市場概要
昨日、ドル指数は0.46%下落し、終値は101.28でした。主要な非米ドル通貨はすべて上昇し、ユーロ/ドルは0.35%上昇して1.1082、ポンド/ドルは0.25%上昇して1.3148、ドル/カナダドルは0.33%下落して1.3506、ドル/円は1.19%下落して143.73となりました。国際現物金は小幅に0.11%上昇し、1オンスあたり2495.28ドルで取引されました。
ドル指数
8月以降、為替市場は大きく変動しており、景気後退の懸念と利下げ予測が重なって、ドル指数は乱高下しています。8月27日に年初来安値の100.51をつけた後、データの影響で下落から脱し、今週は101.50付近での小幅な値動きが続いています。
これまでの分析では、外為市場を左右する2つの主要な要因として、データ主導の市場感情の変化と、主要中央銀行の最新の政策発表が挙げられます。データ面では、先週以降に発表された米国の経済指標は一定の強さを示しました。第2四半期のGDP成長率は年率2.8%から3.0%に上方修正され、7月のコアPCE物価指数は前年比2.6%で、前回と同じ水準を維持しました。また、7月の個人消費支出は前月比0.5%増加しました。全体として、これらのデータは米国経済が8月に一段と悪化していないことを示しており、基礎的な強さがFRBの積極的な利下げの見通しを和らげています。
一方、中央銀行面では、8月に開催されたジャクソンホール会議で、FRB議長のパウエル氏は利下げの方向性を示したものの、具体的なタイミングやペースについては言及しませんでした。今週金曜日に発表される米国の8月雇用統計に市場の注目が集まっています。市場予想では8月の非農業部門の雇用者数は前月の11.4万人を上回る16.5万人、失業率は4.2%にわずかに低下すると予測されています。雇用統計が発表されるまで、市場は引き続き狭いレンジ内での取引が続くと予想されます。もし、データが予想以上に良好であれば、FRBの積極的な利下げへの期待はさらに後退し、ドル指数は反発する可能性があります。
テクニカルな観点から見ると、8月の連続下落を経て、ドル指数は2022年11月以来の下値圏にありますが、短期的にこれ以上急速な下落の余地は限られていると考えられ、データ次第でドル指数の反発に注意が必要です。
ユーロドル
過去1週間、ドル指数が下げ止まり反発したことで、ユーロ/ドルは年初来高値から1.3%下落し、現在1.1080付近で取引されています。
ユーロの高値からの下落は、主に内外の2つの要因によるものです。ユーロ圏内では、最近発表された経済指標やインフレ率が十分な強さを示さず、ユーロ圏の基礎的な経済状況は依然として弱いままです。具体的には、8月のユーロ圏総合PMI(購買担当者指数)は51に低下し、製造業PMIは45.8で26ヶ月連続で50を下回る低迷が続いています。インフレデータに関しても、フランス、ドイツ、スペインなどの主要経済国のCPI(消費者物価指数)が予想を下回り、ユーロ圏全体の8月CPIは前年比2.2%に下落し、前回の2.6%から低下しました。これは、9月の利下げ実現に向けた道筋を開くものです。
外部要因としては、FRBが利下げ方向を示したにもかかわらず、米国の相対的に良好な経済データにより、市場は積極的な利下げの期待を和らげ、ドル指数が反発し、ユーロに対して圧力をかけています。今後は、9月の欧州中央銀行の政策会合での政策パスに関する発表に注目が集まりますが、内生的な支えが不足している現状では、ユーロが年内のレンジを突破するのは難しいと考えられます。
テクニカルな観点では、ユーロ/ドルは8月に1.12レベルまで急騰しましたが、そこから下落しています。下値のサポートは1.10付近にあり、今後の動向は金曜日の米国雇用統計次第です。もしデータが予想を上回れば、ユーロはさらなる下押し圧力に直面する可能性があります。