市場概要
前回の取引では、ドル指数が0.20%上昇し、100.94を記録しました。ユーロは対ドルで0.46%下落し、1.1111となりましたが、ポンドは対ドルで0.20%上昇し、1.3347を記録しました。国際スポット金価格は1オンスあたり2628.33ドルで、0.24%の上昇でした。
ドル指数
先週、利下げの決定に伴い、ドル指数は年内の最低水準付近で推移し、週全体で再び下落しました。
昨日発表されたアメリカの9月製造業PMI速報値は47と、2023年6月以来の最低値を記録。9月サービス業PMI速報値は55.4で2か月ぶりの低水準、9月Markit総合PMI速報値も54.4と、2024年7月以来の低水準です。これらのデータは、米国のビジネス活動の拡大がやや鈍化しており、見通しが悪化していることを示しています。また、価格指数が明確に上昇しており、商品とサービスの価格が6か月ぶりの速さで上昇しています。特にサービス業のコストが1年ぶりの速さで増加しており、インフレが再び加速。これにより、FRBがインフレ目標から完全に目を離すことは難しい状況です。
労働市場について、FOMC後のパウエル議長は労働市場がほぼ完全雇用の状態にあると評価し、雇用の成長鈍化が「注目に値する」と指摘しました。FRBは今後のFOMC会合前に2回の雇用統計を注視し、予期せぬ雇用の鈍化があれば迅速に対応できると述べています。
金融政策に関しては、FOMC後に意見の相違が見られ、唯一反対票を投じたFRBのバウマン委員は、大幅な利下げを「インフレ対策で勝利宣言を出す前兆」とし、慎重なペースでの金融緩和を支持しています。一方、ウォーラー委員は、インフレの下降が予想よりも速いことから、50ベーシスポイントの利下げが適切だと主張。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も、インフレと雇用が大体バランスが取れているとしつつ、インフレの下降停滞と労働市場の弱体化のリスクを示唆しています。
今週は、アメリカの8月PCEデータ、第二四半期GDP確定値、FRBの各種発言に注目が集まります。これらの経済データが予想を下回った場合、ドル指数はさらに圧力を受ける可能性があります。
ユーロドル
先週、ユーロ圏の経済データが引き続き低調だったものの、FRBの大幅な利下げと市場のリスク志向の強まりを受け、ユーロ/ドルは年内の高値付近まで上昇し、その後高値圏で推移しました。
先週発表されたユーロ圏9月ZEW経済信頼感指数は9.3と、前回の17.9を大きく下回り、ドイツの同指数も19.2から3.6へと下落。昨日発表されたユーロ圏9月の総合PMIは48.9、製造業PMIは44.8、サービス業PMIは50.5と、いずれも予想を下回る結果となりました。これらのデータは、ユーロ圏経済の弱さを示しており、ユーロの下振れリスクが懸念されています。
先週の欧州中央銀行(ECB)総裁ラガルド氏は、世界経済が1920年代の大恐慌時期と同様の圧力に直面していると指摘。パンデミック後の需要急増と供給チェーンの混乱が消費者物価を押し上げ、これは金融政策にとって「極めて厳しい試練」であったと語っています。インフレは抑制されたものの、失業率の上昇を回避できたことは「素晴らしい成果」としながらも、今後のグローバル化の進展には不透明感が強いと述べました。
技術的には、ユーロ/ドルは先週21日移動平均線付近でサポートを見つけ、年内高値の1.12付近まで上昇しましたが、ユーロの買いが強まることはなく、今週も21日移動平均線の1.11付近でのサポートを維持できるかが、ユーロの今後の動向を左右する可能性があります。
今後は、ユーロ圏の9月経済信頼感指数などの経済データや、欧州中央銀行の関係者の発言に注目する必要があります。ユーロ/ドルの動向は、米欧の経済状況の相対的なパフォーマンスや、中央銀行の金融政策の違い、市場全体のリスク志向などに引き続き左右されるでしょう。