市場概要
昨日、ドルインデックスは0.09%の小幅な下落を見せ、101.6452で終値を迎えました。ユーロは対ドルで0.24%上昇し、1.1073で取引終了。ポンドもドルに対して0.16%上昇し、1.3147で終値。ドルはスイスフランに対して0.19%上昇し、0.8516で取引終了。国際現物ゴールドは0.14%下落し、1オンスあたり2499.36ドルとなりました。
ドル指数
8月に行われた世界中央銀行会議で、FRB議長パウエルがこれまでで最も強い利下げのシグナルを発し、加えて米国労働省が発表したほぼ1年分の非農業部門雇用者数データが大幅に下方修正されたことにより、利下げ予測が強まり、ドルインデックスは急落しました。先週火曜日には13カ月ぶりの安値である100.51を記録しました。
データ面では、先週発表された第2四半期の米国実質GDPが初期値の2.8%から3%に上方修正され、7月の1人当たり可処分所得も前月比で増加。消費者の期待と感情も改善され、失業保険の新規申請者数は7月末の高水準から徐々に減少し、23.1万人となりました。耐久財の新規受注や住宅価格の伸びなどのデータも予想を上回り、9月のFRB利下げ幅の予測はやや控えめになり、ドルインデックスは一時的に下落を止め、101.60付近で推移しています。CMEのFRBウォッチによると、9月に25ベーシスポイントの利下げが行われる確率は67%、50ベーシスポイントの利下げ確率は33%です。今週の市場の焦点は、9月の利下げ幅を予測するための米国の労働市場データです。
今後を見据えると、個人的には、好材料が市場に与える影響は一時的なものであり、利下げが今後の主要テーマとなり、ドルインデックスの動きに長期的な重荷となると考えています。
技術的には、ドルインデックスはボリンジャーバンドの下限である100付近と、以前の安値である99.55付近でサポートされており、短期的には急落のリスクは低いと見られます。
ユーロドル
ユーロ圏のインフレ率低下と経済データの低調さから、ユーロの下落圧力が強まり、先週のユーロ/ドルは1.3%の下落で1.1047を記録しましたが、昨日は小幅に反発し、現在は1.1070付近で取引されています。
データに目を向けると、エネルギー価格の下落により、ドイツの8月インフレ率は2.0%に低下し、2021年6月以来の最低水準となりました。この数値は予測や前月の数値を下回るものでした。ユーロ圏の8月消費者物価指数(CPI)の速報値も前年比で2.2%上昇し、7月の最終値2.6%を下回りました。ユーロ圏の7月失業率は6.4%で、予想の6.5%を下回り、前月より改善しました。これらの経済データは、インフレの緩和傾向を示しています。
インフレの軟化と高い失業率、低調な経済成長は、欧州中央銀行が9月の会合で利下げを継続するための条件を整えており、ユーロ/ドルの下落は、すでに9月の政策会合での利下げや、今年中にさらに1度の利下げが織り込まれていると考えられます。
今後は、米国の労働市場データが米国の金融政策に与える影響を注視し、それが間接的にユーロ/ドルの強弱に影響を与える可能性があります。また、9月の欧州中央銀行会合でタカ派の姿勢を維持できるかどうかが重要なポイントであり、これがユーロの短期的な反発につながる可能性があります。