市場概要
先週金曜日、ドル指数は一時下落したものの、最終的には小幅に上昇し、0.10%の上昇で100.73を記録しました。主要な非米通貨はまちまちな動きを見せ、ユーロ/ドルはほぼ横ばいの1.1163、ポンド/ドルは0.29%上昇し1.3322となりました。また、ドル/カナダドルは0.08%上昇し1.3570、ドル/円は0.89%上昇し143.90でした。国際現物ゴールドは1.36%上昇し、1オンスあたり2621.74ドルで取引を終えました。
ドル指数
先週は「スーパー中央銀行ウィーク」と呼ばれる週で、米連邦準備制度理事会(FRB)、イングランド銀行、日本銀行が相次いで最新の金利決定を発表しました。特にFRBが予想を上回る50ベーシスポイント(BP)の利下げを実施し、ドル指数は100付近の低水準で推移。最終的に金曜日には100.73で引け、週全体では0.37%の下落となりました。
9月のFOMC(連邦公開市場委員会)会合では、FRBが一度に50BPの利下げを行い、連邦基金金利を4.75%~5%の範囲に引き下げ、市場の予想を超える結果となりました。これにより短期的にはドル指数が低下しましたが、会合後に発表されたドットプロット(利上げ・利下げ見通しの図)によれば、年内にさらに50BPの利下げが予測されています。このペースは6月の予測よりも速く、市場予想との乖離も縮小しました。
会合後の記者会見で、パウエルFRB議長はインフレ対策への自信を表明し、今後は雇用市場にさらに注力すると語りました。また、現時点では景気後退の兆候は見られないと述べています。今後の政策については、50BPの利下げが常態化するわけではなく、データ次第で判断されることを強調しました。パウエル氏の発言から、今回の利下げは中立的な金利水準への調整の始まりであり、景気後退を防ぐための積極的な利下げではないことが伺えます。このため、発言後にはドル指数が反発し、日足チャートではプラスに転じました。
技術的な視点から見ると、8月の連続下落と9月に入ってからの反復的な動きを経て、ドル指数は依然として2022年11月以来の低水準のレンジ内にあります。下支えの重要なポイントは100.50付近で、この位置の攻防が注目されます。もしこの水準を下回ると、ドル指数のさらなる下落が見込まれるでしょう。
ユーロドル
FRBの大幅な利下げとは対照的に、イングランド銀行が先週木曜日に金利を据え置いたことで、ポンド/ドルは堅調に推移しました。金曜日には1.3322で引け、週全体では1.51%の上昇となり、一時は2022年3月以来の高値である1.3340に達しました。
9月の会合で、イングランド銀行は利率を5%に据え置くことを決定。この慎重な対応は、FRBの50BP利下げとは対照的であり、ポンド/ドルの上昇を促しました。振り返ると、イングランド銀行は8月に25BPの利下げを行い、FRBよりも先に動きましたが、英国の根強いインフレ圧力により、利下げペースはFRBよりも遅れています。
先週水曜日に発表されたデータによれば、英国の8月CPIは前年同月比で2.2%上昇し、7月と同水準でした。しかし、コアインフレ率は前月比で0.3ポイント上昇し、前年比3.6%の上昇を記録。イングランド銀行が注視するサービス業のインフレ率も8月には5.6%に上昇し、7月の5.2%を上回りました。今後短期的には、イングランド銀行とFRBの金融政策の違いが、ポンドをサポートする要因となるでしょう。