市場サマリー
昨日、ドル指数は続けて0.13%上昇し、103.59で終了しました。主要な非ドル通貨は一般的に下落し、ユーロ/ドルは0.15%下落して1.0872に、ポンド/ドルは0.02%下落して1.2733に、ドル/スイスフランは0.49%上昇して0.8879になりました。国際的な現物金は0.21%上昇し、1オンスあたり2160.23ドルで取引されました。
米ドル指数
米ドル指数は先週、3週連続の下落から反発し、103を上回る水準に戻りました。現在は103.70付近で取引されています。米国の2月の物価上昇率が予想を上回ったことが、今回の指数上昇の主因となりました。2月の米CPIの前年比上昇率、コアCPIの前月比上昇率ともに予想を上回り、前年比上昇率は3.2%と9カ月連続で3~4%のレンジ内にとどまっています。2月のPPIデータも依然強かったことが確認されており、生産者側、消費者側ともに米国の物価は粘り強い状況です。このため米連邦準備理事会(FRB)は利下げの判断において慎重姿勢を維持する公算が大きいとみられます。データ発表後、市場のFRB6月利下げ見通しは67%から約56%に低下し、年内利下げ幅も80ベーシスポイントから75ベーシスポイント前後に縮小しました。利下げ観測の後退が米国債利回りと米ドル指数の上昇につながりました。
先行きを見ると、ここ2カ月のインフレデータが米国の物価上昇の強さを裏付けており、加えて最近の米経済指標に弱さの兆しもあることから、市場はFRBの物価と景気に対する姿勢を一層注視し、日本時間の今週木曜日早朝に公表される3月FRB公開市場委員会(FOMC)の新たな点portraitsを手がかりにするでしょう。FRBが実際に利下げサイクルに入る前は、市場は利下げ観測の変化に連動する動きが大方となる見込みです。短期的には米ドル指数は102台で下支えが期待でき、上値妨げ線は前高値の105付近とみられます。
ユーロ/ドル
先週のポンド相場は米ドル指数の上昇に伴い下落し、ポンド/米ドルは週間で0.89%安となり、7カ月超の高値だった1.2894ポンドから1.28を割り込む水準まで反落しました。現在は1.2710付近で取引されています。
先行きを見ると、英経済、雇用環境、物価などを総合的に勘案すれば、短期的にもポンド相場は底堅い展開が予想されます。一方で、ポンド/米ドルの上値余地も残されているでしょう。英経済は2023年後半に「技術的な景気後退」に陥ったものの、1月の国内総生産(GDP)は前月比0.2%のプラス成長となり、景気後退は回避できました。英財務省も最新の春季予算教書で国民保険料率引き下げなどの減税策を打ち出しており、経済を下支えする要因となるはずです。また、英国の最新の物価上昇率は4.0%と高止まりしており、1月の賃金データによれば、平均賃金上昇率は依然6.1%の高水準にあり、雇用環境は底堅いことから、物価問題は完全には沈静化していません。英中央銀行も同じく木曜日に会合を開き、市場では政策金利5.25%がそのまま据え置かれ、利下げは8月以降になるとの見方が大勢です。一方のFRBや欧州中央銀行では6月の利下げ開始が予想されていることから、英中銀による利下げが主要中央銀行に比べて遅れるとの期待からポンド相場は支えられそうです。