く予想しており、労働市場がさらに弱まる場合、9月に50ベーシスポイントの利下げが行われる可能性もあると考えられています。今後もFRBの利下げ期待が高まることで、ドルインデックスには圧力がかかるでしょう。今週はアメリカのPCE価格指数とGDPデータに注目が集まります。
ユーロドル
最近、FRBの利下げ期待が高まり、米欧の金融政策の分化が進む中、ユーロは一時1.1200まで上昇し、昨年7月以来の高値を記録しました。今週は1.1170付近で推移しています。
経済データでは、ユーロ圏の8月のPMIが大きく分かれており、製造業は前月の45.8から45.6へと低下し、ドイツ経済の弱さが影響しています。一方で、サービス業は51.9から53.3へと大幅に上昇し、フランスのオリンピックによる影響で一部のユーロ圏諸国の観光やホテル業界が恩恵を受け、指数の予想外の回復を牽引しました。しかし、パリオリンピックの影響を除くと、経済データはユーロに対する支援を必ずしも強固なものとはしていません。
金融政策に関して、欧州中央銀行(ECB)の慎重な姿勢が最近のユーロ上昇の鍵となっています。主要な中央銀行の中で、FRB、スイス国立銀行、カナダ銀行、スウェーデン中央銀行、ニュージーランド準備銀行は利下げサイクルに入るか、明確なハト派シグナルを発しています。しかし、ECBは6月に利下げを行ったものの、ラガルド総裁は将来の利上げ方針について明確な示唆を避けており、米欧の政策期待が分化し、ユーロの上昇を支えています。
技術的には、ユーロ/ドルの日足チャートは既に買われすぎの状態にあり、ある程度の調整圧力がかかっています。さらなる上昇には、FRBがより明確なハト派姿勢を示し、ECBが慎重な姿勢を維持する必要があります。今後の展望としては、今週のユーロ圏の8月のCPIデータおよびアメリカの7月PCEデータが注目されます。ユーロ圏の経済データが引き続き全体的に弱いままであれば、ユーロのさらなる上昇余地は非常に限られたものとなるでしょう。